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私は今、フィオナと一緒に石畳の坂道を登っている。


坂の先にあるのは蔦に覆われた大きな館。

この辺りじゃ緑の館と呼ばれているらしい。

フィオナの手にはリカルドさんに修理してもらったオルゴールがあった。

彼女は人形に「ナルキッソス」という名前を付けて大切にしていたけれど、今回の出来事をきっかけに彼を生まれ育った家に返す事にしたのだと言う。




外れた琥珀の部分には薄いブラウンのガラス玉が嵌められて、少し欠けた肩の部分にもちゃんと修繕が施された。



フィオナの状態は心配していたほどショックを受けた風でもなく、呆気なく正気に戻ったように見える。

それはきっとジョゼの最後の優しさだったのかもしれない。

彼女はジョゼに囚われることなく、すぐに現実を理解してくれたから。




ともあれ、これで全ては終わったのだ。



命が抜けてただのオルゴールになったジョゼ……ナルキッソスは懐かしい家に戻れる。

フィオナにも日常が訪れるだろう。

食事をしてちゃんと睡眠も取って、健康的な美しさを取り戻せばすぐに新しい恋人もできるはず。


描いたはずの絵もどこにも残されていないのだから……。




これで全ては終わったのだ―――。





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