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3 始まり

ここから本題に入ります。

 ───王宮で、王子の誕生パーティーが開かれる。

 その情報をティアスがゲットできたのは、姉であるレージが『ツイスト』だったからだ。

 『ツイスト』は王宮の四方を守る門番。国中から剣術、魔術の技量を認められた者がその職務につく。レージはこの春になったばかりだが、その昔『ツイスト』だった母フレアの遺伝なのか、年齢としては最年少に近い。友人知人の間でも、将来を嘱望しょくぼうされている。

 名誉職でもあるので希望者は多いが、『ツイスト』が羨望の眼差しを送られるのはそれだけではない。王族の誕生パーティーに出席を許されるのは、『ツイスト』とその家族だけなのだ。どうしてなのかと問われると、多分誰しも首をひねるだろう。昔からそうだから、としか答えようがないのが大方の人間だ。それは『ツイスト』経験者にしても同じで、ティアスは今まで答えられる人物に会った事がない。


「終わるまで、友達に言っちゃだめよ。ロイリーさんにも。絶対ね」

 パーティーの日取りを告げる使いを返したあとで、フレアはティアスに念を押した。

「わかってるよ」

 内心呆れつつティアスは応じた。そんな、どんな言い方をしても高慢にしかならない話、雑談の種にもならない。

 …とはいえ、これはパーティーの保安のためだろうと思われた。会場内はいい。たとえドレスアップしていようが、『ツイスト』たちならどんな輩がいても返り討ちにする。しかし、パーティーの夜は警備は手薄になる。治安の悪い国ではないが、不届き者はどこにでもいるものだ。


「なあ、そういやあの人は来るのか?」

 フォーセットが、ふと思いついた様子でレージに尋ねる。

「あの……『シルス様』」

 数瞬、一同そろって固まった気がした。まっさきに自己解凍したレージが首をひねる。

「んー……彼女、気まぐれって話だからなぁ。あたしも、会ったことはないんだよね。なんでも、いっつも城の片隅に閉じこもって全然出てこないらしくて」

「え?姿見たこともないの?……死んじゃってたりしないよね?」

「こないだ見たって人がいたらしいから、とりあえず大丈夫だと思うけど。……というか、本当に王の隠し子とかじゃないかって時々思うよ」

 王族「らしい」人物について失礼千万だが、レージを責める人間はこの場にはいない。


 その名は知っているが、身元はさっぱりわからない通称『王族』───それが『シルス』という存在だった。そもそも、どうして「その人物が王族といわれるか」も、「その存在だけが公になっているか」も不明なのだ。とりあえず「性別は女」ぐらいの情報しか仕入れられる者はいないし、仕入れる気もない。「王の隠し子ではないか」なんていう話もあるにはあるが、いかんせんデータがなさすぎる。

 ティアスがその話を知ったのがすでに何年も前の話なのだが、どうも「彼女」の人間性がわかるようなエピソードもない。かつて『ツイスト』だったフレアも、彼女のことは知らないと言っていた。


「はいはい、噂話はそこまで。パーティーには正装して行かなきゃいけないんだから、ちゃんと準備しなきゃね。楽しみでしょう、王や王妃様にお会いするのは」

 少々強引な母の割り込みで立ち消えになったその話を、その後、家族間ですることはなかった。


 ──話に割り込む寸前、フレアの表情がひどく歪んだことにも、気付く者はいなかった。

これ書きながら自分がかつて書いた文章を見直してると、結構粗があるもんだ。

この回の文章は半分ぐらい書き替えました。青いな自分。


とはいえ、設定の部分は自分の中ですでに定着していたりするので、粗とか見つけづらいですねー多分。

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