参戦
247日目
アモンさんに渡した目印となる魔道具を頼りに転移魔法でゲートを開きます。
まだ朝早い時間だったので、アモンさんは天幕で身支度を整えている所でしたが、突然自分が現れた事に驚き慌てたためか、履きかけたズボンにうまく足が入らなかったようでその場に尻餅をつきます。
「うぉ~、マサトか、急に出てきて驚かせるなよ! 俺は男に寝所で寝込みを襲われたいなんて願望は無いぞ!」
「いやいや、夜ならともかく、朝っぱらからそんな微妙なボケは要りませんから! とりあえずパルン王国の方は一応目途が立ったんで死の砂漠の様子を見に来たんですよ」
「そうか、とりあえず俺達も3日前の昼頃に到着して翌日は休息を取り、昨日から防衛に参加したんだが、現在の状況としては膠着状態だな。 だが日に日に魔物が増えてるようだからこの状態がいつまで続くか…」
「う~ん、やっぱり魔物が砂漠を越える事がなぜできるのかを調べて、砂漠を越えられないようにするのが最善ですかね。 それでカウア達やサンダーウルフ達を同行させた事についてフェインド王国側は何か言ってましたか?」
「ああ、最初は驚いている様子だったが、ドグレニム領に居る日本人が使役している魔物という事で話は付いてる。 まあマサトより丁寧な言葉を話す魔物だし、戦力になるのならって感じだな」
「失礼な、基本的に自分も丁寧な言葉で話してますよ。 それはさておきアモンさんはこれから軍議への参加ですか?」
「そうだな、一応夜間の警備は暫くフェインド王国兵が受け持ってくれるらしいから、俺達やバイルエ王国兵は昼間の防衛だ」
「じゃあその軍議に参加させてもらいますね、一応ゴブリン軍団には出撃準備させてますからいつでも呼び出せますし、砂漠を越える術がどのようなものかを調べる必要もありそうですから」
そう言って慌てて装備を着こんでいるアモンさんと話ながら状況を聞き出しますが、どうやら今の所は被害は出ていないようです。
装備を整えたアモンさんの案内で指揮所に到着すると、そこにはフェインド王国、バイルエ王国の指揮官クラスの人が集まっています。
バイルエ王国兵の指揮官クラスの人は顔を見知った人も居るので問題ないのですが、フェインド王国側の人達とは初顔合わせなので一応自分から挨拶をします。
「あっ、どうも、ドグレニム領プレモーネを拠点にしている日本人のマサト=タケウチです。 一応カウア達ミノタウロスやサンダーウルフ達の主です。 ちょっとパルン王国の反乱鎮圧の件に首を突っ込んでたので遅くなりましたが、大体目途がたったのでこちらに来ました」
そう言って挨拶をすると、フェインド王国側の指揮官クラスの中から年配の方が進み出てきます。
「これは、あの魔物達を使役しているマサト殿が自ら来られるとは、私はこの防塁の総指揮を任されているダダルインと申します。 この度の魔物の大発生はこの防塁で堰き止めねば大陸全土に被害が及びます。 聞けばドグレニム領から援軍を出すように口添えを頂いたとか、その上この度の参陣誠に感謝します」
ダダルインさんはそう言って丁重な挨拶をし、握手を求め右手を差し伸べます。
握手をして思ったのですが、ダダルインさんの手は長年剣や槍を振るっていたのでしょう、ゴツゴツとしていかにも軍人一筋の人生を送ってきた武人と言った印象です。
「それでダダルインさん、一応自分の配下にはゴブリン軍団が後6000匹以上居るんですが呼び寄せますか?」
「ゴブリンが6000匹か、それは味方を襲う事は無いのか?」
「はい、基本的には人間に襲われない限りは攻撃をする事を禁止していますので、人間から攻撃をしない限りは大丈夫です。 まあ統率は取れてますし、食料は自弁ですから陣を張る場所さえあれば問題ないと思いますよ」
「そうか、まあ陣を張る場所はいくらでもあるし、これから魔物がもっと砂漠を越えてきた場合貴重な戦力にはなるな…」
「そうですね、戦力増強にゴブリン軍団は持ってこいです。 それとアモンさんとも話をしていたのですが、魔物が砂漠をどうやって超えて来るのかを調べてみたいんで、防衛参加と一緒に調査をさせてもらっていいですか?」
「調査だと? 確かに調査をし原因を突き止めれば対処法が見つかるかもしれんが、魔物が溢れる砂漠を調査などどうやってやるのだ?」
「サンダーウルフ達に調査をさせます。 そもそもサンダーウルフもミノタウロスも死霊術で従属化させたうえで眷属にしたので食事とかは必要ないんですよ。 なので砂漠で飲まず食わずの状態で調査が出来るので」
「そうか、飲まず食わずで活動できるとはな、確かにそれなら砂漠を越えて先にある大地で何が起こっているのかまで調べられそうだな」
ダダルインさんはそう言って納得をしたような表情で頷きゴブリン軍団の参戦と調査の許可をしてくれました。
うん、総指揮をしているダダルインさんって結構柔軟な思考の持ち主だな、ご年配の人だから頑固一徹かと思ったけど、これなら防塁の防衛もやりやすそうだな。
その後も、防塁警備の打ち合わせなどを行い、解散となったので、ダダルインさんから割り当てられた区画にゴブリン軍団を移動させるため二ホン砦にゲートを繋ぎ、ゾルス達を呼び寄せます。
今回はロゼフが砦の整備にドハマりしているので、ロゼフには留守居をして貰い、砦に居るゴブリン、知らぬ間に7000匹を越えているようなので、そのうち6000匹を呼び寄せます。
ゲートから整然と隊列を組んで出て来る完全装備のゴブリンを見てフェインド王国兵も、騒ぎを聞きつけて様子を見に来たダダルインさんをはじめ指揮官クラスの人達も驚いたような表情をしています。
ゴブリン軍団は到着するとすぐに割り当てられた場所に陣を張り、寝床のテント、炊事場、トイレなどの建設を始めます。
とりあえずダダルインさん達にゴブリン軍団の幹部を紹介する為に、ゾルス、バルタ、ハンゾウ、そして古株のゴブリンロード4匹を連れて挨拶に行きます。
整然と隊列を組んで出て来たゴブリンだけでなく、指揮官クラスの挨拶を受けたダダルインさんやその他の指揮官クラスの人は予想通り絶句していましたが、丁寧な口調で話すゴブリンに安心したのか、笑顔で挨拶を交わし和やかな雰囲気で顔合わせが終わりました。
「マサト様、あのダダルイン殿と言う御仁、中々の強者と見受けましたが…」
陣に戻る途中ゾルスがそんな事を言い出したので理由を聞くと、どうやら握手をした際に、明らかに長年剣や槍を握り、振り続けた武人の手のひらだったとの事です。
うん、ゾルス、それね、自分も最初に握手した際に思ったんだけど、ゾルスもそう感じたんだね…。
その後陣に戻った後、影からアルチ達残りのサンダーウルフ達に出てきてもらい、サンダーウルフ達の中から5匹ほどを選出し砂漠の調査に向かわせます。
「イルチ、ウルチ、エルチ、オルチ、カルチ、とりあえず砂漠の調査をお願いね、それと危険だと思ったら即撤退していいから」
そう指示を出すとイルチ達は頷き、一斉に防塁を飛び越え砂漠を走っていきます。
それにしても広大な砂漠だし、もう5匹ぐらいサンダーウルフを調査に出した方が良かったかな?
まあその辺は今後の様子を見て決めればいいか。
ていうかよくよく考えたらドグレニム領の防衛戦力、二ホン砦に居るロゼフと居残り組1000匹程だけど大丈夫かな?
なにかあったらグランバルさんから通信魔道具で連絡あるだろうし、まあいっか。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




