反乱の首謀者
244日目
昨日、謁見を終わった後にワンダムさんにお風呂の売り込みをしたところ興味を持ったようで、日本人に風呂を用意したら住み心地が良くなるか聞きに行ったようで、結果的に王城に使用人用に男風呂、女風呂、そして王族用、さらに日本人用の男風呂、女風呂の合計5か所の設置の依頼が来ました。
金額は自分の言い値、一つ設置で200万レン、合計で1000万レンのお買い上げです。
うん、いい稼ぎになった。
しかも即金で用意してくれるとは、流石に海上交易で栄えている国だね。
そんな訳で、これから宿を出て王城に向かおうかとしていると、宿の従業員が来客を伝えにやってきます。
「来客?」
来客が来るような心当たりは無いんだけどな…。
そう思いながらも宿の一階にある食堂に向かうとセロスが席につきこちらに手を振っています。
「なんだセロスか…。 ていうか自分がパルン王国に居るってよくわかったな。 しかも宿まで探し当てるとは」
「いや~、なんだは酷いですよ~お兄さん、ていうかマサトさん」
「いきなり心当たりのないのに来客だなんて言われたら構えるだろ? 安心したからこそ、なんだって行ったんだよ。 それでどうしたんだ?」
「どうしたんだ?じゃないですよ、マサトさんが調べろって言ったんでしょ? 首謀者の件」
そう言ってセロスは飲みかけの果実酒が入ったコップを口に運び飲み干します。
「ああ、依頼はしたが、もうわかったのか? もう少し時間がかかると思ってたんだが」
「まあ俺もそう思ってたんですがね、調べだしたらアッサリと見つかったんですよ。 簡単でしたよ、反乱に加わっている奴らに、この素晴らしい思想を故郷のバイルエ王国で広めたいから偉い人に会いたいって言ってたら直ぐに幹部連中に会えましたし。 バイルエ王国をこの思想で救った暁には幹部への昇格まで約束されましたから」
セロスはそう言って笑いながら給仕の女性に果実酒のお替りを注文します。
「ていうかセロスの故郷はバイルエ王国だったのか?」
「いえ、違いますぜ、俺の故郷はこの大陸で一番大きい国のソパニチア王国です」
「違うんかい! ていうかソパニチア王国ってどの辺にあるんだ?」
「まあ場所的に言えば旧ウェース聖教国の北東って所ですかね、一応国境も接してますぜ。 まあそれは後で話すとして本題の首謀者の件を話してもいいですかい?」
「ああ、頼む」
「そえじゃあ、反乱の首謀者達ですが、現在分かっているのは幹部は10人、そのうち日本人は7人、残りはパルン王国の奴でした」
「日本人は7人か、多いと言えば多いけど、やらかしてる事の大きさを考えたら少ないと見るべきか…。 それで日本人の名前は?」
「はい、名前ですが、一番偉い奴総指導者と名乗る奴は書記長という役職でカズオ=ノダって言います」
セロスの言葉を聞いた瞬間、あの人はいい歳して何をやらかしてくれてるんだ!
そんな思いと共に、深いため息が出ます。
「セロス、残りの幹部は、ヤマシナ、ヤナセ、ホシノ、ヒロセ、フナツ、ミヨシの6人じゃないか?」
「ほう、マサトさんも調べていたんですかい?」
「いや、野田って言うのは以前ドグレニム領に居たんだよ、その上、自分が日本に居た時の上司だ、そいつがさっき言った6人と共にパルン王国の間者に引き抜かれて出て行ったんだ」
「そうだったんですかい、それにしても何でドグレニム領であんな思想を広めないでわざわざパルン王国で広めてるんですかい?」
「それは簡単な理由だね、ドグレニム領には自分が産業の根幹を握っているうえに、あんな思想は真っ向から否定する以上、思想を広めても得られる利益が少ない、それに比べパルン王国は栄えているうえ、貧富の格差が多く収入の少ない労働者が富裕層に比べてかなり大勢いるから思想を広めやすい。 それだけだろ」
「そんなもんですかい。 それにしてもマサトさんはやっぱり只者じゃあなかったですね。 あっしの目に狂いは無かったわけだ」
そう言ってセロスはドヤ顔で酒をは口に運びます。
「それで拠点とかは調べて来たの?」
「ええ、とは言え数が多くて全部は調べきれていません、あいつらは複数ある拠点を小まめに移動してます。 とは言え繋ぎを付ける際の拠点は3箇所ありますんでそこは調べてあります」
セロスはそう言って拠点のある町や村、そして拠点となっている店や宿などを記した紙を渡してきます。
「それでセロスはバイルエ王国に思想を広めて乗っ取りを手伝って幹部を目指すのか?」
「まさか、ご冗談を、あんな面白みも無い思想を広めて幹部になんてなるよりも今の方が気楽で楽しいですからね、それにマサトさんが乗り出してる時点で最悪行きつく先は処刑場でしょう?」
「まあ賢明な判断だね、それにセロスは情報屋として恐らく大陸一だろうからな、仕事には困らんだろうし」
「そんなに褒められるとムズカユイですぜ、まあ俺は情報を売って大金を得てそれをパァ~っと使うのが好きなんでさぁ、その辺マサトさんは上客ですからね、是非とも今後も御贔屓にして頂きたいもんですね」
セロスはほろ酔いなのか上機嫌で席を立とうとします。
「セロス、報酬をまだ渡してないぞ! 報酬を受け取り忘れる情報屋なんて情報屋が聞いて呆れるぞ?」
そう言って金貨を30枚程テーブルに積むとセロスはいそいそと財布代わりの巾着に金貨を入れて行きます。
「さて、次はセロスにソパニチア王国の日本人を調べてもらおうかな」
「ソパニチア王国ですかい? それはまた何で?」
「いやただ何となくだけど、この大陸で最大の国土を持つ国って事は日本人も多くいる可能性がある、日本人の情報は少しでも多く欲しいんだよね」
「そうですかい、まあ俺は構いませんが、マサトさんはソパニチア王国についてどの程度知ってるんで?」
「いや全く知らん、国名と場所は知ってたけどそれ以外はサッパリだな」
「そうですかい、まあ俺の故郷ではありますが、一言で言うと貴族同士が権力争いを常にしている纏まりのない国ですね」
「あ~、大国あるあるだね、まあとりあえず日本人の情報と一緒にきな臭い事があれば調べて教えてくれる?」
「わかりました、では俺はこれで」
そう言ってセロスは宿の食堂を出て行きました。
うん、やっぱりセロスは優秀だな、とりあえず接点を失わない為に仕事依頼したけど実際の所ソパニチア王国の事なんかはどうでもいいんだよね…。
さて、有意義な情報も入った事だし、これから王城に行って風呂を設置して荒稼ぎでもしようかな。
やっぱ金がある国は金払い良いしボッタくるのには最適だな。
ついでに日本の酒とかを売りつけとこうかな。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




