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猫と桜と庭の主

来世はきっと

作者: 眞木 雅

花は盛りを終えたのに

あの人は葉桜を眺めている

ただの緑の葉が珍しいのか

毎日縁側に腰掛けて煙管をふかす


話しかけても話しかけても

私の名前を呼んではくれない


こんな老いぼれの桜の木を

どうしてそんなに見つめるのか

なんだか寂しくて羨ましくて

私はわざと桜の幹で爪を研いだ


一度だけ私のことを「さくら」と呼んだ

その声の美しいこと憎らしいこと


来世、生まれ変われたら桜の木になろう

あなたの好きな桜の木になろう


もしも、それが叶わぬ願いなら

仕方がないから人の姿で生まれよう

そんなのは面倒だけどきっとつまらないけど

桜の木は諦めて長い黒髪を揺らそう

たくさんおめかしをしてあなたに会いたい

そして退屈しのぎに言葉を交わしたい


来世より、お慕い申し上げておりました


でもきっと、恥ずかしくて言えないから

やっぱり今度も猫に生まれよう


あなたに頭を撫でられる

この体で傍にいよう




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― 新着の感想 ―
[一言] 美しい詩ですね。ネコの目線から愛しい人を思う気持ちがつとつとと伝わってきました。
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