ラブレター(?)の件
「いたっ!! そこだ! 捕まえろ!!!」
『らじゃ!!』
……なんでこんな事になったんだ……?
* * *
少し時間をさかのぼってみよう。
放課後、部活が始まる少し前の時間。
俺こと燕 黒夜明日テストがある英語の教科書を取りに教室に戻った。
……英語、キライなんだよなぁ
なんか、いくらやっても単語が覚えられない絶望感というか、虚しさというか……
教室の扉を開け、机の中に教科書を確認。
一瞬、わざと置いて帰ろうかとも思ったけど、下がるのは俺の成績だしなぁ……
ふぅ、と溜め息をつき、くるりと踵を返したその時。
——ひらり
「?」
なにか教科書に挟まっていたのか、床に手紙の様なものが落ちた。
手紙っぽいけど……俺宛?
拾って見てみると、なんと封筒の表には大きく
“燕 黒夜様”
と、書いてある。
「…………」
ひらり、と裏っかわを見てみると送り主の名前はなく。
なんなんだ一体。
誰が自分の名前くらい書いとけよなー。
「そうだ中身。内容は……」
見ても怒んないよな。俺に宛てられた手紙だし。
何より内容が気になるし……
かさっ
封筒の封をあけ、中の紙をとりだ……
「おーい黒夜ー?」
「ん? 桃士?」
「おお? お前なにやってんだ? もう部活始まるぞ」
「いや、教科書忘れてさー」
「うわマジメー。
なのに何で成績が中の中なんだろうね」
「うるさいわオレンジ頭の不良が!!」
「俺の認識ヒド!!」
少なくともお前よりは成績いいよ……
「それより、何だそれ? お前何もって……」
「あぁ、何かさっき机からでてk「なに!?」
いや、俺の台詞遮んなよ
「まさかおまっ……
おーーい!! 中3の燕 黒夜がラブレター持ってるぞー!!
(校内にひびくくらいの大きい声で)」
「はぁぁぁぁぁあ!?」
こいつ、大声でなんてこと言いやがる……!?
「まだコレがラブレターって決まったわけじゃn『おい燕がラブレター貰ったって本当か!?』
情報廻るの早いよ!!」
クラスの男子が廊下からにゅっと顔を出す。
さらに、
「燕君がラブレター貰ったって!?」
「いつもにこにこ笑ってるだけの、影薄い感じの燕君が!?」
「まさかの肉食系!?」
「いや、ロールキャベツ系男子!?」
「でもよく考えてみて! 燕君、結構かわいい顔して……」
「確かに!」
「本当だわ! 今までちゃんと見たことなかったけど、可愛いわ!」
「影薄いけど、顔はかわいいわ!」
「性格知らないけど、顔はいいわ!」
「顔だけはいいわ!」
「性格知らないけど!」
「影薄いけど!」
「なんか真面目そうでつまんなそうだけど!」
「なんか俺って影薄いキャラかなぁ!?」
集まってきたギャラリーには女子も含まれていて、次々と俺の批評を始める。
「畜生! 影薄いやつなのに!」
「燕なんて……! 燕なんて!」
「おとなしそうに見えて、実は結構女に詳しいんだろ!?」
「リア充氏ね!!」
「なんか理不尽に呪われてるし!?」
どうしよう、クラスメイトが怖い。
「ちっ……黒夜……友達だと思っていたのだが……」
「桃士?」
「……残念だよ……お前を手にかける事になるなんて……」
「桃士ィ!?」
どうしよう、(一応)親友が目で殺すって言ってる。
「……逃げよっ」
ダッ!!
『女たらしが逃げたぞ! 追え!!』
女たらし!?
ラブレター(かはまだ分かんない)貰っただけで女たらし!?
* * *
……そんなこんなで今に至るわけで……
どうしよう、凄くばからしくなって来た……