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ブルーエンドロール
聞き慣れない、金属の擦れる音。その音が消えてしまう前に、私は奥に見える青い海を見下ろす。
誰もいない、風の吹き抜けるホームで一人、静かに誰かを待っていた。もう私は一人なのに。
まるで夢のように過ぎた日々を思い出していた。未だ、その熱は胸の中に残っている。
青く熟れたその生命を覚えている。
まだ来ない明日に向かって、時間は進んでいく。走り出しても、明日には近付けない。
ふと、思い返した、あの日のこと。
少しでも、彼女の生きる意味になれたのなら。それだけで私は、いくらか心の錘を外すことができた。
「……あ」
目を落とした先、線路の少し傍には、花が咲いている。
その紫苑は微かに、私に語り掛けている気がした。
もしもあの時、彼女と出会わなければ。案外、つまらない人生だったかもしれない。
「……ありがとう」
追伸、その先に綴られた言葉を忘れぬよう、深くに閉じ込めた。
乗り込んだ先、夏の喧騒が少し後ろで揺れる。
あの夏の喧騒に浸る間に、私たちは、




