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ぼーびろく

作者: O田 とろ

 日々、ぼーっと生きているつもりでも何かと事が起こり、それをやはりぼーっと忘れないために書いてみる。


 歯のはなし


 某日、息子の歯が抜けた。齢5歳なので乳歯である。小さな小さな歯は本人が知らぬ間に消えてしまった。抜けた歯はこの世のいづこかへ失われてぽっかり抜けた空間が下の歯列の真ん中にできている。気づいた大人に次々と「抜けたのね」「おまじないはやった?」と言われ続けたせいで、恥ずかしいのか歯の話をすると口をきゅっと閉じる。

 みな幼子の成長にほほえましさをもって接してくれるのだが、私は何故かもやもやとした気持が続いた。

成長は喜ばしい事なのに素直に喜べない。自分の一部であったものがどんどん離れていく寂しさかというと

そうでもなさそうだ。

 何日も、もやもやとした気分でいたら、こけてケガをした息子が帰ってきた。ちょっと血が出たくらいなのに、この世の終わりのように泣く。やれやれと思いつつ、ああ、と思った。

 私はこの人間が傷つくのが嫌なのだ。

 痛くなくとも明らかに欠損している歯の隙間は、常に傷ついているという錯覚を起こさせる。

バカだなあと思うが、親というのはそういうモノなのかもしれない。

 



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