猜疑心
「武内君、今回は私が出る幕が無かったな」
そう言って苦笑いをしているのは月山部長です。
「そうですね、ゲートを閉じたように見せかけてしばらく小さいゲートを開いて向こうの状況を様子見しましたけど、ゲートを閉じた後はかなり慌ててましたし、再度日本政府も対策の練り直しでしょうね」
「それにしても、前回話した感じだともう少しまともな回答が得られると思っていたんだが、出てきた答えが日本政府の監視下で隔離か・・・」
そう言って月山部長はソファーにもたれ掛かりため息をついています。
まあ月山部長も落胆するのは同然でしょう。なんせ日本政府は自分達には色々と提供するよう要求するのに、返ってきた答えは隔離。落胆するのは当然でしょう。
「武内君、私達は日本に帰っても居場所があるのかな?」
そう言う月山部長の言葉は少し寂しそうな感じの雰囲気を受けます。
そんな中、土田が疑問に思ったのでしょうか、口をひらきました。
「ていうか隔離っていっても一時的に変なウイルスとか持ち込んでないかを確認して魔法に関する事を調べるだけだろ?そんなに深刻に考える必要ないんじゃないのか?」
そう言って土田は不思議そうな顔をしています。
「まあ、善意で向こうが言ってるならそうだろうけど、考えてみ?地球上で存在していない魔法を使える人間が居るんだぞ?それも集団失踪扱いの。てことは政府が集団失踪、行方不明者という事にしたまま秘密裏に隔離して死ぬまで拘束されて実験材料にされる可能性もあるって事なんだよ」
「いや、日本だぞ?そんな事ある訳ないじゃん、そんな事したら大問題になるし、そもそもそんな事を隠し通せるわけないだろ」
「さあな、ただ日本だって世界に先駆けて魔法なんてものを解析出来れば様々な事で各国にアピールできるし場合によっては莫大な利益が出る可能性もあるからな。それに国家なんて国民が知らない闇が絶対あるぞ」
「まさか~、アメリカで言う所の宇宙船を保管してるとか宇宙人の死体を保管してるとかか?」
「まあ、真偽は定かじゃないけど、そういう事だな。それに場合によってはそんな状態の中でも外国のスパイに麻酔で眠らされ拉致され目が覚めたら知らない研究所だなんて事も冗談抜きであり得るからな」
そう言って土田に話をしますが、あまり信用していないようで、流石にそれは無いだろうと言うような顔をしています。
「まあ武内君のいう事も少しオーバーだが無いとは言い切れないし、恐らくそれに近い状態になる可能性が高いだろうな。土田君みたいに完全に日本政府を信用しきっているのは問題だな。実際武内君の言う通り国家には必ず闇があるものだよ」
月山部長がそう言うと土田も少しは危機感を持ったのか、神妙な顔をして月山部長の話を聞いています。
「まあ武内君も土田君も、日本政府に対してはある意味こちらの方が有利な立場で交渉が出来る状態ではあるのだから、この状態を維持したまま交渉を有利に進めるしかないだろう」
「そうですね、居場所を意地でも作る様にチョイチョイ時間をかけて交渉していきましょう。今回の話で向こうもこちらが日本の情報を得ていると理解したでしょうから一方的な事は言えなくなって譲歩せざる得ないでしょうから」
そう月山部長に話しかけると、再度ため息をついて天井を見上げています。
まあ、日本に無事帰れて元の生活に戻れると思ったら日本政府の回答が隔離ですからね。
流石に家庭がある人からしたら深刻な問題でため息もつきたくなりますよね。
191日目
昨日は日本政府との話をした後、3人で公衆浴場に行き、広い風呂でのんびりした後土田をバイルエ王国に送り返して置きましたが、なんかしっくりしない感じがします。
うん、全く予想外の方針を伝えられたのが自分の中で気に入らないんだろうな・・・。
そう思いながら本日は何をしようか考えます。
うん、ストレス解消がてら採石場に行って魔物の追い込み漁をしよう。
そう思い、ゲートで採石場に向かいアルチ達に魔物を追い込んでもらいます。
とはいえ夕方には帰るのでそんなに多く追い込まずにそこそこの数を追い込んでもらうように頼んでおいたからでしょうか、夕方になる前にはあらかた片付きましたのでカウア達に魔石の回収と死骸の仕分けを依頼し、岩の上に座り夕日でも眺めます。
それにしても、異世界転移した後に日本政府とかと接触したら大体好待遇で至れり尽くせりがセオリーなのに、現実はうまく行かないな。
検疫はともかく隔離は予想外だった。
まあ最悪は堂々とマスコミとかと接触して政府に強制的に異世界転移を認めさせたうえで隔離とか計画してた事を暴露してこっちの都合の良いようにしないとだけど、マスコミの餌食になるのも諸刃の剣みたいなもんだしな。
何が正解なんだろう・・・・。
そんな事を思いながら夕日を眺めていると、魔石の回収と魔物の死骸を仕分けし終わったカウア達が声をかけてきます。
「マサト様、如何されましたか?」
「いや、何でも無いよ、まあ今後の事とか考えてただけ」
そう言いながら魔石を受け取りアイテムボックスに魔物の死骸を収納してプレモーネ戻ります。
それにしても、やっぱり魔石の数と魔物の死骸の数が合わないな、明らかに死骸より魔石の方が多い。
この分だといつ魔物の大量発生や、上位種の出現があってもおかしくないな。
とはいえ、魔物を思いっきり乱獲してレベル上げないとゲートの大きさを広く出来ないし、なかなか思い通りに行かないもんだね。
うまい事楽してでもレベル上げないと。
それにしても、異世界人順位1位の人って誰で何処に居るんだろう。
脅威にならなければいいんだけど・・・・。
------------------------------------------
異世界人順位:2位
名前:マサト=タケウチ 人間 (35歳)
LV:351
職業:錬成術師
ステータスポイント:500
HP:1248
MP:3484
体力:951
筋力:778
敏捷:401
知力:339
物理耐性:275
魔法耐性:215
スキルポイント:1095
スキル:
中級火魔法LV6 中級水魔法LV5 中級土魔法LV4 中級風魔法LV1 中級雷魔法LV2
中級光魔法LV3 中級闇魔法LV1 上級死霊術極 上級付与魔術極 上級影魔術極
中級剣術LV7 中級大剣術LV5 状態異常無効 鑑定LV10 アイテムボックス∞×∞
風纏いLV1 見切りLV8 加速LV3 転移魔法 創造魔道具作成
保留:
質問残0回 ・質問自由1回 ・スキル選択残:3個 ・望み3個 ・望む物:0個
------------------------------------------
ブックマーク・評価を頂きありがとうございます。
拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、誤字、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。




