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第89話 天下一会長大会 前編



奥様「あーた、そんなにお暇を持て余してるなら、この大会にでも出てみたらどうですか?」


 奥様はそう言うと一枚のチラシをテーブルの上に置きました。


【鏡よ鏡、答えちゃって♪世界最強の会長は誰なのか?第一回天下一会長大会開催のお知らせ】


会長「天下一会長大会、なにこれ?」


奥様「えぇ、今朝ポストに投函されていたから私もよく存じ上げませんけども。会長の中の会長を決める大会のようでございますわね」


会長「あー、私はやめておきますよ。興味ありませんし(笑)」


奥様「やる前から?ご無理と?ハァ、情けない」


会長「いやそうじゃなくて、なにもそんな恐い顔しなくても」


奥様「なら、あなたも会長なんだから御出(おで)になられてわ?会社(うち)の宣伝に協力くらいしたらよろしいんじゃなくて」


会長「はぁ、ん〜気が進まないけど怒らせると恐いしなぁ」


 そして会社で。


しろちゃん「会長、天下一ハゲチャビン大会に出るんだって!?みんなで応援しに行くからね♪」


会長「え、あ、ちょっと違うけどね。もうそこまで広まっちゃってるの?」


しろちゃん「そりゃあもう♪社内はもちろん町内会にも知れ渡ってるよ。しろたんも学校で、おちょぼんから聞いてきたって。みんなで応援しにいくからね♪」


会長「あー、うんそうなの?でもね、そんなたいそうなものじゃなくてそこらへんのごくごくローカルなヤツだと思うから。わんこそばの大食いとかじゃないかな(笑)」


しろちゃん「どうなんだろ、でも楽しみだね♪会長の凄いところをみんなにも見せてあげなきゃ!シュッシュッ」


 しろちゃんはなぜかその場でシャドウボクシングをはじめたのでした。


会長「いやそれがね、健康診断より気が重いんですよ。なぜこうなってしまったのか、、、」


しろちゃん「ダメダメダメ、無理だって諦めたら。頑張ってみなきゃ!できる会長ならできる!諦めたらダメだよ」


 しろちゃんはどこから出してきたかわからないラケットを手に素振りをしだした。


 そして当日。


アナウンサー「只今から第一回天下一会長大会の開催を致します」


観客「おおおお!!!」(推定4万人の満席状態)


会長「ふ、嘘でしょ?なんでこんなに人がたくさん集まってるのよ?みんな暇過ぎでしょ」


 誰がそんなものを観に来るのかという大会だったはずなのに、大勢の観客どころかどこかのテレビ局や有名人まで来ているという全国区の大会なのでした。そして観客席からは


しろちゃん「会長〜!みんなで応援に来たからね!優勝目指して頑張って〜♪」


会長「しろちゃん、それにご家族一同とお友達の方々。応援旗まで用意しちゃって、んもう〜」


おちょぼん「おじいちゃま〜、頑張って〜♪」


会長「おちょぼんと家内たち、それに手下も社員まで引き連れてきちゃってなにしてんのよ」


アナウンサー「ではまず予選の内容ですが、これから出されるクイズを○☓形式で答えてもらいます。答えがわかった方から制限時間内に○と☓にそれぞれ分かれて移動をお願いします♪」


会長「お腹も痛くなって来たし、はやくおうちに帰りたい。でもここまで大事(おおごと)になってしまって、いきなり敗退というのも恥ずかしいなぁ」


隣の会長「まぁそんなにおかたくならずに(笑)ただの余興ですよ♪」


会長「そ、そうですよね(笑)まぁ出来るだけ頑張った感がだせたら十分かな」


隣の会長「そうですとも♪」


アナウンサー「では第一問、、、、」


会長「んー、どっちなんでしょう?」


隣の会長「簡単ですよ♪(唇ぺろり)コレ答えは○です」


会長「え、いいの?なんて親切な方なんでしょう♪」


隣の会長「じゃ、一緒に行きますか♪」


アナウンサー「答えが決まったら、それぞれ○と☓に分かれてください。締め切りはあと3分です」


 そして、締め切りの合図である金毘羅船々のメロディが終わろうとするその時、隣の会長が猛ダッシュで☓のほうに走って行ったのでした。


会長「えっ、、、?」


 会長が驚くも時すでに遅し、クイズは締め切ったところでした。こんな単純なトラップに騙されるなんてと会長は落胆しました。


アナウンサー「正解は○です♪」


会長「え?」


 チュドーン!


 その瞬間、グラウンドの☓地点には爆発音が鳴り響き噴煙が立ち込めたのでした。


アナウンサー「あらら。少し火薬の量が多すぎたようですが、大丈夫です♪ご安心ください、このような事態にも備えて最高の医療班が待機しておりますので」


会長「いやいやいや全然、大丈夫(だいじょ)ばないでしょ!?あれ下手したら、、、。てか、○のほうが正解だったの?」


 タンカーで運ばれていく隣の会長は「騙すような真似をしてすまなかったね、孫たちが観に来ていたものでつい。○の人数が少ないことに気が付き、思わず☓を選んでしまった。運にも見放されたようだ。私のぶんまで優勝を目指してください、、、ウゥ」と涙ぐみながら会長に声をかけ退場していったのでした。なお隣の会長は腰をぬかしただけの模様。


会長「なにも泣かなくても、お大事にね。って、あの人最初から運任せだったの!?」


 そしてクイズは第51問目に差し掛かる。


会長「おかしい。ここまでクイズの内容自体は難しくない。むしろ後半に連れて簡単になっていってる気配すらある」


 そう会長の嫌な予感は薄々と当たっていた。


会長「つまり、ここにきて51問目を経過したということはまだ続くという可能性があるわけで、これはクイズに扮した持久力を求められている競技なのでは?だとしたら無駄にエネルギーは使わないようにしないと」


 そこからさらにクイズは続き、最終的に100問にまで達した。その間○☓の距離を3分ごとに待機か移動をさせられるなかで、回答はわかっていても力尽きて脱落する者が次々に出るという異様な事態に。つまり会長の予想は見事に的中していたのでした。会長職という現場から一線を退いた【日頃ぬるま湯に浸かりきったような役職】並びに年齢も相まって、ただのクイズだと思って呑気に構えていたような連中は大半が途中でリタイア。さらに最後まで残った連中らも初回の【爆発】を見せつけられたことによりその緊張感からか精神面までボロボロになるほど極限へと追い込まれることになったのでした。


アナウンサー「はい、ここまでで予選は終了です。皆様お疲れ様でした〜♪」


 予選が終了した時点で残りの会長、あと7匹。後編へと続く




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