防塁の防衛
248日目
昨日は、ゴブリン軍団の陣張りと炊事場などの建設に時間を費やしたため防戦に加わっては居ませんが、自分が防塁での戦闘を見た限りでは、早急に防塁を突破される危機が訪れるようには見えない感じです。
アモンさんの話によると、当初は数百匹単位で防塁を突破しようと魔物が襲って来たらしいのですが、ここ数日は数十匹単位の群れが散発的に現れるだけだそうです。
アモンさん達は若干楽観的な見方をしていましたが、絶対この後大規模な攻勢があるフラグのような気がします。
その後、ゴブリン軍団の編成を指示し、ゾルス部隊1000匹、バルタ部隊1000匹、ハンゾウ部隊1000匹、古参のゴブリンロード部隊500匹を4隊、予備隊として1000匹に分けます。
バルタの騎馬ゴブリン400匹は予備隊に編入し、打って出る際にバルタ隊に編入させる予定にしました。
それにしても数が増えたとはいえ、6000匹の内訳がゴブリン約1500匹、ホブゴブリン約4500匹、ゴブリンロード約23匹って、ホブゴブリンの数が普通のゴブリンより多いってどうなんだろう?
なんかゴブリンのインフレ起きてない?
そんな事を思いながらもゾルス隊、バルタ隊、ハンゾウ隊の3隊でローテーションをしながら割り当てられた区画警備を命じます。
う~ん、イルチ達偵察に出たサンダーウルフの報告が無いとこちらから攻め込めないし、意外と暇だな…。
そう思いながらも、ゴブリン軍団に合流したカウア達ミノタウロスを引き連れて防塁を見回っていると、同様に防塁の視察をしていたダダルインと鉢合わせします。
「これはマサト殿も防塁の視察ですかな?」
そう言って笑顔で話しかけて来るダダルインさんに、会釈をし雑談に興じます。
「それにしてもマサト殿配下のゴブリンは統率が取れていて素晴らしいですな、わが軍の兵よりもキビキビと動いて無駄がないように見えますな。 ゴブリンと言えば群れで動きはするものの獲物を見つけると統制も無く襲い掛かる魔物と思っていましたが…」
「あ~、その辺はゾルス達自分の眷属が同族支配と言う能力を持っているんでそれで配下に加えた後、文明的な生活を叩きこんだって感じですね。 まあ自分が躾けたと言うよりゾルス達眷属が躾けた感じです」
「ははは、ご謙遜を、そのゾルス殿達を従えたマサト殿の功績があってこその賜物でしょう。 この歳まで様々な国の軍隊や魔物を見てきましたが、ここまで統率された軍隊、それもゴブリンの軍隊などが見れるとは、よい冥途の土産が出来たと言うものです」
「いやいや、それこそご冗談を、冥途の土産と言うお歳でも無いでしょう、あと2~30年は現役を貫かれるのでは?」
「これはマサト殿は年寄り遣いが荒いようですな」
そう言ってダダルインさんは盛大に笑っています。
ていうか見かけは年配だけど絶対に中身は若いよね…。
恐らくレベルによる補正で見た目以上に肉体が若い、と言うより既に100歳を超えてるんじゃない?
そんな事を思っていると、バイルエ王国が受け持つ区画の防塁から鐘の音が聞こえて来ます。
「さて、魔物の群れがお越しのようですな…」
そう言って先ほどまで好々爺のように笑顔で話していたダダルインさんの顔が引き締まり、お供の兵を連れて魔物が襲来したほうに向かいます。
自分もついて行っても良かったのですが、自分の受け持ちはゴブリン軍団の防衛区画なので、双眼鏡で受け持ち場所から戦闘の様子を眺める事にします。
大体魔物の数は50匹程でしょか、見る限り二足歩行の魔物では無く4足歩行の魔物のようです。
う~ん、イノシシ?それにしては若干シルエットが違うような…。
そう思いながらも双眼鏡で眺めていると、防塁を守る兵士は弓を引き絞り矢を一斉に魔物に向けて放ちます。
数百本の矢が一斉に放たれ魔物に吸い込まれますが、魔物は矢が刺さったまま防塁目掛けて突っ込み、そして防塁を登ろうと試みています。
まあ四足歩行の獣型の魔物だから防塁登れないよね…。
防塁の下でたむろする魔物に次々と矢が撃ち込まれ、徐々にその数が減っていき、そして魔物達は動かぬ屍になったようです。
なんかこんなんだったらゴブリン軍団を呼び寄せて防戦に参加した意味無いな…。
そんな事を考えながらゴブリンの陣地に用意した野営用の家に戻りその日はのんびりとすごします。
イルチ達サンダーウルフが偵察から帰って来るまでは退屈しそうだな…。
249日目
朝、一旦プレモーネにゲートを使って戻りグランバルさんに現状報告をしておきましたが、現時点で被害は出ていない事に安心した顔で話を聞いています。
グランバルさんに報告が終わった後再度、防塁に戻りますが昨日同様、散発的に50匹前後の魔物が防塁に押し寄せるだけで全く危なげなく撃退されている感じです。
まあ、毎回押し寄せる魔物の種類は違うけど、どういう事なんだろう?
散発的に魔物が防塁に向かって来るのも不思議だし、かといって砂漠を越えるには向いてなさそうな芋虫みたいな魔物も居たし、これ砂漠のあちらこちらにオアシスでも出来たのかな?
そう思いながらもバルタが作った昼食を取りながら本日何回目かの魔物の襲撃を眺めます。
昼食を食べ終え食後の散歩がてらに防塁を歩いていると、防衛の指揮をとるダダルインさんの姿があります。
「ダダルインさん、ここ数日は大体こんな感じで魔物が現れてるらしいですけど、何か心当たりみたいなものはありますか?」
「いや、まったく見当もつきませんな、マサト殿は何度か魔物の大発生を撃退したと聞いていますが、その大量発生と今回で何か共通する事などは無いのですか?」
「う~ん、以前ウェアウルフの群れと戦った時はなぜか村には大体300匹前後しか居なくて、町には20000近押し寄せてましたけど、最後まで法則と言うか、なぜ町に大群が押し寄せていたのかは分からず仕舞いでしたんで」
「そうですか、それにしても確かに話を聞く限り不思議ですな…、普通、大規模な群れなら村など一飲みにして最後に町を襲うと思いますが、そうならなかった。 何かあるとしか思えないですな」
「そうなんですよ、とは言え、調査もしたかったんですが、こちらの数も少ないうえ普通のゴブリンではウェアウルフに歯が立たないんで何とか集団戦闘で乗り切った感じなので調査どころじゃなかったんですよね」
「確かに、数でも個の強においても劣勢でしたら調査どころでは無いですからな」
そう言って砂漠を眺めながらダダルインさんと話をしますが、やはり結論は出ません。
なんだかな~、もっと防塁に魔物が群がっている感じを予想したんだけど、ここまで散発的な魔物の襲撃だと気が緩むな。
そう思いながら自分の持ち場に戻り、防塁警備をしているゴブリン達の様子を見ますが、なんかゴブリン達の方が人間より緊張感をもって警備にあたってるな。
やっぱり野生だと一瞬でも気を抜いたら生死に直結するからなのかな。
なんか人間よりも真面目な感じだ。
そう感じながらも野営用の家に戻りくつろぎます。
そんな中、夜になるとイルチ達偵察に出ていたサンダーウルフが帰ってきたので報告を聞きます。
うん、最悪だ…。
明日にでもダダルインさん達に伝えて対策を練らないと、恐らく防塁突破されるな。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




