第82話 午後のhoney so sweet
ノミ「お紅茶です」
奥様「あら?これは良いアールグレイね」
会長「ズズッ、美味しい♪」
奥様「じゃあ、あなたはそろそろ帰っていいわよ。ご苦労さま」
ノミ「はい、奥様」
会長「えっ、もう少しゆっくりしていかないの?なんなら泊まっていっても。残業代、はずむから。ね?」
奥様「ごめんなさいね、主人がくだらないワガママを言って。気にしないでね(笑)」
ノミ「いえ、いつものことですから。では会長、奥様、私はこれにて」
そして。
奥様「手下は帰ったわよ。たまには二人きりも良いものでしょ?」
シーン。
会長「テ、テレビでもつけようかな(笑)お昼のテレビ番組はこういう健康とか美容関連が多いんですけどね。私も最近、体の節々が痛くて。ほんとに効果あるんだったら使ってみたいところですが」
奥様「効果?もちろんございましてよ」
会長「え?てっきり、こんなの効くわけがありませんよ!って言われるかと思いました」
奥様「別に私は何でも否定から入るようなご意見番のババアではありませんから。この出演されてる御方、歯並びやホワイトニングからおそらくというか十中八九、こういうお仕事をなされてる俳優かモデルさんなんでしょうけども、おっしゃってること自体は演技や嘘とは思えませんもの。本当のご夫婦では無さそうですけどね」
会長「そうですね、長年連れ添った夫婦がこんなに仲良いわけがありませんよ(笑)いや、私たちのことではありませんよ。じゃ、じゃあこの商品とか買ってみようかなぁ」
奥様「駄目よ、それとこれとは話は別です。あなたが買う必要はありません」
会長「手厳しいですねぇ」
奥様「誤解しないでちょうだい。コレは買う側のあなたには効果がないけれども、この方にはギャラという成分が含まれてるから効果があると私は言ってるのよ」
会長「GARA?えー、GABAとかそういう感じの成分かな?」
奥様「何を素っ頓狂なことをおっしゃってるのよ(笑)ギャラはギャラです。お金、マネー、報酬のことに決まってるでしょ。この方がいくらで魂をお売りになられてるかはぞんじあげませんけど、あなただって10万円あげるって言われたらそれだけで元気になるでしょ?」
会長「それは確かにですが、何か少し腑に落ちないような気もしますけど」
奥様「別におかしくないわよ。誰もが元気になる成分、それが【お金】だから。膝が痛くても腰が痛くても、後でお金が貰えるなら痛さも忘れて階段もかけのぼれるようになれるでしょ。化粧品を塗るだけで1千万ほどいただけるなら、私でも肌も潤う気はするしハリも出た気はするって褒めるわよ。使わないけども」
会長「よく書かれてる個人の感想ってギャラのことだったんですねぇ」
奥様「そうよ。金のなる木や幸せになるツボと同じでそれを売ってる側は確かにお金になったり幸せを感じてるでしょ?買う方が勝手にお金がなると勘違いしてるだけの事よ、それをまた他の誰かに売らなきゃお金にはならないわ(笑)」
会長「お金って怖いですね」
奥様「お金は悪くないわよ。あなただって昔、タンスから私のヘソクリを見つけたと思ってパチンコに出かけたときアホ面さげてウキウキしてたじゃない」
会長「そんなことありましたっけ?」
奥様「ありましたわよ。それヘソクリじゃなくて、あなたが何に使うのか知りたくて私が置いた仕込みだったんですもの」
会長「え?」
奥様「あなた、そのなけなしの5千円を持ってパチンコに出かけて見事にやられて(笑)その後、肩を落として家に帰ってきたあなたに【なんてクズなんでしょう♪】って高笑いしたのを覚えてないの?」
会長「それはなんとなく覚えてます、家から追い出されるのを覚悟でひと晩中、君に謝り倒してなんとか命だけは許してもらえたんですよね」
奥様「許すもなにも最初から怒ってませんよ、あなたが勝手に怯えてただけで。私がそうするようにけしかけたんだから。それをまるでこの世の終わりだみたいに怯えて縮こまっているあなたが愉快で愉快で、つい朝まで楽しんだわ(笑)あなたはパチンコで不運と踊ったわけじゃなくて私の手のひらで踊ってたのよ。そうそう、あなたがまたコッソリ頼んでた育毛剤はキャンセルしておきましたからね」
会長「え、そうなの?いやアレはオペレーターの方があまりにも親切丁寧なのでつい頼んでしまって(笑)」
奥様「電話かけたのはあなたのほうじゃない。あの天才ジョン・フォン・ノイマンのヘアスタイルを見れば理論的に可能かどうかくらいわかるでしょ?だから私、そこの社長を呼び出して言ってやったのよ。あなたIQ300以上あるの?凄いわね〜って」
会長「たぶん無いでしょうけどね」
奥様「別に、あなたは今のままで良いじゃない♪哀れなところが男らしくて(笑)あなた、プロポーズの言葉を覚えてるかしら?」
会長「えーと、えーと確か、、、。いや、けして覚えてないわけではないんです。というか急にそんな昔のことを言われても。ただなぜかソレを思い出すのを脳が拒否してるというか、体が拒絶してるというか。研究の事故で記憶喪失になった影響でしょうかね、、、(汗)」
奥様「あらやだ、私がしたんですよ?プロポーズは。【お前を絶対に逃さない】って(笑)あなた、そのあと嬉し過ぎて失神してしまったから覚えてないんでしょうけど。オホホホ(笑)」
会長は過去の記憶を思い出すことでトラウマに触れてしまったのかそのまま気を失ってしまったのでした。めでたしめでたし♪




