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そんなことが翌日も、そのまた翌日も続いた。
夢の中で緑の館を訪れた私は、彼に導かれて2階の部屋に行く。
彼は憂いを帯びた横顔を見せて。
絵に描く前から彼がそこにいるだけで一枚の絵のようだった。
息をしていないのかと不安になるほど、横顔を見せたきり動かなかったから。
ジョゼと。
小さく呼んでみたら、彼は僅かに角度を変えてこちらを流し見る。
その唇に柔らかな微笑を乗せて。
それで安心して私はまた絵筆を走らせるのだ。
「ねぇジョゼ、あなたは誰なの?」
彼の横顔に向かってそう聞いてみたら、こんな答えが返って来た。
「君は知ってるはずだよ」
いつの間にか私の傍らに立っていたジョゼは、そう意味深に微笑んで私の髪にキスをした。




