援軍の派遣
ロ二ストさんが席を外し、30分ぐらい経ったでしょうか、複数の足音が聞こえ執務室にロ二ストさんと国王のウィルさんが入ってきます。
「マサト、久しぶりだな」
そう言って気さくに声をかけて来る国王のウィルさんがソファーに座り話しが始まります。
ウィルさんにも社会主義の説明をし大まかに理解をして貰って紹介状の話をすると、ウィルさんはだったらと言いバイルエ王国、国王からの紹介状の方が効果があるだろうとの事です。
うん、どうやら国王のウィルさんが紹介状を用意してくれる感じだな。
これならかなり国の要職に就く上の人間と会えそうな気がしてきた。
あとウィルさんの要望としてはパルン王国にばら撒く本をバイルエ王国にもばら撒いて欲しいとの事です。
まあこれに関してはパルン王国にばら撒いた後でまとまった数を用意して渡すとの事で了承を得ました。
「それで紹介状の方は手配するとして、マサトはフェインド王国の話は聞いているか?」
「フェインド王国? 死の砂漠って言うのがある国ですよね? なんでも大量の魔物が砂漠を越えて来たって聞きましたけど」
「そうだ、死の砂漠の先にある大地は未開の地で魔物が支配する土地ともいわれている、そのうえオアシスも無い砂漠を越えられる魔物は早々いないうえ、稀に越えてきても弱り切っていて討伐するのも簡単なんだが今回は様子が違うらしい」
そう言ってウィルさんはロ二ストに指示を出し用意をしていた数枚の報告書を自分に渡します。
「ドグレニム領も間者を放っているから大まかな情報は入っているだろうが、このバイルエ王国はフェインド王国と盟約を結んでいてな、詳細な情報が入って来るんだ」
「なるほど、バイルエ王国はコソコソ探らなくても詳細情報が入って来るって事ですね」
「ああ、さらに言うと援軍の依頼も来ているぐらいだ」
「援軍ですか? そんなにひどい状況なんですか?」
「まあまずはその報告書を見てくれ」
そう言ってウィルさんは報告書に目を通すように促します。
報告書の内容としては、死の砂漠に異変があったのは8日前、最初はポツポツと魔物が現れた為、稀に居る砂漠を越えて弱った魔物と思い迎撃をしていたところ、砂漠を渡って来る魔物の数がどんどん増えて来た為に砂漠での戦闘を中止して、防塁に依って迎撃する事にしたそうです。
それでも最初のうちはすぐに魔物は居なくなるだろうと予想していたようですが数が減るどころか日々増え続け、さらには人間が倒した魔物の死骸を魔物が喰らい魔石を摂取して上位化まで起きている状況との事です。
現状として、防塁にある門の周辺に魔物を集めて防塁の上から魔物を倒し、その直後門を開いて歩兵が押し出して魔物の死骸の回収をして上位化する魔物が増えないようにしているとの事です。
一通り目を通してたのでウィルさんに疑問を口にします。
「この報告書の内容だと魔物が死の砂漠をものともせず越えてきているように感じるんですが、死の砂漠に何か変化でもあったんですか?」
「いや、それは分からない、だが魔物が減るどころか日に日に増えているとの報告を聞く限りは何かしら砂漠に変化があったか、それとも魔物が砂漠を越えるすべを得たか…」
「まあこの状況じゃ砂漠の調査なんて出来ないですからその辺は調べよう無いですよね…。 それで援軍はどのぐらい出すんですか?」
「そうだな、援軍を出すと言っても既に旧ウェース聖教国領に兵を出しているからフェインド王国へ出せる援軍は2000ぐらいだ、もう既に招集と編成を開始しているから明後日には出発をする予定だ」
援軍は2000か。
多いのか少ないのかイマイチ分からないけど、盟約があるって言うぐらいだから援軍を要請されたら出さない訳にはいかないんだろうな。
それにしても魔物が砂漠を越えるすべを得た可能性がある、か…。
う~ん、自分はパルン王国の方を片付けないといけないし、かといって土田は旧ウェース聖教国領で戦後処理をステレーネさんとイチャイチャしながらしてるだろうしな~。
ゾルス達を派遣するにしても知らない国の人間からしたら魔物は魔物だろうし。
さてさて、どうしたものか…。
「ウィルさん、一旦プレモーネに戻ってグランバルさんに援軍の打診をしてみるんで少し待ってて貰ってもいいですか?」
「グランバル殿に援軍の打診? だがフェインド王国とドグレニム領の間には盟約もないのだから援軍を出す理由がないぞ?」
「まあ理由としては自分の眷属とその配下を出すにあたってフェインド王国側に安心をして貰う為って事ですかね、それに援軍を出してよい印象を与えておけば今後友好関係を築くのが多少は楽になるでしょうし」
「まあ確かにな、今後友好関係を築くのを視野に入れるのであれば援軍を出す口実にはなるか」
「まあそんな所です、それに本来なら自分がゴブリン軍団を率いていきたい所なんですけど、今はパルン王国の反乱を抑え込む方が重要ですし、早くに話がまとまればいいんですけど時間がかかる可能性も高いですし」
「マサトにとっては、魔物の大量発生よりパルン王国の反乱の方が重要なのか?」
ウィルさんは自分の言葉に少し不思議そうな顔でそんな事を訪ねます。
「そうですね、社会主義の方が厄介ですね、除去をしても根っこの一部が残っていればすぐに生えて来る雑草みたいなものですから社会主義の信望者が隣国に広がるように侵食をしていくと手が付けられなくなります。 それに比べたら魔物の方が可愛いぐらいです」
「そうか、抜いても抜いても生えて来る雑草か…。 確かに厄介だな、その雑草が国の屋台骨を揺るがすと魔物討伐どころでは無くなる、そういう事か?」
「そういう事です」
うん、ウィルさんは流石仕事の出来る国王だね、自分が言いたい事を直ぐに理解してくれる。
そう思いながらもウィルさんには暫く待っていてもらい、転移魔法でゲートを開きグランバルさんの執務室に移動をします。
「マサト、いきなり執務室に移動してくるのは失礼とは思わないのか?」
執務室に入るなりグランバルさんが非難の声を上げますが、ゲートの向こう側にウィルさんとロ二ストさんが居るのに気が付くとすぐに表情を引き締めます。
「それで何があった?」
「そうですね、フェインド王国に接する死の砂漠を越えて来た魔物の件でバイルエ王国が詳細な情報を持っていて援軍を出す事になってるようなのでドグレニム領からも援軍を出せないかと打診に来ました」
そう言うとグランバルさんは少し考えた後、ゲートを通りロ二ストさんの執務室に移動し、軽く挨拶をしたうえで報告書に目を通します。
「マサト、バイルエ王国国王のウィル殿とロ二スト殿が居る前で言うのもなんだが、ドグレニム領から援軍を出す理由は何だ?」
「そうですね、今後の友好関係を築く為の足掛かり、それと調査に眷属を向かわせたいんですがフェインド王国側からしたら魔物は魔物でしかないですから無用の混乱を招く恐れがあるんでそれの防止ってとこですね」
「友好関係を築く足掛かりか…。 まあ確かに利はある様に感じるが、援軍を出す以上被害も予想される、その辺を天秤にかけたうえでの提案か?」
「ええ、そうですね、まあドグレニム領からの援軍にはサンダーウルフを10匹とミノタウロス10匹を付けるんでそんなに被害は心配ないかと思いますよ?」
「そうか、確かに戦力としては十分だが、ゴブリンは出さないのか?」
「出したいんですけどね、流石にドグレニム領兵200~500人ぐらいに対して数千のゴブリンが付いてきたら流石に向こうも驚くでしょ? なのでゴブリン軍団は自分がパルン王国での話し合いをして本をばら撒く道筋を付けてからの参戦になります」
「そうか、だが魔物の大量発生よりパルン王国で起きてる反乱の方がそんなに重要か?」
そんなグランバルさんにも先ほどウィルさん達に話した内容を伝え納得をして貰います。
「わかった、ドグレニム領からも援軍を出そう、とは言え兵士を潤沢に抱えている訳では無いから200程になるが」
そういうグランバルさんにウィルさんが数は重要ではないと伝え、バイルエ王国兵と一緒にフェインド王国に行く事になります。
グランバルさんとウィルさんが話し合い、明後日の朝にバイルエ王国を出発する事に決まりグランバルさんはゲートを通りプレモーネ戻っていきました。
さて、なんだかんだ話しているうちにウィルさんからの紹介状と添え状を貰ったし、明後日の朝にドグレニム領兵をゲートで移動させてサンダーウルフ10匹とカウア達ミノタウロスを付ければ大丈夫かな。
あとはゾルス達に戦闘準備を指示していつでも出発できるようにさせておこう。
どなたかレビューを書いてくださる猛者は居ませんでしょうか?
と思う今日この頃…。 自分でもこの物語のレビューをうまく書ける自信がありません。
そんな中でも読んで頂き、ブックマーク・評価、また、感想を頂き誠にありがとうござます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




