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武術学校 - 2

キャラや世界観をちゃんと考えずに作ってきていたせいで詰まってました。


昼食の時間になった。


ここでは食堂に行くと食料が配布されると説明を受けた。何も用意しなくてもご飯が食べれることに浮かれながら、僕は食堂に向かうことにした。

周りにはギルの他に二人居る。ラインにも誘われたけど、断った。自分が負けた相手の顔を見ながらご飯を食べたい人はいないはずだ。

さっきからギルは組手の時の話を大声で喋っている。

「叩きすぎてゾンビみたいになってたぜ!」

「俺も見た!泣きそうな顔してた!w」

「ゾンビが出た時は任せな。お前達とはゾンビ叩きの経験値が違うからな!」

ギルの話は面白い。でも僕ならあそこまで酷くは叩いたりしないだろうなとさっきのラインとの練習を思い出しながら考えてた。

それにしても最初にあれだけ簡単に蹴られたのに、その後は打たれたりすることがなかったのがちょっと不思議だ。ギルはパッと見たところ怪我をしてないけど、後の二人はいくつかアザが出来ている。皆の殆どは何処か見えるところにもアザが出来ていたと思う。

「なんか嫌な視線を感じるな」

「上級生に見られてないか?」

考え事をしている内に食堂に着いていたみたいだ。

ギル達が言うように上級生がこちらを伺っているような気がする。その上、なんでか知らないけど微妙に避けている気もする。

「あっちに並ぶみたいだぜ」

「結構列が長いな」

「疲れたし早く座りたい」

面倒だなと思っていると、ラインがクラスの女子三人と並んでいるのが見えた。少し遅れてギル達もラインの姿を見つけたみたいだ。

「おい、あそこに女たらしがいるぞ」

女たらしがどういう意味か分からないけど、ラインをけなしていることは分かった。

三人がラインの方に動出したので僕は取り敢えず後を付いて行く。


「ウチの師匠怖かったんよー。怒ったらもうオーガみたいで」

「へーそうなんだ」

「あ、それ分かる!私も失敗して眠らせてもらえないことがあった!」

ライン達はまだこちらに気付いてなくて、楽しそうにお喋りしている。

「おい、女たらし」

近寄って直ぐにギルが呼びかける。でもラインは自分が呼ばれたとは思っていないのかこちらを向かない。多分僕と同じで女たらしの意味が分からないんじゃないかと思ってしまう。

無視されたことに腹を立てたギルはラインの肩を掴みもう一度呼びかける。

「お前だよ、女たらし」

掴まれたラインは怪訝そうな顔でこちらを向いた。僕は何が起こるかワクワクしてきた。

「何か用?」

ギルは少し考えた後言った。

「俺達を列に入れろ。お前達はイチャイチャしてるんだからいくら待ってても気にならないだろ?」

この我儘な主張に対してラインは笑って言った。

「何を馬鹿なことを。それにもし俺一人が抜けたって四人も入れないよ」

この返答にラインの取り巻きが騒ぎ出す。

「えー。ライン君抜けるのやだー」

「ちゃんと並びなさいよ!」

ギルは諦めたように見えた。捨て台詞を吐こうとした、その時。


「うるせえ!!」

ギルの後ろにいた一人が叫びを上げてラインに殴りかかった。

ラインは驚きながらもそれを片手で受け止める。女子が悲鳴を上げた。

本当に突然だった。

僕ともう一人がびっくりして固まっている間に、ギルが横からラインの髪に掴みかかる。

ラインはギルが近寄ってきたことに気付き、握っていた腕を自分の方に引く。

つんのめった奴の頭がギルの鼻にぶつかる。

鈍い音がしたがギルは怯まず、ぶつかった奴を掴みそこを軸としてスライディング。油断したラインの足を払う。

ギルの鼻血が飛び散る中、ラインの体が宙に舞う景色に見とれてしまう。

ラインは片手を付いて体勢を直そうとするが、そこへ完全にバランスを崩したもう一人が倒れこむ。

「痛て」

ラインの力はそこまで強いわけではないみたいで、乗っかっている奴をなかなかどかすことが出来ないみたいだ。僕なら肘で打ったりしてどかすのに甘いなと思っていると、ラインの足側にギルが立っているのが見えた。

ギルは大袈裟に蹴るポーズを取ると、手加減する様子もなくラインの股間を蹴った。


ボスっという音とがするラインの動きがぴくりと止まり、それから直ぐに小刻みに震え出した。

乗っかっていた奴がムクリと起き上がる。歯を食いしばって痛みに耐えているラインを見て、なぜか嫌な気分になってくる。

顔を逸らし、ギルの方を見ると笑っていた。撥ねた鼻血が顔を赤く染めていて凄みを出している。

この時になって漸く食堂に居る人達の注目を集めている状況に気付いた。

隣で一緒に見てた奴が遂に動き出した。

「ざっこ。泣きそうじゃん」「調子に乗ってるからだ。ばーか」

さっき悲鳴を上げていた女子は今沈黙して怯えている。ギルは傷めつけたことで満足したみたいだ。ラインを見下ろしてただニヤニヤしている。

さっきから続くラインの悪口を聞いているとムカムカする。

「もう良いだろ?行こう」

三人に呼びかけたが、誰も立ち去る素振りを見せない。

それどころか今度は最初に殴りがかった奴が蹲っているラインを足で小突き始めた。

その姿を見て僕は頭が真っ白になってしまった。


ゴキッという感触で我に返る。目の前に小突いていた奴の背中が見えた。力んでいる自分の腕を見ると、捻り折った腕を抱えている。

「いい加減にしろ!」

自分の状況の確認をしていた所に怒号が飛んできた。

「腕を折るなって教わらなかったのか!?限度ってものがあるだろ!倫理観身に付けるまでは施設から出てくるな!」

声のした方を見ると上級生達がウンザリした表情でこちらを見ている。倫理観?

「しかし骨を折るのは効果的だと教わったのですが」

「あーもう...死ね!」

その上級生は僕達の担任ティームが来るとそう吐き捨てて何処かへ行った。


ティームは僕らを見つけるとちょっと困ったような笑顔で言った。

「これはまたやらかしてくれたね」

彼の回復呪文によってラインやギルの怪我は直ぐに完治したが、僕が折った腕の治すには骨が折れるらしく、そいつはうめき声を垂れながらしながら保健室へ手当されに向かっていった。

元気な僕とライン、ギルはそのままティームに付いて行くことになった。

これは昼食抜きかなと内心ため息をついた。

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