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ヤンキーくんと背徳グルメ〜ヤンキーくんと自然派二世の美味しい初恋〜  作者: 地野千塩


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第10話 食べられない朝ごはん

 いつもより朝早く起きてしまった。いつもは勉強をする為に早起きしているが、今日はそんな理由ではなかった。


 品川に誘われてしまった。その上、思わずOKの返事もしてしまい、まだまだ心臓が跳ねていた。


 起きるとすぐにスマートフォンを見る。トークアプリでは品川から何の連絡も来ていなかったのでホッとした。その上、両親も反ワクチン活動家の人達と打ち合わせが大変で、今日の夜も帰ってこないという連絡には、かなり安堵してしまった。


 早く起きてしまったのに、目が冴えている。いつもだったら、起きたすぐは瞼も重いのに。


 とりあえずベッドから抜け出し、部屋の窓辺に向かう。カーテンを開けると、少しだけ薄暗かったが、朝日がさし込んでいた。今日も晴れ。雨ではなかった事には安堵した。


「ああ、真希ちゃんかも連絡きてた!」


 再びトークアプリを見たが、真希からも連絡がきていた。昨日の夜、真希にこの件を連絡していたが、寝落ちしてしまった事も思い出す。


「茜! これは急展開! 品川くんとのデート楽しんでね」


 そんなメッセージが届いていて、茜の心臓はさらに跳ねてしまった。朝から本当に心臓に悪い。


「大丈夫。品川くんは小学校や中学の時は陰キャの優等生だったし、根っこはむしろ茜より。あれファッションヤンキーだよね?」


 そんな真希のメッセージと共に、画像も添付されていた。卒業アルバムの写真だった。小学校のものらしく、集合写真。小さくてよく見えないが、真希や品川が写っているのも見えた。


 真希は相変わらずの派手な髪の毛や服装。どう見ても陽キャ。笑顔も人懐っこく、真希の周りには似たような雰囲気の生徒が集まっていた。


 一方、品川は黒縁メガネ。黒髪。服も白シャツうにジーパン。地味なものだった。名前があるので、確かに品川らしいが、今と全く違う。真希のメッセージ内容は説得力がある。


「どうして今はこんなに弾けてしまってるんだろう?」


 今の品川の服装とは全く違う。いわゆる高校デビューという事だろうか?


 首を捻ってしまうが、陰キャバージョンの品川を見ていたら、ホッとしてきた。根はこの姿だったら、大丈夫かも? なぜ今はファッションヤンキーをやっているのか気になるが。


 そういえば品川は学校では一匹狼。誰か他に悪いヤンキーと連んでいる気配はない。放課後もさっさと帰っているようだし、根が陰キャというのは本当かもしれない。


 こんな卒業アルバムを勝手に見てしまった事は申し訳ない気持ちになる。自分だったら、いい気分はしない。


 今日は品川と出かけるという事もあったが、余に食欲がなくなってきた。たぶん、冷蔵庫の中には母が作った自然派料理があるはずだが、食べたくなくなってきた。


「と、とりあえず。服の準備しておこう」


 スマートフォンを見るのをやめ、机の上におくと、クローゼットを開けてみた。


 中は母が買い与えた自然派の洋服ばかり。麻のワンピースや、オーガニックコットンのシャツなど。ちなみにパジャマはシルクで肌に良いものだったりするが、どれも色は白。モデルや芸能人が着るような可愛い服もカバンも靴も無い。


 あのファッションの品川と並ぶと、おかしな雰囲気になりそうだ。赤かった頬だが、少し冷静になってきた。むしろ今は少々青いだろう。


「服がないよ……」


 だからと言って今から服を買うわけにもいかない。ネットでも無理だろう。母のクローゼットの中ももっと自然派ファッションだ。


 仕方がない。これは諦めるしか無いだろう。この中で一番マシなオーガニックコットンのシャツにジーンズに合わせることにした。麻のワンピースはさすがに事故になる。こんな自然派ファッションは嫌すぎる。


 その後は風呂に入り、身支度を完璧にする事にした。ファッションが自然派だったら、他を良くするしか無い。


 風呂桶にお湯を貯めるが、ここにはマグネシウムとにがり、アロマオイルを入れた。母に教えてもらった自然派入浴剤だ。朝の風呂という事で熱い湯をはり、神経をシャキッと目覚めさせる。シャンプーも石鹸も全部自然派だ。香料はもちろん、シリコンやタール色素などの科学的なものは一切入っていない。


 ファッションは自然派でダサいが、これで肌や髪のクオリティは上げられるだろう。母の自然派は悩まされる事は多いが、美容での恩恵は否定する事はできない。実際子供の頃のアトピー性皮膚炎も完治している。跡は少し残ってしまっているが。


「あ、でも……」


 しかし、風呂の鏡を見ていたら、顎に小さなニキビが出来ているのに気づいた。ぷっくりと赤くなっている。ニキビなんて久々にできた。


 思わず品川と食べた背徳な料理を思い出す。確かに美味しかったが、背徳料理の代償がある事を実感してしまった。自然派も美容には恩恵がいっぱいあった事を実感し、茜は今までとは別の意味で顔が赤くなる。


 全て自分の思い通りにはならないという事だろう。母へ不満を持ちながら、恩恵を受けていた事実に、恥ずかしくなる。自分はまだ子供なんだろうと思う。ピヨピヨ泣くだけの雛鳥だ。


 そう思うと、なんだか今日は朝ごはんを食べる気分ではなくなってしまった。母も朝ごはんは健康に悪いと言っていたし、今日はスキップしよう。


 こんな風に都合の良い部分だけ母を肯定している自分。都合の悪い時は、毒親だと思い、自分から何も改善してもいない。深く思う。やはり今の自分は無力な雛鳥。品川と一緒にいても恥ずかしくないように成長したくなってしまった。

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