出会い
ここは、図書館。なんの変哲もないよくある図書館。僕は読書スペースで、とある一冊の本を手に取った。
タイトルは「夢」
この本が何について書かれたのか、最もわかりやすく説明していると思う。しかしそんなことはどうでもいい。
手に取ってから数分後、僕はこの本に釘付けになっていた。わからない。全然面白くない。でも、本を閉じることができない。
今読んでいるページには、こう書かれている。
人は夢を見る。夢は人に見られる。
人は夢を創る。夢は人に創られる。
人は夢から醒める。夢は消滅する。
人は消滅しない。夢は消滅する。
人は食事をする。
人は仕事をする。
人はテレビを見る。
人は眠りにつく。
人は夢を見る。夢は人に見られる。
人は夢を創る。夢は人に...創られる。
夢は、消滅する
跡形もなく、消滅する
訳が分からない。でも、なんとなくわかる。不思議な気分だ。
「つまり、どういうことなんだ...?」
自分では理解しているつもり、なのに言葉に言い表せない、そんな感じ。
ページをペラペラとめくってみる。訳が分からない。でも、読みたい。
「...。借りて、帰るか。」
家で考えたほうが捗るだろう。そう考えた僕は、本を借りて図書館を後にした...。