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第55話 あんこさんとリョーコさんのエンドレスシロウエイト



8年前のある日のこと。


リョーコ「あら、シロウ博士。こんな時間にどうしたの?」


シロウ「リョーコくん。例の研究なんだが、俺を実験台に使ってくれないか?」


リョーコ「ちょっと、シロウくん?あなた酔ってるんじゃない?何があったのよ!?」


シロウ「俺は今日、大切な人と大事なモノを失ってしまったんだ。だからもう俺には失うものはない。例の実験、いずれにせよ成功させるためにはテストが必要なんだろ?だったら俺を使ってくれ。なぁ頼む、この通りだ!」


リョーコ「ちょっと落ち着いて!。あなた、あんこさんはこのことを知ってるの?大切な人がいるじゃない?そんな人を実験台になんかさせられるわけがないでしょ?」


シロウ「そこは察しの通りだ。あいつとは別れた、フラれたんだよ」


リョーコ「いったい何があったの?どちらにしてもそんな状態では無理だし、酔いが覚めるまで話を聞くわよ」


 シロウは、その日あったことをリョーコさんに伝えた。リョーコさんはそれから1週間、事前検査など準備も兼ねて、その間シロウに考える余地を与えた。


 時間は遡り。


シロウ「そうですか、、、。あんこにもよろしくお伝えください。おじさん、おばさんも今まで本当にありがとうございました、では」


 シロウが肩を落としながら帰ったあと。


あんこの母「あんこ、あなたに頼まれたから仕方なくだけど、本当にこれで良かったの?シロウちゃんに、あなたの口からきちんと話すべきだったんじゃない?」


あんこ「無理。これ以上、シロウの希望を失わせるようなことはできないから。今は会わないほうがいいの。ツライこと頼んでごめんなさい、お母さん」



 そして時間は現在に戻る。



 実験室に響く起動音。リョーコさんと他のスタッフが見守る中、シロウが機械の中に入りフタが閉じられた。


スタッフ「被験者のバイタル正常」


リョーコ「カウントダウン開始。5、4、3、、実験開始」


 そして数時間後。


スタッフ「システム正常に終了。被験者のバイタルに異常はありません」


リョーコ「ドアを解放して。シロウ博士の様子を見るわ」


 装置のドアが開けられた。


リョーコ「博士、シロウ博士?」


シロウ「ん、、リョーコくんか?」


リョーコ「博士もご無事でなにより、実験は無事に成功しました。ご協力に感謝します」


シロウ「そうか、、で?俺はいったい何の実験をしてたんだ?ここはどこなんだ?」


リョーコ「博士?何も覚えていないんですか!?」


シロウ「いや、君のことはもちろん覚えているけど。俺たちは卒業研究で何かやってたのかなとおもってさ?」


リョーコ「、、、」


 そして現代某所のとある喫茶店にて。


リョーコ「これが今、あなたに話せるシロウ博士の過去の出来事。その後の検査や調査の結果、シロウ博士は記憶の一部を失っていることがわかったの。あなたのことは覚えていたけど、おそらく別れた時から遡って数年、いや十数年分ってとこかしら。それから、あなたも彼に再会し再び今の関係を持つようになって。薄々は気づいていたかもしれないけど」


あんこ「うん。最初はおかしくなったのかと思ったけど、そうじゃなくて私とのツラい記憶を覚えていないんだと思った。なんとか忘れようとしたんだと。それがわかったから、私はまたシロウと以前のように話せるようにもなった。別に彼のことを嫌いで別れたわけじゃなかったから」


リョーコ「そうね、わかるわ。もちろん、これからもあなた達のプライベートには干渉しないから安心して。今、私があなたに話せることはそれだけ。今のあなたにはそれを知る資格と必要があると思って、こうして呼び出したの」


あんこ「話してくださりありがとうございます」


リョーコ「あとこれも全てを話せるわけではないけど、私達の実験は今後の人類にとって必要不可欠だと思われることで、今も状況は悪化していると言ってもいいの。人類は便利さを求めて文明を進化させてきた。そして今度は文明が進化したことにより人類のほうが追いついていけなくなってしまった。特に精神面のほうね。このまま世の中が闇雲に突き進めばやがて人類は衰退の道を辿ることになる。そうなると文字通り、猿の惑星になるかもね」


あんこ「それとシロウの実験と何の関係があるの?」


リョーコ「なぜ人類が衰退するのかというところから説明するわね?。長いけど、これ以上わかりやすくも短くすることも難しいから。人類も生物だから、いつかは寿命を迎えることになるでしょ?。人が生まれてから死ぬまでの記憶、その積み重ねこそが人類の叡智なの。でも少子高齢化によりそれらの継承や育成が困難になり途絶える一方で、インターネット等コミュニケーションツールの進化に比例して自ら経験を積むということも少なくなり、他人との関わり合い方も煩雑かつ単純になったの。でも疎遠化していく社会構造とは逆行するように集団よりも個で生きる生態へと変化してきている。その結果、精神面の未熟さをフォローすることもできず、問題として認識はされているもののなんの解決もなされることなく放置され、すでに取り返しのつかない状況が今なの。私達の行ってる研究は記憶の世代間継承を実現させること。他人の記憶を遺伝子により受け継がせるための存在、しろちゃんや四葉ちゃんら兎型人造人間はその記憶を後世に伝え人類を導くために創造されたのよ。でも、シロウ博士はその成功の影の犠牲となり記憶を失ってしまった」


あんこ「難しい話だけどなんとなくわかるわ。私も病んでいたとき誰とも関わり合いを持ちたくなかったから」


リョーコ「シロウ博士の実験結果を元にして、その後遺症に繋がる記憶障害にも耐えうる存在、すなわちそれが兎型人造人間。そしてシロウ博士は記憶を失ったものの、私達の想像だにしなかった叡智という副産物を与えてくれる存在になったの。彼は精神と記憶の世界に閉じ込められた中で、過去の人たちの人生や記憶を反復してきたみたいなの。同じ世界、時間を何度も繰り返し、失敗してはやり直してのループとタイムリープ、仮想と現実の合わさった世界を何度も行き来してはそれを繰り返してきたみたい。仙人みたいなものね」


あんこ「私と再会したときも、うまく言えないけど以前とは変わっていた。前よりは格段に人の心がわかるというか、ある意味怖いほど人間という生き物を察しているみたいな。でも他人を理解するような人になってたわ。だから彼とならもう一度やっていけるかなって思って(笑)」


リョーコ「ならいいんじゃない、それで♪」


あんこ「リョーコさんその言葉づかい、しろちゃんみたい♪(笑)ごめんなさい、私、あなたのことも誤解してたみたい。できればこれから友だちとして、シロウの過去の被害者友の会として仲良くしてもらえたらって思うんだけど、、、」


リョーコ「もちろんよ♪シロウ博士の暴走を止めるのは一人よりも二人のほうが心強いものね♪そして、しろちゃんや四葉ちゃんたちが良い子から良い大人へとなれるように私達がしっかり支えて見張っていないとね♪(笑)」


あんこ「そうね(笑)ありがとう、よろしくお願いします♪」


 こうして、あんこさんとリョーコさんの超強力タッグが組まれたのをシロウ博士は知る由もなく、しろちゃんと四葉ちゃんに今日もスプラトゥーンでメタメタにされているのでした。めでたしめでたし♪

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