詩『天国行き』
掲載日:2026/04/22
天国行きのレールは、それは見事な出来でした。
けれども車窓に写るのは死体、死体、死体。
列車からの景色に山はつきものですが、
なんとこのレールを敷いた労働者達が山となっていたのです。
冗談にしてはタチが悪い。
しかし、その惨状こそが"天国行き"を保証していました。
彼ら(だったもの)の顔はみな一様に苦悶に満ち、憎悪に歪んでいました。
それは正しく地獄の様で…
そう、その通り。
そこは地獄でした。
この辺獄から逃れる為に彼らは鉄道を敷いたのです。
けれども私はそんなことなどつゆ知らず、
ただ揺られるままにここまで来たのです。
列車はそろそろ次の駅に止まります。
未だ天国は遠く、されどもうじき地獄も遠く。
そういえば、地獄にも厳かに聳える山があるそうです。
死体が無ければその山は見えたのでしょうか。
それだけが唯一の心残りでした。
私が彼らに向ける感情は、感謝と尊敬と嫌悪と罪悪感とその他諸々の複合体と呼ぶのが妥当だと思います。




