第三章 【ricardo side】~1
あのオルゴールはね、今から80年ほど前に作られたんだよ。
作ったのはレオナルドという男さ。
彼は腕の立つ職人でね、この世に二つとないような名作をいくつも作っているんだ。
お嬢さん、あんたも見れば知ってるようなオルゴールがきっといくつもあるよ。
わしが好きだったのはアコーディオンを弾く赤ら顔の男のオルゴールだったね、いやぁ見事なもんだったよ。
レオナルドの作る人形はまるで生きてるみたいにリアルなんだ。
ああ、話が逸れてしまったね。
何だったかな……ああそうだ「本を読む少年」の話だったな。
うちの爺さんとレオナルドは幼馴染でね、わしが生まれた時にも揺りかごのオルゴールをプレゼントしてくれたもんだ。
今も納屋を探せばあるかもしれんな。
そうだお嬢さん、あんたにも見せてあげよう。
その揺りかごには金髪の赤ん坊が眠っていてね……。
ん?
ああ、すまないね、昔話をするとつい話が逸れてしまうのはわしの悪い癖なんだよ。
ところで例のオルゴールはお嬢さんが持っているのかい?
友達?
ふぅん、それは心配だね。
何故心配なのかって?
そりゃああれはただのオルゴールなんかじゃないからだよ。
あのオルゴールには魂が宿ってるんだから。




