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ヤンキーくんと背徳グルメ〜ヤンキーくんと自然派二世の美味しい初恋〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・自然派二世と焼肉弁当

 その日、品川は早起きし、せっせと弁当をつくっていた。彼女の茜に焼肉弁当が食べたいとリクエストされ、今は肉を焼いているところ。ジュージューとフライパンから良い音。そして肉のいい香り。滴る肉汁に、つまみ食いするのを自重する。


 もうすっかり春だ。今日の弁当は、公園で桜を見ながら食べるつもり。お花見デートは茜が行きたいというので、品川が叶えた形になる。他にも昼の弁当は毎日品川がつくっていた。唐揚げ、ナポリタン、牛丼、コロッケ、エビフライとリクエストをされ続け、すっかり品川の料理スキルも上がっていた。もっとも揚げ物は難しかったので、茜の父に見習いに行ったが。


 焼肉を作ったら、粗熱をとる。その間に弁当にご飯を詰めたり、漬物を刻んだり忙しい。正直疲れる事もあるが、茜の笑顔を想像するだけで楽しい。ニヤニヤしてしまう。


 出会った頃は、いかにも栄養が足りてなさそうなルックスだった。確かに肌や髪は綺麗だが、今は可愛らしくふっくらしている。実は茜に餌付けして太らせるのが楽しみだ。そんな事は口が裂けても言えない。


 茜の母は自然派ママだったが、今はすっかり態度が柔らかくなってきた。たぶん、少々ぽちゃっとしてきた茜の笑顔を見て気が変わったのだろう。今の茜はなんだかとても幸せそうに見えたから。幸せそうな雰囲気、オーラみたいなものは、悪いものも負けるのかもしれない。


 こうして付き合い始めた二人だが、一応品川は厳格カトリック信者の子供だ。婚前交渉というか保健体育みたいな事は自重している。そもそも子供の分際で大人みたいな事はできない。そういう所は意外とちゃんとしている品川だった。


「おーい!」


 待ち合わせ場所の駅につくと、茜はもうすでに来ていた。今日は花柄のワンピース姿だ。春らしい。というか可愛い。そうとしか言えない。茜を見ていると語彙力が飛んでしまう。


「え、なんか顔についている?」


 あまりにもジロジロ見てしまったので、茜に不審がられた。これは少し自重しなければ。


 こうして二人で公園につき、桜の木のそばのベンチに座る。


 温かい春の風。ピンク色の綺麗な桜。白い雲に水色の空。空には燕が飛んでいたが、茜は花より団子だった。


「何この焼肉! すごい美味しい! タレが濃いめでご飯と最高の相性……。それにこの肉汁はなんなの? こんなに美味しいもの初めて食べたよ。私は肉の美味しさに目覚めてしまった……!」


 目を輝かせながら焼肉弁当を食べる茜に苦笑するしかない。花より団子で食べるのが大好きな茜だが、今はこんな時間こそが一番幸せだ。


「美味しい!」


 隣で笑う茜を見ながら、品川も目を細めていた。

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