第95話 今、ギリシャのあたりです
奥様「ほんと暇で退屈ね」
会長「やることが特にないですもんね」
奥様「あなたは日がな、そうやってまるで何かを忘れるかのように酒浸りで楽しそうですけど?」
会長「飲まないとなぜか手が震えるんですよ」
奥様「ソレ、中毒です」
会長と奥様は1ヶ月で早くも世界一周に【飽きていた】
奥様「なにかこうハプニングとかアクシデントのようなものでもあればいいんですけどね」
会長「しょうがないですね。ちょっと頼んでみますよ」
会長はそう言うと何処かに電話をかけた。
会長「うん、ごめんね。今忙しいのに頼んで。そういう事だからよろしくお願いしますね」
そして会長の声が【神】に届いたのか、船内がザワめいたのでした。
客「誰か海に飛び込もうとしてるみたいだぞ(棒読み)」
船員「わー大変だ。誰か〜(棒読み)」
奥様「あら、どうしたのかしら。事件?」
会長「そのようですね。行ってみますか?」
会長と奥様が現場につくと人だかりが出来ていた。
女性客「こないでぇ!」
奥様「こないでって誰に命令してるのかしらね、この小娘」
会長「まぁまぁ」
奥様は女性客にツカツカ近づくと、はりたおした。かと思えば既の所で会長のピカピカ頭に赤い手形ができていたのでした。
会長「イタタ、目玉が飛び出るかと思いました。駄目ですよ?こういうのは裁判沙汰になりますから。それに作者の性別がどうのこうの言われる原因にもなるからね?」
奥様「あーた、なぜ海に飛び込もうとしたの?頭でも冷やすおつもり?」
女性客「、、、ほっといてください」
会長は奥様の顔にオーガが宿るのを久しぶりに見た。
奥様「どうせ失恋かなんかでしょ、くっだらない」
女性客「!?くだらなくないです、、、」
奥様「あーたね?過ぎたことをいつまでもクヨクヨするんじゃないの!どうせたいしたことない相手なんだし。忘れなさい!」
女性「え?いや」
奥様「あのね、あーたスマホお持ちかしら?」
女性「はい」
奥様「あなたがその人を好きでいた時は最高のお相手だったんでしょうけども、今のあなたが必要としてるのはそのスマホの充電器のほうなのよ?」
女性「は?」
その場にいた全員が「は?」で一つになった瞬間だった。
奥様「充電器がないとそのスマホは使えなくなるでしょ?でも元彼はいなくてもスマホは使えるのよ。だから今のあなたにとって、充電器のほうが元彼よりも必要なんじゃなくて?つまり、あーたの元彼は充電器以下の存在ってことなのよ。おわかり?」
女性客「充電器以下、、、」
奥様「そう、だからくだらないでしょ?お忘れなさい(笑)」
女性客「はい(笑)そうですね、お騒がせしてすみませんでした」
奥様「はい、余興はこれで終わりよ。皆さんも退屈してたところだし丁度良かったんじゃないかしら?私の気分が良くなった所でそろそろ、お開きにしましょうね♪」
女性客も無事落ち着き船員や乗客が和やかな雰囲気に包まれ、それぞれが戻る中、会長の頭はまだジンジンしているのでした。赤い手形がサンライズのようでめでたしめでたし♪なのでした。