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ヤンキーくんと背徳グルメ〜ヤンキーくんと自然派二世の美味しい初恋〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・陰キャとたい焼きパフェ

 タケルは、駅の近くの公園でため息をこぼす。もうバレンタインが過ぎ、明日は三月になると言うのに、肌寒い。吐く息はうっすら白い。


 噴水の近くのベンチに座るが、広場の方でフートラックが出ていた。たい焼きパフェというもので、SNS映えもするらしい。確かにたい焼きにクリームやポッキー、チョコ、アラザンなどが盛られ見た目は可愛い。平面的なたい焼きも立体感がある。


 可愛いたい焼きだが、ため息が出る。バレンタインデーは、チョコは貰えなかった。例年は母からチョコクッキーを貰えるが、今は添加物関連の書籍を書く事になり、締め切りに追われていた。元々は料理研究家の母が添加物の本を書くきっかけは、自然派ママ連中からの炎上だった。余計な仕事が増え、ただでさえ多忙の母は休みが取れない日々が続いていた。


 母の事も心配だが、バレンタインデーは敗北中なのも恥ずかしい。タケルは自分が陰キャだという事を実感し、ため息がでる。最近は外見も清潔感にこだわっていたりしたが。


「おーい、タケル!」


 そこに友達の品川がやってきた。最近は茜という彼女ができ、すっかり表情がバカになっている。昔はヤンキー風のファッションだったのに、今は黒髪で制服もちゃんと着ていた。授業もまともに受けているらしい。恋の力でこんなに変わった品川を見ると、ジェラシーも感じてしまうのだが。


「たい焼きパフェ買ってみた。タケルも食うか?」

「そんなの彼女と食えよ」

「茜は冬から塾に通ってるからな。今日は塾の日なんだよ。ああ、退屈……」

「気持ち悪いなぁ。色ボケ中か?」

「本音では俺だってたい焼きパフェは茜と食いたいよ。ああ……」


 品川はすっかり恋愛脳になっているようだ。彼女である茜が可愛いとか、美人とかいい女とか優しいとか笑顔が良いとか惚気始め、タケルの目は死んでいく。たい焼きパフェより甘ったるい話を聞かされ、耳も腐りそう。


「タケルも彼女作れば?」

「うるさいなー。お前らが爆発しろよ!」


 イライラしてくるが、それもちょっと良いかもしれない。


 とりあえず陰キャはやめるか。隣で惚気ている品川を見ていたら、ちょっとぐらいバカになってもいいかもしれない。もうすぐ春だし。この春こそは頭にお花を咲かせても悪くないだろう。

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