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町はもうすっかり日も暮れて外灯が石畳の道を照らし出した。

そこにカツンとヒールを鳴らして真っ直ぐに前を見据えて……私はフィオナの住む町へ向かった




リカルドさんの店からはトラムに乗って一旦家に戻った。

真っ直ぐフィオナのアパルトマンに向かおうと思ったが思い止まったのだ。

時刻は夜6時。

当然彼女も普通に食事の準備でもしているだろう。

もしかしたら友達と外食でもしているかもしれない。

女友達と他愛ない会話をして笑いさざめいて。

恋人と仲睦まじく過ごしている可能性だって無くはない。

だけど私の勘では今の彼女なら仕事が終われば真っ直ぐに家に戻ると思う。

あのオルゴールの元へ。



普通に家を訪ねていってリカルドさんの話をしようかとも考えた。

だけどもし彼女が思っている以上にジョゼに執着していたなら素直に聞く訳がないと思う。

それに……ジョゼに邪魔される恐れもある。


だから、行くのは深夜。

町が眠りについてから。



子供達に夕飯を食べさせて寝かせ付けて。

船乗りの夫はあと数か月は帰って来ない。

だから子供達も友達も……私が守る。





寝静まった町は紫の霧に覆われていた。

寒くもないのにブルリと背中を震わせてポケットを探る。

ポケットの中、固く冷たい感触は彼女から預かったルームキー。

霧に迷いそうな心を現実に繋ぎ止めてくれる指針。


この前みたいに連絡が取れない場合に使って欲しいと言って預かった合鍵だ。

使い方が間違ってる事は分かってる。

だけど私の勘では使うなら今。

明日じゃダメ、早い方がいい。

だってもしリカルドさんの言葉が真実なら、フィオナはもうすでに妙なオルゴールに魅入られているのだろうし彼女の生活は確実に狂わされている。





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