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ヤンキーくんと背徳グルメ〜ヤンキーくんと自然派二世の美味しい初恋〜  作者: 地野千塩


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第24話 初めて作った野菜炒め

 キャベツを水洗いし、ザクザクと包丁で刻んでいた。それが終わるとピーマンも切る。ピーマンの中見や種は捨てずに使う事にした。本当は味が苦くなってしまうので使わないらしいが、母はこのピーマンも白い中身はのは栄養があり、抗がん作用もあると言っていた事を思い出す。


 茜は自宅のキッチンで野菜炒めを作っていた。今日も母も父も反ワクチン活動で多忙だった今日は東北の方まで行き帰ってこないらしいので、夕飯も自分で作る事にした。


 冷蔵庫の中は母が作った作り置きの料理が全てなくなり、自分で調理しなければならない。冷蔵庫の野菜室には少し悪くなってきたキャベツやピーマンがあるので使う事にした。


 無農薬オーガニックの野菜だ。さすがに虫はついていなかったが、今日スーパーで見たものよりも形が大きく、色も濃いような気がする。母は過激自然派ママだが、こうしたオーガニック野菜が好きな人の気持ちは何となくわかる。


 茜は砂浜美羽の動画を見ながら、料理していた。野菜を切ると、スーパーで買ったソーセージも輪切りにした。あのチキンカツ丼を食べた後、どうしてもソーセージの味が忘れられず買ってしまった。あと美味しさの素も。小瓶に入った白い粉。母が忌み嫌っている添加物まみれの粉だが、味付けには茜は自信がない。やはりこうした調味料は料理初心者には便利なものだ。


 具材を全部切り終えると、フライパンを温める。うちのフライパンは鉄製で重くて使いづらい。母はフッ素加工も嫌っていたので、フライパンも古風なものだった。これが終わった後の手入れを想像すると、胃が痛くなってきたが、夕飯を作らないわけにはいかない。


 使いづらい重いフライパンを何とか操り、美味しさの素で味付けし、どうにか完成させた。ソーセージの味も染みているし、味も悪くないはずだ。出来立ての良い匂いもするが、まだ夕飯には時間がある。めんどくさいがフライパンの後処理をはじめる。


 流しの前に立ち、フライパンの後処理をしながら、頭の中に品川の顔が浮かぶ。


 可愛い?


 本当に品川はそんな事を言ったのか。あの時の品川の真っ赤な顔を思い出すだけで、茜の顔も爆発しそうになる。


「いやいや、さっそと片付けなければ!」


 無理矢理頭の中の品川を追い出し、フライパンや包丁、まな板などを綺麗に片付けた。


 その後は庭へ行き、母から頼まれていた雑草を抜いたり、乾いた土には水をあげたり、ゴミをまとめたり、忙しくして時間を潰す。テストが終わり時間も空いていたが、今はテストの方が楽しかったとすら思う。


 最後に洗濯物を取り込み、母のシャツやハンカチにアイロンもかける。自然派素材のそれは皺もつきやすいので、アイロンが必須だった。面倒な作業であったが、今はこんな作業をやれる方がありがたかった。


 それも全部終えると、ようやく野菜炒めを食べる事にすた。もう夕方だ。野菜炒めはすっかり冷えてはいたが、意外と冷めても美味しい。さすが美味しさの素。無農薬のキャベツやピーマンも美味しい。もちろん、ソーセージも。こんなソーセージの袋は母に見つかったら大変な事になるので、こっそり捨てておくか。あとは美味しさの素の小瓶は、二階の自分の部屋に持って行った方が良いかもしれない。


「うん、美味しい……」


 確かに良い野菜炒めは美味しかったが、広いリビングの食卓で一人で食べていても、だんだん虚しくなってきた。それに品川の事を思い出すとぐっと食欲が落ちてしまう。これ以上食べられそうにない。残ったものは弁当箱につめて明日持って行っても良いだろう。


「あれ? 真希ちゃんから連絡届いてる」


 しばらく返って来ないと思っていたが、トークアプリに真希から返信があった。


 二つの連絡だ。明日は品川と三人で漫画研究会の部室で昼ごはんを食べようという誘いだ。もちろんこれはオッケーとすぐに返信。


 もう一つの連絡は、サエの事だった。真希の情報によると、サエは昔は目立たない生徒で陰キャだったらしい。いわゆるヲタク。


 今のサエとヲタクが結びつかない。首を傾げてしまうが、真希からの情報は嘘では無いだろう。もっとも真希もサエとはさほど親しく無いので、今はよく知らないらしい。サエが母のような自然派を目の敵にすているかかどうかは不明らしい。


「あとサエが好きな声優もいるらしい。翠野シュリってイケメン声優だってさ。意外とヲタクだね? あと明日の昼については品川くんも誘っておいてね」


 そんなメッセージも届く。


「あ、品川くんにも連絡しとかないと」


 茜は少々慌てながら、品川に明日乃事も連絡しておいた。


 すぐにオッケーという返信がきた。ペンギンの雛の可愛いスタンプつきで。あまりにもギャプがあるので、思わず「可愛いスタンプだね」と返信してしまった。


 すると「この雛鳥ペンギン、黒澤に似てね?」ときた。


「そうかな?」


 よくわからないが、一応お礼も返信しておいた。もしかして、あの品川の「可愛い」はキャラクターや動物、赤ちゃんに向けるような言葉だったのかもしれない。


 このスタンプの雛鳥ペンギンを見ながら、その可能性が高いと思う。妙な勘違いをしそうになっていた事が恥ずかしくなってきた。あの「可愛い」は、変な意味はなかった。そう納得して忘れる事にしよう。


 それにしても。


 サエが好きな声優ってどんな人なのだろう。「翠野シュリ」で検索し、動画を見た。どうもシュリは顔出しせずに声だけで活動しているらしい。他の声優のよう動画はなく、アニメや映画のワンシーンが切り抜かれた動画ばかり。


 声は良い。いかにもキラキラした王子様な声だ。顔が見えない事で余計に想像力が膨らむが。


「うん? でもこの声って誰か似てるかも?」


 頭の中で似てる人は誰かと検索した。すると、担任の菅谷の顔が浮かぶ。そういえば菅谷の声とそっくりだ。


 菅谷本人では無いだろう。シュリのイベントの動画も上がっていたが、この時間は菅谷は学校で茜達に授業をしていた。どう考えても他人と言っていいだろう。単に声がそっくりな他人。こういった偶然も珍しくはない。茜の母も女優に似てるとよく言われていた。


 サエはこの声優のファンだった。声優は菅谷の声に似ていた。


 これは関係ある?


 首を捻りながら考えてみたが、答えは浮かばなかった。単なる偶然として処理して良いのかもわからない。


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