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『ナルシス?ナルキッソスのこと?』


『あ、ごめんなさい』


『いや……そんな名前で呼ばれるなんて光栄だよ』



怒られるかと思ったのに彼は優しく微笑んで光栄だと言った。

ナルシストなんて言えば決して褒め言葉にはならないけれど、彼は美に対する称賛だと理解してくれた。

自分に恋焦がれるほどの美しさ。



『だけど、僕はジョゼ』


『ジョゼ?……あ、私は』


『知ってるよ、フィオナ』


『……どうし、て?』


『知ってるよ、夢で何度も逢ったから』


『これは……夢の続き?』


『そう、夢でもいいね……だけど僕が君を呼んだんだ』



彼の言葉は曖昧で、だけど何故か私を安心させた。

彼の手が目の前の扉を開き、私の背中を押す。

だけどその手の冷たさに思わず振り仰いだ私は……琥珀の瞳を見た。




………


………………




そして気付けば自分のベッド。

どういうことだろう?


ジョゼの姿は思い出せる。

声も耳に残っている。

低く静かな声音だった。

私を知っていると言っていた。

それどころか夢で逢ったと。

彼が私を呼んだのだと。


あのあと私はあの家に入ったはずなのに何故そこから空白なんだろう?


それともあれも夢?

夕べあの場所に行ったのも彼に会ったのも、交わした会話も全てが夢だったんだろうか?

もしかしたら私はあの町へも帰っていないの?



どこまでが現実でどこからが夢なのか、全く分からない。

町の匂いもあの喧騒も。

現実のものだったのかどうか確信が持てない。

私は夕べ、一体どこにいたのだろう?





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