突然の急報
旧ウェース聖教国の首都キャールに転移魔法のゲートで移動をし、大聖堂近くにあるバイルエ王国が統治の拠点としている建物に向かいます。
大聖堂から徒歩で移動しましたが、町は普通通りと言った感じですが、見かける兵士は少しピリピリしている感じがします。
統治拠点の建物につき、土田の元に案内をされると、部屋をうろうろと歩き回っていた土田が、勢いよく迫ってきます。
「いや、男に迫られる趣味は無いから離れろ!!」
そう言って手を伸ばし勢いよく向かって来る土田を制し、なにがあったのか説明を求めます。
「武内、冗談はいい、そんな悠長なことを言っている暇は無いんだよ! 戦争だ! 戦争!」
「戦争? バイルエ王国がどこかに攻込むのか?」
「バカを言うな! 今、まさに攻め込まれてるんだよ、既に国境にある砦が陥落したという報告があった」
「それで、どこから攻め込まれて、敵は今どの辺を進軍中なの?」
「それだが、攻め込んで来たのはソパニチア王国、このヌスターロス大陸最大の国だ!」
「ソパニチア王国って国境を接してるよな、てことは旧ウェース聖教国の幹部が逃げ込んで復権の為に国に取り入ったってとこか?」
「恐らくそうだろうけど、やっと復興の道筋が見えて来た所で戦争なんて、今までやってきたことが台無しになるだろ!」
「まあそうだけど、向こうからは何か要求や宣戦布告とかはあったのか?」
「いや、今の所はない、調べたところでは、砦を落とした後、そこを拠点に兵を集結している最中との事だ、現時点で約1万、ソパニチア王国内に居る間者からの報告では国内から続々と兵が砦に向かっているらしいから、総勢で少なくても3万~4万、多ければ6万を超える可能性もあるそうだ)
そう言って唾を飛ばしながら説明をする土田ですが、確かに1万程度の兵なら武威行動と多少領地を掠め取るぐらいでしょうが、3万~4万となると恐らく確実に旧ウェース聖教国領の奪取でしょう。
そればかりか、勢いのままにバイルエ王国やドグレニム領に兵を向けて来る可能性もあります。
土田やバイルエ王国の幹部が慌てる訳です。
「それで土田、バイルエ王国に援軍の要請はしたのか?」
「とっくにしてる、まだ返事はないが、援軍は出してくれるだろうが、それでも数千が限度だろう」
「とっくにっていつだ?」
「つい2時間前ぐらいに早馬を走らせた、それがどうした?」
「いや、自分が報告に行った方が早いと思ってな、早馬が首都ドイルズに着く頃には兵を集め終わってるだろ」
「そうだな…。 確かに、早馬無駄だな。 呼び戻すか…。」
「まあ早馬の件はそのままでいいだろ、それで、現時点の手持ちの兵は?」
「投降兵を糾合して再編成をしたが、総数は6千程だ、しかも、魔物の駆除や治安維持に兵を必要としてるから、実際に動かせるのは5千が良いとこだろ」
「5千ね…。 ゴブリン軍団と合わせて約1万弱か、3倍~4倍、最悪の場合6倍の戦力差か…。 厳しいね」
「そうだよ! だから緊急で武内を呼んだんだよ!」
「自分はバイルエ王国の首都ドイルズに行って援軍の話と、移動を担当するから、土田は旧ウェース聖教国領内に噂を急いで流して」
「噂? 何のために、どんな噂を流すんだよ」
「まあ噂と言うより、兵士が村を巡回してるだろうから、各村に旧ウェース聖教国で領民を虐げていた奴らがソパニチア王国の兵を騙して攻め込んで来たから、支援した食料や、手持ちの金などは間違えなく奪われるから、急いで地下室でも作って隠せって」
「そんな事で良いのか?」
「ああ、一度自分達の物になった食料などを再度不条理に奪われると知れば、必死で隠すだろうし、ソパニチア王国が攻め込んで来た時に進んで協力しようとはしないだろ」
「そうか、そうだな…。 確かに得た食料を奪われ、やっと復興の兆しが見えて来たのにそれを邪魔する奴らに協力はしないよな」
「そういう事、あとはソパニチア王国内に居る間者に、今回の戦争の本当の目的は、異世界に帰る力を持った異世界人の抹殺で、すでに数千人が日本という国に帰った、と言う噂も流しておいてくれ」
「なんでだ? そんな噂になんの意味があるんだ?」
「まあ内側からの揺さぶりだな、ソパニチア王国内に居る日本人が噂を聞けば、自分達が日本に帰る事が出来なくなると思うだろうからな」
「そうか、帰りたい人間は今回の戦争を止めようと奔走する可能性があるな」
「まあ帰りたい人間が中枢に居ればだけどね、一応保険と言うか、揺さぶりにかかればラッキーって程度だけど」
そう言って土田に指示を出してから自分は一旦プレモーネに向かいグランバルさんに報告をします。
「少なくて3万~4万か…。 ドグレニム領だけでは一溜りも無いな」
「そうですね、広い道作っちゃいましたし、敵軍を足止めする森無いですもんね」
「他人事みたいに言うな、道を作ったのはお前だろ!」
「まあそうですが、それで、兵はどの程度出せますか?」
「そうだな、プレモーネから500、新しい領地で雇用し編成した兵1000の合計1500だな」
「指揮官はどうします?」
「兵士長のタロイマンに任せる、明後日の朝までに支度はさせるから、マサトはグレームに連絡をして1000の兵士を明後日の朝までに準備するように指示しろ、指揮官は任せる」
「わかりました、じゃあ自分はこれからグレームさん所に行って指示を伝えたら、バイルエ王国に行ってきます」
そう言い、ゲートを開き、新領地を統治する拠点とした旧砦にむかいグレームさんにグランバルさんの指示を伝えます。
流石、元ウェース聖教国の宰相とまで言われたグレームさんです。
グランバルさんからの伝言を伝えると、即座に指示を出し兵を参集を命令します。
「それでマサト殿、指揮官は任せるとの事ですので、ラインドに任せますがよろしいですか?」
「いいですよ、まあそう指揮官はタロイマンさんなので、その下の副官扱いになるとおもいますが、元砦の守備隊長のラインドさんなら問題ないと思います」
そう言て、指揮官はラインドさんに決めてから、後はグレームさんに任せてバイルエ王国に向かいます。
ロ二ストさんの執務室に移動をしすると、なにやら書類と格闘していましたが、自分が現れると手を止め、呼び鈴でメイドさんを呼んでお茶の用意を指示します。
「マサト殿は毎回突然現れますな…」
「まあ、毎回トラブルを運んでるんで突然なんです」
「それはそれは、トラブルですか、それで今回はどの様なトラブルで?」
「ソパニチア王国が攻め込んで来ました、それも最低でも3万~4万、最悪6万程かと」
そんな自分の言葉にロ二ストさんは一瞬何を言っているのか分からないような表情をした後、血の気の引いた顔になります。
「マサト殿、それは誠ですか! そんな数の兵を相手に戦争など…」
「本当なんです、土田の報告では、国境付近の砦は陥落して、現在そこに兵が集まって来ているとの事です。 集結までには時間があると思いますので今すぐ戦闘に発展はしませんが、時間の問題です」
「それでツチダ殿はなんと?」
「とりあえず援軍の要請です。 土田も自分も旧ウェース聖教国領を放棄するつもりはありませんから、一応ドグレニム領からは兵1500が向かいます。 あとはゴブリン軍団6000程ですね」
「では現時点での兵数は1万弱、それで勝てるのですか?」
「バイルエ王国の援軍の数次第ですが、勝つつもりですよ、ただ今回は損害が確実に出ますけど」
「そうですか、では早急に国王陛下に伝え兵士を参集させましょう」
「お願いします、できれば、明後日の夕方までにお願いします。 明後日中に全兵力を旧首都のキャールに集結させたいんで」
「明後日ですか、兵は集まりますが、食料などが…」
「兵糧は自分が準備しますので、兵士と予備の装備や矢などの消耗品だけの準備で大丈夫です」
「わかりました、では私は国王の元に向かいますので、明後日の午後までに兵を郊外に集めておきます」
そう言って走る様に執務室を出て行くロ二ストさんの後姿を見送った後、自分は二ホン砦に向かいます。
今日は移動距離半端ないな…。てか転移ばっかりしてる気がする。
うん、忙しい…。
それに戦争ってまだ鈴木さんに怒鳴られそうだな…。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




