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ヤンキーくんと背徳グルメ〜ヤンキーくんと自然派二世の美味しい初恋〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・先生とヤンキーくん

 菅谷は一見、優しくて爽やかな高校教師だったが、ラーメンが大好きだった。ちょっと汚い感じの店で脂っこいラーメンを食べるのが一番好きだ。確実に健康にもダイエットにもよくないが、背徳の味。特に今は駅近くの路地裏にあるラーメン屋にハマり、週末は必ず通っていた。


 社畜で独身男の唯一の楽しみでもある。今はクラスにも保健室登校の品川という生徒もいて頭を抱えていた。もっとも最近は同じクラスの黒澤茜と付き合っているという噂を耳にしたが。


 いやいや、せっかくプライベートでラーメン食べている時に仕事の事を考えても仕方ないだろう。菅谷はラーメン屋のカウンター席で、美味しいラーメンに向き合う。


「うん、うまい……」


 濃厚な豚骨スープとツルツルな麺。それを心ゆくまで楽しむ。このラーメン屋の客層はほぼ男。男の園状態だったが、今はラーメンという紅がある。素晴らしい紅一点だ。


「菅谷先生!」


 ラーメンの美味しさの心が溶けかけていた時、隣の席に男が座った。受け持ちの生徒の品川だった。こんな時に生徒に会ってしまうのは、運が悪い。


 相変わらず品川は派手な髪だった。眉毛もない。アクセサリーじゃらじゃら。黒いパーカーにジーンズという格好だったが、学校で見るよりもヤンキー感増し増し。それでも悪い連中と一緒になってグレていない所は、感心する。品川は根は真面目で成績もいい。ただ、厳しい両親への反発や発達障害グレーゾーンという診断も受け、今は自分を上手く表現できないようだったが。


 品川も豚骨ラーメンを注文し、待っていた。その目は少し楽しそう。いつもの捻くれ拗ねた目をしていないのだが。


「品川、最近なんかいい事あったか?」

「いや、実は……」


 同じクラスの黒澤茜とバターブレッドをきっかけに仲良くなったという。すでに一回デートみたいな事をしたと、何だか楽しそうに語っていた。


「へ、へえ……」


 黒澤と付き合っているという噂は、本当だったのだろうか。どっちにしろ品川は昔と違って楽しそうだ。


 この調子だったら、保健室登校も終わらせられるかもしれない。出来れば進路も決めてくれると、担任教師としては有り難いのだが。


「ラーメンうまい。店員さん、ありがとうございます」


 品川は不器用な口調だが、ちゃんと店員にお礼も言っている。今はこんなヤンキーだが、根は悪くはない。それは副担任も学年主任も認めるところだった。もちろん、担任である菅谷も。


 出来ればこの派手なルックスもやめてもらいたいものだが、それは高望みすぎか。


 もうすぐ中間テストもあるし、仕事も忙しい。季節もどんどん冬に近づいていた。寒さに弱い菅谷は少し憂鬱にはなるが、冬になったらラーメンも余計に美味しく感じられるだろう。


「先生、他におすすめのメニューありますか?」

「ここは味玉子も美味いんだよ。醤油ラーメンもシンプルで美味い。舌が溶けるぞ」

「マジですか!」


 品川と二人でラーメン談義に花を咲かせぴたんいた。こんな休日もたまには悪くない。明日からの仕事については、今だけは忘れておこう。


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