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第四章 【maria side】~1



リカルドさんの店を出て歩きながら、私は今聞いた話を頭の中で反芻していた。


うちの店にあった例のオルゴールが、レオナルドの息子・ジョゼをモデルにした物であることはもはや間違いない。

だけどフィオナの夢に出て来る男がジョゼと名乗っているのは、果たして単なる偶然だろうか?


ジョゼは10歳で亡くなっている。

私が見たオルゴールの少年もそれくらいの年齢だと思う。

しかも亡くなったのは80年も前だ。

一方フィオナの夢に出て来るのはおそらく20歳かそこらの青年。

共通点なんてない。

あるのは名前だけ。


でももしも大人になれずに死んだジョゼが、彼女の夢の中でだけは大人になりたいと思っているのなら。

死んでもなお少年の姿のまま縛り付けられている事に心が叫んでいるのだとしたら。

どうすれば解放させられるだろうか?

それにリカルドさんの話では、これまではジョゼに魅せられた者達がオルゴールを手に入れて、そして怪異に巻き込まれていた。



でもフィオナも同じだろうか?

フィオナが一方的に人形に恋しただけ?

何か違う気がする。

母さんの言葉を思い出す……。



『このオルゴールは自分で持ち主を選ぶんだよ』



もしもジョゼがフィオナを選んで自分から近付いたのだとしたら?

フィオナより先に、ジョゼが彼女に恋してしまったのだとしたら?


帰り際にかけられたリカルドさんの言葉が頭の中で響いている。


『爺さんの話ではね、あの人形には秘密があるんだよ。本当かどうかは知らないが万が一の時には役に立つかもしれん……』



こうなれば一か八かだ。

全ては私の思い過ごしかもしれない。

本当はフィオナの所にオルゴールなんてなくて、彼女はただの夢遊病かもしれない。

いや、単なる不眠症かも。

疲れが溜ってちゃんと眠れなくて変な夢ばかり見てしまうのかもしれない。


それでも私は自分の勘を信じる。





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