捕縛
土田が指示を出したのか、縛られたままの教会関係者が兵士に囲まれて大聖堂の中に入っていきます。
「土田、縛られたまま連れて行くって酷くない?」
「いや逃げたら困るじゃん、それに隠し部屋や抜け道を教えたら縄は解いて良いって言ってあるし」
「そっか、じゃあ問題ないか、隠し部屋とか教えたら金あげるって言ってるから逃げないだろうしね」
そう言って本陣で報告を待ちますが、報告が来るのはシスターが数名隠れていたとか、下っ端が隠れていたとか言う報告のみで幹部クラスの捕縛報告が何時まで経ってももたらされません。
「土田、どう思う? もう逃げたか、元から居なかったか?」
「いや、捕縛した教会の関係者からの話だと昨日の朝は居たそうだぞ」
「じぁあまだ隠し部屋があるって事だろ? とりあえず自分達も捜索に参加するか?」
「まあそれもいいけど、どこを捜索するんだよ」
「う~ん、とりあえず教皇が普段使う謁見の間的な場所?」
「ああ、よくゲームとかであるあるの椅子を動かしたら階段があるとかか?」
「そう、なんか調べてみたくない?」
「お前ただ暇つぶし兼宝探し気分だろ? まあいいけどさ…」
そう言って兵士の案内のもと教皇が普段謁見などを行う部屋に向かいますが、どうしてこう大きな建物って入り組んでいるのでしょうか。
小中学校の校舎みたいに単純な造りにしてくれないと、謁見の間に行くまででも結構面倒です。
そうブツブツ文句を言っていると土田が呆れたような感じで口を開きます。
「ていうか武内ってさ、飽きやすいタイプだろ? 宝探し気分で出発してもう飽きた感じ丸出しなんだが」
「いや、飽きたっていうか道のりが…。 てういうか階段一本で着くような造りに何でなってないんだよって感じ?」
「そりゃそうだろ、単純な造りだと防犯面など問題あるし、こんな古い、ていうか歴史的な建造物なんだから構造も複雑だろ」
てか今こんなに古いって言った後言い直したよね?
まあ確かに内装は綺麗だけど、所々古さがにじみ出てるもんね…。
そんな雑談をしながら兵士に案内をされて謁見の間に着くと、そこは豪華な造りの空間が広がっています。
「いや~、なんとも豪華な場所だな~」
そう言って部屋を見回していると土田も同じ意見だったようで部屋の中を見回しています。
流石にネレースを信仰する宗教の総本山と言うべきでしょうか、磨き抜かれた床に壁、そして教皇の椅子の後方には煌びやかなステンドグラスが朝日を浴びて幻想的な空間を醸し出しています。
「武内、この部屋ってバイルエ王国の謁見の間より豪華だぞ」
「まあそうだろうな、ていうかこれが宗教の力で金を集めて作られた物なんだから宗教って儲かるよな」
「いや、その宗教が営利目的のような発言ってどうなんだ?」
「確かに営利目的じゃなくて心の拠り所的な宗教も多くあるけどさ、新興宗教とかってなんか営利目的って感じじゃん? テロ起こしたりするしさ…」
「確かにな、だけどウェース聖教国はネレースを唯一の神として信仰している宗教の総本山だろ? だったら新興宗教みたいに営利目的とは違うだろ」
「最初はそうだったかもしれんけど、今の聖教会は営利目的、いや教皇の私利私欲の塊だろ。 そうでなければ領民があそこまで飢えて難民になったりなんかしないよ」
「言われてみればその通りだな…。 それは良いとして、あの教皇の座る椅子が良くあるゲームで隠し階段がある椅子だよな?」
「そうだな、やっぱ調べてみないと」
そう言って自分と土田は本来教皇が座る椅子の所に行き押したり引いたり、スイッチが無いかなどを調べます。
「うん、無いな」
そう自分が言うと土田も同意して椅子から離れます。
「だけどここじゃなければ何処に隠れてるんだ?」
「それは分からんが、土田だったら何処に隠れる?」
「それは隠し部屋だろ?」
「いやそうじゃなくて、どこに隠し部屋を作って隠れるかって事だよ」
「まあ俺が隠れる場所を作るんだったら寝室とかに隠し部屋作って置けばすぐに隠れられるし…」
「じゃあ寝室も調べてみるか?」
そう言って兵士に案内をして貰い教皇の寝室も調べますがこれと言って隠し部屋のようなものは見つかりません。
一応ベッドの下も調べましたが、エロ本は出てきませんでした。
うん、絶対一冊は出て来ると思ったんだけどな…。
「お前はオカンか? なんでベッドの下にエロ本無いか調べるんだよ、あったら机の上に置いておく気か?」
「ていうか健全な男子が一回は通る道だろ? だったら教皇も同じかなって思って」
「お前な~、そもそも異世界にエロ本って無いだろ、てかこの世界に来て俺は芸術的な絵しか見てないぞ」
「まあ確かに、風景画とか人物画とかが殆どだよな…」
「ていうか教皇を始め教会の首脳陣は何処に隠れてんだよ!! いっそこの建物自体を一気に破壊して建て直そうか?」
「いや、それは駄目だろ! 一応歴史的建造物だし、ネレース信仰の総本山なんだから破壊はまずいに決まってるだろ」
そんな話をしながら謁見の間に戻ってきましたが、椅子の下には隠し階段ないし、何処に隠れているのか全く見当もつきません。
若干イライラしながら教皇の椅子の後ろにある大きな教会のシンボルの台座を軽く蹴ると何か中が空洞のような音がします。
「おい土田、ここなんか変じゃない?」
そう言って土田を呼んで大きな教会のシンボルの台座を軽く蹴るとやはり中が空洞のような音がします。
「ほんとだな、なんか空洞になってるっぽいな」
「だろ? ちょっとこの辺を重点的に調べてみようぜ」
そう言って二人で台座の周りをくまなく探します。
「おい武内、これ!」
そう言って土田が指をさした先には一見見た目は普通の装飾に見えますが、指をかけて引っ張るような感じになっています。
「土田、とりあえず引っ張ってみろよ」
そう土田を促すと土田は何の躊躇も無く装飾を引っ張ります。
カタン!
そんな音が台座の辺りからしましたので二人で台座を再度調べます。
「土田、これ動くぞ」
そう言って台座を押すと横にスライドするように動き、台座のあった場所の下には階段があります。
「あったな、やっぱ椅子では無かったけど謁見の間に隠し階段ってあるもんだな」
「ああ、武内の言う通り、謁見の間の隠し階段は鉄板だな」
そう二人で何かを達成した感じに浸りながら兵士達に応援を呼びに行かせ捜索を指示します。
「さてここに幹部連中や教皇がいればすべて解決だけど」
「まあ居るだろ。 一番見つけにくそうなところの隠し部屋なんだし、まあ今回は土田のお手柄だな」
そんな雑談をかわしながらしばらく待つと50人程の兵士がやってきて捜索を開始します。
兵士が階段を降りてしばらくすると中から怒声のような声が聞こえ、その後縄で縛られた男たちが兵士に引き連れられて出てきます。
「これはこれはグレーム卿、お久しぶりです。 それで教皇はどなたですか?」
そう言って縛られて出て来た男の一人に声をかけると、声をかけられた男、ウェース聖教国の宰相と言われるグレーム卿が返事を返します。
「武内殿ですか、教皇は最初に連れ出されたそこの太った男ですよ。 それにしてもこの結末は、私のようなスラムの生まれから成り上がった人間の末路に相応しいですね」
そう自嘲気味に笑いグレーム卿は連行されていきます。
うん、スラムで生まれてウェース聖教国の宰相って言われるまでに成り上がるって相当な事だと思うよ。
なんせこんな魑魅魍魎が跋扈してそうなところで成り上がるなんて早々出来る事じゃ無いですし。
まあ担いだ神輿が悪かったんでしょうね。
ていうか悪い神輿だから担いで教皇まで押し上げられたんでしょうかね。
さて、後は町への布告と統治と村々の復興ですが、領地が広がってもそこが荒れ果ててたらやる事多くて大変だ。
うん、ドグレニム領の取り分の土地の復興はグランバルさんに頑張ってもらおう、だって自分は領主じゃないし…。
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