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ベッドで思い悩んでみても何も新しいものは生まれず、壁にかけられた時計を見た。
もうあまりゆっくりもしていられない時間だ。
仕方なくベッドから出て携帯電話を手に取る。
落ち着かない気分のまま着信やメールをチェックして……。
そして私はまた頭を抱えることになってしまったのだった―――。
『どうしちゃったの?フィオナ、具合でもわるいの?』
『もしもしフィオナ?帰って来るの?来ないの?どっちなの?』
『心配してるんだからね、留守電聞いたら電話して』
『あなたが帰ってくるって言うから夕飯たくさん作っちゃったじゃないの』
留守電はマリアとママからばかり、しかも何回も。
ママの言葉から察するにやっぱり私は夕べは帰っていないらしい。
家に帰ると連絡を入れたものの帰らずにこの部屋で寝ちゃったから。
だけどマリアの電話が何だか変だった。
昨日の夕方彼女と話して今から実家に帰ると言ったのに、何故こんなに電話が入っているのか……。
どうせ今から店に行けば会えるけど、とりあえず心配いらないからと電話することにした。
コール1回ですぐに出たマリアに苦笑い。
「もしも……」
『フィオナ?!フィオナなの?』
「あ、マリア?」
『どうしちゃったのよ?一体!なんで電話の1本くらいできないの?』
「え?あの……え?」
『連絡取れなくてどんだけ心配したと思ってんの?!』
凄い剣幕で一方的に捲し立てられて、状況に追い付けない脳が懸命に説明を求めた。
だけど出て来るのは拙い言葉の端切ればかり。
「あの、なんで、その」
『昨日は何をしてたの?!』
「昨日って、だから実家に帰るって……」
『それはおとといでしょ?』
「……おととい?」
その言葉にここでようやくマリアの苛立ちと心配の意味が形を取り始めた。




