ロニーニャ領
南西の森の前に着くとゾルス達ゴブリン軍団は集合し帰還の準備をしていますのでゾルス達を見つけ声をかけます。
「ゾルス、残党狩りはどうだった?」
「それがあまりうまくいきませんでした」
そう言って申し訳なさそうにゾルスは結果を話しますが、どうやら森に入ったスケルトンを追いかけるにしても広い森の中ではうまくいかず20体弱を狩っただけでそれ以外は見つけられなかったそうです。
「まあ広い森の中だし仕方ないよね、とりあえず気にせず二ホン砦への帰還準備を進めようか」
そう言いゾルス達と話していると、発生源を調べさせていたアルチ達も帰って来ていたようで話に加わった来ました。
「マサト様、発生源を突き止めました」
「少し攻略した迷宮からだった?」
「いえ、以前オーガが根城にしていた遺跡からでございました」
「あの遺跡から?あんな所からも魔物が発生するんだ・・・・、それで今後も魔物が発生しそうだった?」
「それについては何とも、ただ魔力が溜まっていたりする感じはしませんでしたので、しばらくの間は大丈夫かと思います。」
そう言うアルチ達からの報告を聞きつつ迷宮の方はどうなっているのか気になりましたが、何時大量発生が起こるか分からない状況で迷宮探索とかしてると絶対怒られると思うので、少し落ち着いたらロゼフに指示を出して迷宮調査をさせようと思います。
「マサト様、帰還の準備が整いました。」
ゾルスが報告に来たので転移魔法を使い二ホン砦にゲートを繋げゴブリン軍団を移動させますが、なにやら騒がしいです。
「マサト様、敵襲です!!二ホン砦が攻められております!!!」
そう言って最初にゲートをくぐったロゼフがゴブリン達をかき分けて戻ってきます。
「敵襲?誰が何のために?」
「コボルトの群れでございます!二ホン砦は本丸と二の丸の一部を残すのみで風前の灯です、他はコボルトに占拠されておりますぞ!」
そう言って慌てているロゼフですがゾルスとバルタがすぐさまゴブリン達に指示を出します。
指示を受けたゴブリン達はすごい勢いでゲートをくぐり二ホン砦に移動し応戦を開始するようです。
とりあえず自分はゴブリン達が全員移動をしたのを確認してから二ホン砦に足を踏み入れ状況を確認しますが、砦に攻込んでいたコボルト達は急に現れた大量のゴブリン達の襲撃を受けて右往左往している状況です。
「ロゼフ、ぱっと見でどの位被害がでてそう?」
「そうですな、砦の外の畑は確認しないと分かりませんが、建物とかには被害はなさそうですので食料庫が荒らされている可能性があるくらいでしょうか」
「そう、ならいいんだけど、まあコボルトは火を放ったりしなさそうだからそこが救いだね」
そう言いながら砦内で繰り広げられている戦いを見ていると圧倒的にゴブリン達が優勢のようで次々に打ち取られていきます。
「ロゼフ、あのコボルト達、死体が残らないってことはスケルトンと一緒で魔力によって生まれた魔物だよね?」
「おそらく、ただスケルトンとは数が違いますのでそこまで強大な魔力が溜まった場所で発生したのではないかと思われますが、これではうかうかと砦を離れられませんな」
本当にその通りだなと思いつつ、バイルエ王国へ続く道の所に作った砦も気になりましたが、とりあえず今は二ホン砦に入り込んだコボルトの群れの殲滅を見守ります。
1時間もしないうちにコボルトの群れは殲滅され砦は静かになりましたが、ロゼフと留守番をしていた内務にあたるホブゴブリン達が慌ただしく被害状況を確認しています。
自分は一旦、転移魔法でバイルエ王国に続く道に作った砦を見に行きましたがこちらは特に問題も無くゴブリン達が警備していましたので、カウア達ミノタウロスにはこの場所に残って道路建設予定地の木を抜く作業を指示して二ホン砦に戻り、とりあえず被害状況の確認を内務にあたるゴブリン達に任せ、ゾルスとバルタ、ロゼフにハンゾウを屋敷に呼んで今後の話をします。
とは言え話と言っても再度の編成と砦の警備、そして今回の戦いで怪我を負い戦闘に加わるのが難しくなったゴブリン達の今後です。
再編成は明日以降、ゾルスとバルタを中心に行ってもらい、ロゼフには砦の破損個所の修理を依頼し、怪我をしたゴブリン達には砦の維持管理や畑作業や保存食作りなど内務にあたってもらうようにします。
ゾルスとバルタは戦えないものは見捨てるべきとの事でしたが、内務にあたるゴブリンも必要ですし、今後も戦闘に参加するとなると怪我をして戦えなくなるゴブリンも多く出て来るのでそれらの生活を考える必要も出て来るので内務にあたらせるように指示を出します。
「あとハンゾウはコボルトの群れの残党が砦の周りに居ないか、あとそこそこ大きな群れを形成している魔物は居ないかの調査をしてね」
「かしこまりました」
「それでゾルスとバルタはゴブリン達の数を再度集計して編成をし直しておいて、ホブゴブリン用の鎧や武器も作らないといけないから。あとは数日後に道作りを再開するから大変だと思うけど
そう言って作業に向かったゾルス達を見送り300着程ホブゴブリン用の具足を作成し日も暮れたので一旦プレモーネ戻り休みます。
155日目
今朝は昨日依頼をしていたスケルトンの魔石を受け取りにギルド向かいますが、最近思ったのですが自分がギルドに入るとうさ耳のお姉さんがビクッってしてなんかソワソワしてるんですが、これってついに異世界のテンプレでよくあるギルドのお姉さんとのドキドキな展開なのでしょうか?
そう思いながら受付に向かいますが、自分がカウンターに行くとうさ耳のお姉さんは目をウルウルさせてこちらを見ています。
「あの、昨日頼んだ魔石を受け取りに来たんですけど・・・。」
「はい、用意はできてます、用意は出来てますが、あれだけの数を翌日にとか言わないでください!おかげて私達みんな残業なんですよ!!残業してもお給金増えないし・・。マサトさんが何か依頼に来るたびに残業なんですから少しは私達職員の身になってください!」
あれ?ドキドキの展開じゃないの?ていうか自分は来る時は仕事が増えるからビクッとしたの?残業させられるからウルウルしてるの?
「今度から余裕を持って依頼しますね、ただ魔物の死骸とかはバンズさんが大量に寄越せって言うからなんでその辺はバンズさんに残業代寄越せって言ってね、まあ自分からも言っておくから・・・。」
そう言って魔石を保管している場所に案内され、魔石をアイテムBOXに収納した後、ギルドを後にします。
うん、ドキドキの展開どころかクレームだったよ。
その後、領主館に行ってグランバルさんに二ホン砦がコボルトの群れに襲われていた事を説明し今日中にロニーニャ領とルイロウ領にひとっ走りして来る旨を伝えます。
「いや、マサト、何しに行くんだ?」
「とりあえず転移魔法で移動するのには一度行った所じゃないと移動できないんで何かあった際の為にただ行って来るだけですよ」
そう言うとグランバルさんははめ息をつきながらロニーニャ領の領主宛の手紙を渡してきます。
「とりあえずこれをロニーニャ領の領主のタステイに届けてくれ。」
「この手紙をですか?一応聞きますがどんな内容なんですか?」
「まあ簡単に言うと今回の大量発生で被害はどうだったかと、ドグレニム領の被害状況、そして道を勝手に拡張整備した日本人の件だ」
「ああ~グランバルさんが知らぬ間に拡張整備された道の件ですね、分かりましたじゃあ届けてきます。」
そう言って手紙を受け取り領主館を後にしてラルに乗ってロニーニャ領に向かいます。
魔物の大発生の後なのにロニーニャ領に向かう道に魔物は現れず、時々交易商人とすれ違うくらいですが、大量発生直後なのに商売をしようとするなんて根性あるな~と思います。
ラルが全速で走ってくれたので3時間ほどでロニーニャ領の領主が居るロイニレスの町に到着します。
門番の兵士さんにグランバルさんから領主のタステイさん宛の手紙を届けに来た旨を伝え領主館に案内されましたが、プレモーネに比べロイニレスの町の領主館はなんか豪華な感じがします。
応接室で待っていると中肉中背の中年男性がやってきます。
「君がグランバルからの手紙を運んできたのか?」
「そうですね、グランバルさんにロニーニャ領観光をするならついでにタステイさんに手紙を届けてくれって言われたので」
「ついでか?それで手紙は?」
「これですね、どうぞ」
そう言って手紙を渡したので帰ろうとしましたが、とりあえず読み終わるまで待てと言われたのでお茶を飲みながら手紙を読み終わるのを待ちます。
「君はマサトと言うのか?」
「そうですけど何か?」
「そうか、君が道の拡張整備をやったのか・・・。グランバルが手を焼くわけだ」
そう言ってなんか納得されてますが、なんか手紙ですごくディスられている気がします。
「まあ、道の拡張整備は確かに助かったが今後は勝手にしないでくれたまえ、それと君は魔物を使役しているようだがわが領内に魔物を連れ込む事は認めんからな、連れ込んだ場合は敵とみなして攻撃をされても文句を言うなよ」
「まあそれはそちらの自由ですけど今回みたいな魔物の大量発生が起きた場合の手助けは要らないという事ですか?」
「魔物の力を借りて魔物を撃退しなくても我々だけで何とでもなる!」
「そうですか、とりあえず情報としてお伝えしときますが、後25日したら再度大規模な魔力の活発化が発生しますから、まあ自分はとりあえず暫くバイルエ王国に続く道作りに専念する予定なんで、じゃあ自分はこれでお暇しますね」
「待て!バイルエ王国に続く道だと?どういう事だ!」
「いやどうもこうもバイルエ王国に続く道ですけど?交易するには道が必要でしょ?だから道を作っているんですよ。」
「そんな事して許されると思っているのか?グランバルは何をしているんだ?」
「さぁ~、諦めているんじゃないですか?まあ道が出来れば交易が活発になって町も栄えるでしょう」
そう言って席を立ち領主館を後にしますが、すっかりこの町に居る日本人の情報を聞きそびれました。
とは言え町を散策しているとドグレニム領のプレモーネよりも栄えている感じの印象を受けます。
恐らく森に囲まれていないうえ近隣との交易路が確保出来ているからでしょう、とは言えいくつか店を周ってみましたがプレモーネで商人に渡した酒などは何処にも売ってません、試しに酒を扱う店に行き交易品として商人に渡しているウイスキーを売りたいと言ったら店主がすごい勢いで喰いついてきます。
「君!!!それはあといくつあるんだ?1本1万レンで買うからあるだけ売ってくれ!!」
「10本あるんで全部売りますけどそんなに人気なんですか?」
「人気も何も、入荷したらすぐに売れてしまうぐらいだ、それに他国からも買い付けに来ているからいくらあっても足りないぐらいなんだよ」
「そうなんですね、他にプレモーネからの交易品で人気があるのは何ですか?」
「今、プレモーネから商人が持ってくる物すべてが大人気だよ、まあ塩なんかは別だが砂糖や酒、ジュースやお茶なんかも人気だ、それに石鹸なんかも需要が急増していているぞ」
「そうなんですか、じゃあロニーニャ領からプレモーネに商品を仕入れに行く商人なんかも多いんでしょうね?」
「いや、それが流石に魔物の多い森を抜けて交易に行く奴は居ないからな、向こうから持って来るのを待っている状態だ」
「そうですか、所でこの町に転移して来た人っているんですか?」
「ああ、居ると聞いたことはあるが会った事は無いな、神託があったんで豊かになると期待はしたんだがね」
そんな感じで雑談をしたあとウイスキーを10本売って町を後にします。
それにしてもこの町に居るはずの日本人は何処に居るんだろう・・・。
グランバルさんに依頼して要調査だな・・・。
そう思いながら、ラルに乗りルイロウ領のタンムの町を目指します。
グランバルさんの話では女性って言ってたけどまあ会う事は無いでしょう。
とりあえずタンムの町についたら交易品の売れ行きと日本人の調査をしてからプレモーネに戻ろう。
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