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夢の中のジョゼが実際よりも年上だったのは、おそらく私自身の気持ちも入っていたのだろうと思う。
あれが私の空想の産物なのかジョゼの想いなのか、本当のところは誰にも分からない。
でも私は信じている。
私達は普通の形ではなかったけれど、確かに恋をしていたのだと。
マリアから見れば不健全なのかもしれないけど。
だけど私達の想いに濁りなどはなかった。
琥珀のように透き通っていた。
私にふさわしい大人になりたいという彼の願いが、夢という形を取ってあの姿を作り上げ、私はそれを絵に残そうとした。
そして実際には全ては私の夢の中での出来事だった。
残念ながら描いたはずの絵もまた夢の中に沈み、ここには残されてはいなかったけれど。
だけど彼の姿は私の胸の中に永遠に留まっている。
もちろんマリアには感謝している。
自分ではまともなつもりだったけど、夢から覚めてしまえばあの頃の私は確かに常軌を逸していた。
もしもマリアがいなければ今の私はなかっただろう。
誰よりも大切な友達。
そんなマリアと共に私は今、緑の館へと続く坂道を登っていた。
手にしているのは今はもう動かないナルキッソス。
リカルドさんに頼んで琥珀が嵌め込まれていた部分には、プラスチック製の瞳が戻された。
もう本を読む事はできないだろう。
それでもジョゼは両親と過ごした緑の館に帰って、心穏やかに眠る事ができる。
長い放浪の末にようやく帰る事ができるのだ。
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