政府への報告
「鈴木さ~ん、問題発生です!」
そう言ってゲートを開くと、対策室は人もまばらで、一瞬誰を呼んでるの?って顔で皆さん、こちらを見ます。
1人がこちらに向かって来て、鈴木さんは今、政治家の人に呼ばれて席を外しているとの事でしたので、大至急という事で呼びに行ってもらいます。
30分程すると、鈴木さんと、以前話した事のある、内閣官房副長官の田川さん、そしてテレビで見たことある数人の政治家のひとがやってきます。
「武内さん、緊急ってどうしたんですか、今朝日本に帰還した人の件で何かあったのですか?」
そう言って鈴木さんが質問をしてきますが、自分は首を横に振り、説明を始まます。
「それじゃあ、異世界で人間同士の戦争が起きるって事ですか?」
「そう、それも両軍合わせて5万~6万人以上での戦争、その上こっちは総兵力2万程で約2倍以上の敵軍を相手にしないといけないという不利な戦争」
「そ、それは話し合いで解決出来ないんですか?」
「無理、もう既に攻め込まれてますし、相手は明らかにやる気満々で続々と兵が集まってますし、領土の一部割譲で収まる話では無いですね」
「だからと言って戦争で殺し合いなんて…」
そう言う鈴木さんを制して内閣官房副長官の田川さんが口を開きます。
「武内君、戦争が悪だのと言う話は一旦置いておいて、負けた場合どうなるんだね?」
「そうですね、どこまで攻め込んで来るかにもよりますが、最悪自分達が拠点としてる町や、日本人の多く居る国の首都が落とされれば日本への帰還が困難になりますね、それどころか命の保証もありませんし」
「それは日本人は殺されるという事か?」
「いえ、殺そうとして殺しはしないでしょうが、戦乱の渦に巻き込まれれば死傷者が出るかと、異世界人も日本人も見た目で見分けなんてつきませんし」
「ふむ、それは困るな、戦争に巻き込まれて日本人が多数死亡した、ないしは行方不明になったなど公表できんな、野党の党首には極秘で異世界からの帰還者の件で今後の話を始めたばかりというのに」
「えっ? もう野党の人達にも帰還者の事話してるんですか?」
「ああ、この件については、与党の一部だけで隠しておくべきことじゃないからな、野党の党首に極秘という事で事情を説明し今後について話合いをしている所だ、まあ政治的側面で言うと、変な情報を元に国会で騒がないで貰う為の布石でもあるが」
「ああ~、秘密の共有者として共犯にするって事ですね、その上で帰還者の扱いや保護について円滑に進める為の…」
「そう思って貰っていい、まあ他にもあるんだが、まあそれはこちらの話だから、深く聞かんでくれ、とは言え武内君が日本に戻った後で政治家になりたいと言うなら色々と教えてもいいが」
そう言ってニヤリと笑う田川さんですが、とりあえず政治家なんてまっぴら御免なので、戦争の件に話をもどします。
「それで政府としては、この戦争の件を公表しますか? まあ公表をしなくてもマスコミと繋がっている日本人から情報が流れる可能性はありますが」
「そこだな、公表はするだろうが、大まかな部分はぼかしての公表だろうな、なんせ日本からは何も出来んし、何かをする事で批判を受けかねんからな、政府として一番無難なのは静観だ」
「そうですか、個人的には自動給弾式の機関銃が欲しいんですけど…」
「武内君も無理と分かって言っているとは思うが、政府としてそのような物は提供できない」
「ですよね~、そんなの提供したなんてマスコミや世間に知れたら大問題ですもんね」
「ああ、そういう事だ、それで、2倍の兵力差をどうやって埋めて戦うつもりなんだ?」
「それなんですけどね、定石通り渡河する敵を狙って攻撃をした後、渡河されたら釣り野伏せりで殲滅を予定してます」
「渡河途中の敵兵を狙うか、確かに定石通りだな、だが釣り野伏せりとは、歴史には詳しいつもりだが、うまくいくのか?」
「さ~あ、なんせ人生で初めての事ですんで、うまくいくかどうかはやってみないと…。 戸次川の戦いみたいにうまくいけばいいんですけど」
「とは言え我々は心配しか出来んな、どうやっても支援をする事が出来んからな。 だが出来れば敵軍に日本人が居た場合、殺さないようにだけ気を付けてくれ」
「留意はしますが、見分け着きませんから約束は出来ませんが、極力善処します」
「うむ、そうしてくれ、それと日本人の帰還なんだが、次回はいつ頃に予定してるんだ?」
「それなんですが、今プレモーネの町に居る人達、皆さん様子見って感じなんですよね」
「様子見? どういう事だ?」
「まあゲートをくぐれない体形の人は別として、日本に戻ってもどういう扱いを受けるかの様子見です。 流石に見送りに来たらゲート越しに防護服で完全防備の職員さんを目にして、捕えられた宇宙人みたいな扱いをされるんじゃないかと言った不安があるようです」
「そういう事か、まああれは検疫が重要と言う意味で若干大袈裟にした感はあったが、それが不安にさせてしまう原因になるとはな」
「まあこちらは助かってますが、なんせ次は自分もとか言い出して騒ぎになってませんし、これから戦争で手が離せなくなりますからある意味助かってます」
「そうか、では大袈裟な演出も無駄じゃなかったな、だが誤解はどうやって解くんだ?」
「それは、先に帰還した4人と話をさせればすぐに解消されますよ、待遇やどの様な検査をするのか、どんな日常を送っているのかを帰還した4人が話せば解決です」
「そうか、ではその辺の話はこちらで手配を進めておこう」
そう言って田川さんは一通り聞きたい事、言いたい事を言った後で、鈴木さんに対応を依頼し、他の議員さん達と対策室を出て行きました。
「武内さん、戦争てほんとにするんですか? 人が大勢死んじゃうんですよ?」
「まあ戦争をしても死にますけど、しなくても死にますから、だったらするしかないでしょ」
「戦争をしなくても死ぬ? どういう事ですか?」
「ようは軍が敵地奥深くまで進軍するとどうしても兵站…、食料ですね、それが不足します、なので村などから徴発をしますが、それも最初のうちだけで途中から略奪に替わります、そうなったら村々では男は殺され、女は犯されると言った感じになるでしょう、ようは、兵士が戦って死ぬか、村人などの非戦闘員が死ぬかどちらかという事です」
「そ、そんな…」
「まあ、これは日本のみならず世界の歴史でも実際にあった事ですから異世界でも同じでしょう」
そう言うと鈴木さんはどう答えて良いのか分からないような顔をしています。
そんな鈴木さんに、極力顔を出して情報を伝えるつもりだけど、場合によっては暫く連絡がつかない旨を伝えゲートを閉じます。
若干大袈裟に言っただけだけど、間違った事は言ってない。
それに本音としては、ここでソパニチア王国の国力を大きく削いで日本人の捜索を有利に進める為の布石って事はバレてないし、良しとしよう。
目標は半数以上の兵を討ち取る事だな。
追撃戦は国境付近まで徹底的にやらないと…。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




