鷹山青葉の件
「じゃぁ、今から抜き打テストやるぞー」
桜の花が散り始め、葉桜になって来た頃。
俺が中3になってから一週間が過ぎた、そんな日だった。
担任の雀巣が小さい用紙をもって教卓につくなりそう言ったのは。
「んあ? テストォ?」
俺の前の席の鷹山 青葉がうんざりした様な声で呟くのが聞こえて来る。
ちなみに言うと、俺はまだこいつと話した事が無い。
や、だって怖いし。
「せんせぇ~」
「なんだファズント」
「聞いてませ〜ん」
だって抜き打ちテストだしな。
「とにかく解け。簡単なものだから」
あ、雀巣無視した。
「はい、難しいフラグ立ちました~」
雀巣の台詞に桃士が肩をすくめて小さく茶々をいれる。
「全員プリントいったな?
はい、では始め」
ぺらぺら……
プリントをめくる音が響く。
そして、
『…………っ!?』
クラス全員が息をのんだのが分かった。つか俺ものんだ。
その理由、それは
“担任の名前をフルネームで、正しい漢字で書きなさい”
知 る か ぁ ぁぁぁぁああああああ!!!!!!!
何なんだこれ!? これちょ…………、
や、確かに簡単だけど! 分かれば10秒もかかんねぇけど!!
けど分かればな!!
知るかよ雀巣のフルネームなんて! 苗字しか知らねーっつーの!!
イライラというかむしゃくしゃしてつつ横を見ると、同じくこっちを見ている桃士と目があった。
「……お前、わかるかコレ?」
「…………まさか」
「だよなぁ……」
「白紙じゃダメかな……」
「甘いな。あいつの事だからなんか言って来るぜ」
「そうか」
「だよなぁ…………って、鷹山さん!?」
俺と桃士の会話に入って来たのは俺の前に座る鷹山青葉だった。……一瞬桃士の台詞かと思った…………
「なぁ、お前燕だよな」
「え、あ……はい」
「おまえ……(じろり」
なに!? かつあげ!? あいにく金はねーぞ。昨日母親にゲーム機せがまれたからな!(怒
なんて言えません。怖いから。(チキンですが何か!?
「これ……分かるか?」
「いや、俺はDSよりPSP派だ」
「は?」
「いや、何でも無い」
ものすごくバカを見る目で見られた気がする。
「で……なんですか?」
「いや、その……わりぃんだけどさ」
「おう」
「これ、答え教えてくんない?」
申し訳なさそうな顔でひらひらと答案用紙を片手に言う鷹山。
……結構常識あるのかな?
「いや、わりぃけど、俺もわからん」
「だよな。さっき鴉里とそう話してたし」
「…………。
分かっていて何故聞いた」
「いやさぁ、なんかこーゆーのって仲間いると心強くかんじね?」
「あー……分かる気がする」
「つーかさ、おれまだ人生で0点って一回もねーんだよ。だから何かこんな馬鹿げたテスト落としたくねーじゃん?」
「……え、今お前なにげすげー事言ったぞ」
「は? 何が?」
あ、素で返された。
「いや、人生で0点が無いって」
「あぁ、それな。
なんか0点って負けたみてーで悔しくね?」
全然。って思う俺はふつーだと思う。
「つーかさぁ、おれの従姉妹がマジ頭よくてさ」
「従姉妹?」
「あぁ。まぁ、アイツはアイツなりに色々あるからなぁ……」
「……? よくわかんねーけど、大変そうだな」
「まーなぁ」
な ん て 。
普通に話したけど、こいつ案外良い奴かも。いやぁ、人って見かけによらないんだなぁ。(感動
「あ、そうだ。
こないださぁ、新発売のゲームでさ」
「あ、PSPのホラーのやつ?」
「そうそう。それが結構怖くてさ」
「あぁ、俺は表紙みてやめたわ」
「え、なに燕ってびびりなの?」
「……なんとでも言えよちきしょう!」
「あははっ」
「はーい、解答用紙回収してー」
「「あ」」
つい話に夢中になってしまった。
*
燕黒夜の回答 「雀巣 」
鴉里桃士の回答 「雀巣太郎」
鷹山青葉の回答 「マイケル・ジャプソン」
雑でごめん。(土下座