オダ帝国潜入
222日目
転移魔法のゲートで旧ウェース聖教国方面に繋がる道、現在は新領地へと繋がる道の入り口に移動をするとゾルス達に指示をしていた通り100メートルほどの幅がある道が出来ています。
ラルに乗って進捗を確認する為にしっかりと土の固められた広い幅の道を進むとゾルスが率いるゴブリン達は大体3/4程道作りを終わらせてまもなく終了と言った感じです。
「ゾルスご苦労様、ていうかなんか予想よりも工事の進み具合が早いようだけどどうしたの?」
「これはマサト様、よくお越しくださいました、ご覧の通りもう暫くで道も完成いたします」
「そうだね、そえにしても進む具合が早いのは何かあったの?」
「それでございますが、野良ゴブリンの群れを幾つか配下に加えましたのでゴブリンも増え工事もはかどっております」
そう言って胸を張るゾルスですがどうやらまたゴブリンが増えたようです。
まあ食料には困らないんだけどどこまで増えるんだ?
「じゃあ自分も錬成術で手伝うから残りもパパっと終わらせよう」
そうゾルスに伝え錬成術で地面を柔らかくして木を抜きやすくしていきます。
錬成術で手伝いをしながら増えたゴブリン達を観察しているとどうやらロード級のゴブリンが率いる群れなどを配下に加えたみたいで工事に参加しているゴブリンが大体3000匹はいる感じです。
うわ~、一気にゴブリンの数が約2倍か…。
これだと一国の軍隊でも相手に出来そうな気がしてきたな。
223日目、224日目
夜はプレモーネ戻り朝から夕方までは道作りを手伝っていると新たに領土となった土地へと繋がる広い道が完成しました。
幅は約100メートル程で地面は土を固め、道端の木は除去をして更地にし、路面がデコボコになった際に土を掘り出して地面の補修を簡単に出来るようにしてあります。
それにしても工事を行うゴブリンの為に作ったと思われる水場も整備され、この道を通る人や馬などが休憩できるような配慮も各所に見受けられます。
何より驚いたのは道の途中3箇所程に広い空き地を作り、その空き地を柵で囲って簡易的な野営場所まで作られています。
「ゾルス、これならここを通る人も楽に行き来できるね」
「はい、以前バイルエ王国へと繋がる道を作った際の工事を参考に致しました」
「うん、ここまで良いものが出来てるとは思ってなかった。 でも流石ゾルスって感じだね」
「ありがとうございます」
そう言って嬉しそうにするゾルスに、砦への帰還準備を始めてもらい、準備が出来たゴブリン達から順に転移魔法でゲートを開き二ホン砦に移動をさせます。
二ホン砦に戻るとゾルスとロゼフ、そしてハンゾウを館に集め今後の事を話し合いますが、一気にゴブリンが倍になったので、ロゼフの案を取り入れて砦の拡張と新たに加わったゴブリンの訓練、教育を優先する事になりました。
まあ武器や防具は胴丸と短剣など、今ホブゴブリンに進化したゴブリンが使っていたお古があるのでそれを支給する事で装備の不足は補えそうです。
二ホン砦の事はゾルスとロゼフ、ハンゾウに任せて自分はプレモーネにもどり、一応グランバルさんに報告をしてから自宅に戻り、オダ帝国への潜入準備に取り掛かります。
225日目
オダ帝国への潜入準備とはいえ、ただ商人に扮して馬車を引いて堂々と入国するだけなので、バイルエ王国へ移動しロ二ストさんから依頼していた通行証と商人としての身分証を受け取り、国境付近へゲートを開き移動をします。
国境近くの街道の周りは穀倉地帯となっているようで道の両側は田畑が広がり、空にはトンボが飛び交い、まさにのどかな田園風景といった感じです。
用意していた荷馬車をラルに牽かせ国境の検問所を目指しますが、のどかすぎて昼寝をしたくなってきます。
うん、ポカポカして気持ちがいいな…。
それでも一応は潜入が目的なので、商人になったつもりで街道をしばらく進むと国境にある検問所が見えてきました。
検問所と行ってもバイルエ王国とオダ帝国それぞれに検問所が設けられ間に100メートルぐらいの緩衝地帯があるだけで、検問所自体も木の柵が立てられただけで、門も質素で、建物も木造の小屋が数件建っているだけでとても国境の検問所という感じではありません。
そしてなにより、両国の兵士に通行証と身分証を見せると荷馬車の中身も確認せず、すんなりと入国を認められます。
うん、こんな簡単に入国出来るってどんだけユルいんだ。
それともそれだけ平和ってことなのかな?
そんな事を思いながらラルに歩く速度を速めてもらい、検問所が見えなくなった所で、荷馬車をしまい、ラルに乗って首都のアズチを目指します。
街道を進みながら景色を眺めると、オダ帝国も食料の自給に力を入れているのか、田畑や所々に集落などが点在し、農業も盛んな印象を受けますが、ここものどかな田園風景です。
というより異世界と行っても中世ぐらいの文明レベルだから農業は国の土台となる主要産業だもんな。
農業が盛んなのは当然と言えば当然か…。
そんな事を思いながらラルに揺られると、水堀に囲まれた城壁、というよりこれは惣構と言える城と町が見えてきます。
これがオダ帝国の首都アズチか…。
城壁で囲まれた町と違って圧迫感は無いけどこれはこれで勇壮と言うか壮大と言うか、なんか戦国時代末期にタイムスリップした感じです。
そんな事を思いながら、首都アズチを小高い丘の上から眺めますが、一言で言うとやはりデカい!
江戸城や大阪城、それに小田原城の総構ってこんな感じの広さだったのかな。
そう思えるぐらいに広く、小高い丘の上から見るだけでは全容は分かりませんが水路が張り巡らされそれが堀の替わりとなり、要所には門が構えられている為、いざとなればすべての門を閉じ橋を落とし、要所に兵を配置したらと考えると、攻め込むとなると厄介そうです。
とは言え人間相手なら要所を守ればいいけど、相手が魔物の群れだと種類によっては甚大な被害が出そうな気がするけど、過去に魔物に攻込まれた事無いのかな?
丘の上からアズチの町と城は、いつまで見てても飽きが来ないので、見入ってしまいますが、本来の目的はアズチの調査、というより日本人の噂程度でも調べる事なので、町からは見えないところまで移動をし周りに人が居ないか確認をし、アイテムBOXから荷馬車を出してアズチの町に向かいます。
とはいえフォレスホースのラルが牽く荷馬車は目立つようで、道を進んでいくとすれ違う商人達などが物珍しい様子で荷馬車を見て行きます。
うん、馬を買ってきて牽かせた方が良かったな。
これじゃあ目立ち過ぎだ…。
とは言えここまで来て引き返す訳にもいかないので、そのまま進み、町の入り口に位置する門の前に行き、門を守る兵士に通行証と身分証を見せます。
流石に首都の出入りする以上、それなりに厳しいかと思ってましたが、ここでも簡単に通行証と身分証を確認しただけで町に入事を許可されます。
あまにも入国が簡単すぎるので呆けていると兵士が声をかけてきます。
「おい、どうした、町に入る許可はしたんだ、なのに何を呆けてる?」
「いや、他国では町に入る際もっと厳しく積み荷やらの検査があるのにアズチの町はすんなり許可されたんで…」
「なんだ、お前はアズチに来るのは初めてか?」
「はい、初めてです。 他の国とは違って高い城壁に囲まれても居ないですし、なんか活気もありますし、驚いております」
「そうか、そうだろう、だがこのアズチ、いやオダ帝国は商人以外でも自由に商売が出来るうえ、市などは税がかからないから商売が活発なんだ。 だから町に入る商人などの検査も簡略化されてるんだよ。 検査が厳しくて時間がかかったり少し怪しいからと言って追い返したら商売が盛んにならんだろ?」
「確かにそうですね、いや私達商人からしたら、大変うれしい限りです」
そう言うと声をかけて来た兵士は自慢げに頷くと、持ち場に戻っていきますので、自分もそのまま荷馬車を進め町に入っていきます。
さて、まずは宿を探そう。
それにしても、関所はあるけど形だけで市などは無税、これって楽市楽座に関所撤廃みたいなもんだよな。
そう考えると国名と言い、門に描かれていた文様と言い、どう考えても信長さんが作った国みたいな感じだな…。
うん、日本人の調査はうまく行かなくても、その辺の所はしっかりと調べておこう。
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