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まぁそういう噂が広がってあんなのを手元に置いておいたらロクな事はない…とみんな忌み嫌うようになって、どういう経緯かは知らんがどうやら町からも出て行ってしまったらしい。
しかしレオナルドにもジョゼにも失礼な話じゃないか。
勝手にあの家から持ち出したのは周りの者なのに。
だけど誰しも自分の身に災いが降りかかるのは勘弁願いたいものだからね。
それからどうなったのかは知らなかったが、そうか、あれは隣町に流れ着いてたのかい。
ところであんたの友達は大丈夫かね?
夢を見てるらしい?
そうか……夢だけで済んでるのならいいが。
だけどお嬢さん、その子があのオルゴールを持っているんなら取り返しが付かなくなる前に引き離した方がいいだろうね。
魅入られてしまったら厄介だよ、あの代物は。
彼女の人生を狂わせるだろうね。
場合によっては命すらも。
それにしても今ここであのオルゴールの話を聞くとは思わなかったよ。
あんたがここへ来たのももしかしたら偶然じゃないのかもしれないね。
うちの爺さんがあんたとわしを引き合わせたのかもしれんな。
本当のところは誰にも分からないがね。
どうしたらいいかって?
そりゃあジョゼを家に帰らせてやるべきだろう。
だけどどうしたもんだろうなぁ。
レオナルドもカミさんも死んで、みんな気味悪がってあの館には近付かなくなってもう何十年も経つ。
そんな所に魂の宿ったオルゴールをポツンと放り込むのもどうだろうかねぇ。
あの館?
坂道の先に大きな家が建ってるのを知ってるかい?
今じゃ蔦に覆われて見る影もないがね、あそこには昔レオナルド一家が住んでいたのさ。
この辺りじゃ緑の館って呼ばれてるよ。
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