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第6話 しろちゃん、夢限列車に乗る

しろちゃん「うまい!うまい!うまい!」


シロウ「そうか?これもおかわりで食べていいぞ、あと炭酸抜きコーラもどうだ?どこかのアスリートもレース前に飲むとか飲まないとか」


しろちゃん「はい!私、絶対遠慮はしないんで!あ、コーラは炭酸抜かなくていいです」


あんこ「あんたにしては珍しいわねぇ、私にはあまり甘やかすなとかうるさいくせに」


シロウ「こう毎日、たまにはどこかへ連れて行けー!と暴れられたんじゃ仕事にならんからな」


あんこ「また旅行って、あれだけ旅行嫌いだったのに私まで誘うからビックリしたわ」


シロウ「今でも旅行に行きたいとはあまり思わないし、良さもいまいちわからん。なんで、お金出してまで乗り物酔いにならなきゃならんのかわからんしゴートゥーなんちゃらで浮かれてる奴らの気持ちなんてさっぱりだ」


あんこ「で、なんで私まで?」


シロウ「わざわざお金出して疲れに行くのが旅行なんだから、せめて温泉くらいは必須だろう?さすがに温泉みたいに他人がたくさんいるようなところに、しろちゃん一人でってわけにもいかないしな」


あんこ「まぁ言われてみればそうだけど」


シロウ「うむ、それはあくまで建前だけどな(笑)」


あんこ「建前?」


シロウ「お前は気づいていないかもしれないが、この温泉行き列車はだな?そのまま目的地で途中下車しないと終点まで行ってしまうことになるわけだ」


あんこ「そんなの困るじゃない?」


シロウ「その通り、だから途中でスヤスヤ眠るということは許されない。が、それは3人同時に寝ることだけ防げれば回避することも可能だ」


あんこ「あんたが起きてりゃいいだけじゃない?」


シロウ「まぁそう言うと思ってだな、しろちゃんと俺が二人だけで列車に乗ったらどうなる?」


あんこ「間違いなく、しろちゃんは寝るとおもうわ」


シロウ「その通り、ただでさえ乗り物酔いの酷い俺にとってはただただ過酷な旅行なのにコイツが寝たあと一人で寝ることも許されず目的地で必ず降りなければならないというプレッシャーのために、お前を連れてきたわけだ。まさか子供の頃夢中にさせられた俺の憧れの人、メー○ルさんの気持ちをこの歳になってから知ることになるとは思わなかったがな」


あんこ「私も寝るかもしれないよ?(笑)」


シロウ「いいよ。寝れるものならな?」


あんこ「どういう意味かしら?」


シロウ「ここに取り出したる普通の普通の普通過ぎるこのマジック、寝たら顔に落書きされて温泉宿まで消せませんゲームの参加者の皆様、ようこそ当列車へ」


弁当を食べていた、しろちゃんの箸が止まる。


あんこ「なんと卑劣な」


シロウ「温泉宿の受付の人が顔に落書きされた客を見たらどう思うかな?正解は【アホ丸出し】だ(笑)」


しろちゃん「てことは、このお弁当は?」


シロウ「人造人間も血糖値が上がれば当然眠くなる」


しろちゃん「おのれ伊賀者め!計ったな!」


あんこ「そりゃ地獄から追い返されるわ」


シロウ「誤解がないよう言っておくが別に寝てもいいんだぞ?ねんねんころり、ねんころり♪」


あんこ「こうなったら〜しろちゃん、私たちはお互い寝ないように協力しあいましょう」


シロウ「もはや、しろちゃんはお前にとって足かせにしかならんかもしれんがな?(笑)」


しろちゃん「スースースー、、、。」


あんこ「【壱の型、水面斬り!】あんこは隣に座っている、しろちゃんに水平チョップを入れた」


しろちゃん「うっ!危ない危ない、今全然関係ないどこかの炭焼小屋の家族の一員として夢の中で暮らしてたところだった」


シロウ「その虚勢が果たしていつまで持つのやら、ククク」


あんこ「しろちゃん、瞳術瞳術!」


しろちゃん「スー、スー、スー、、」


シロウ「そう、そこで俺は一計を案じたわけだ。しろちゃんの瞳術さえ封じてしまえば、あとは、あんこ、お前がどこまで寝るのを我慢できるかだからな?人間の欲というものは果てしないもので、こと睡眠欲というのは食欲にも勝るものよ。血糖値の上昇からくる睡魔には誰も逆らえないんだよ(笑)」


 シロウはそういってマジックをあんこの前にチラつかせて皮肉に笑う。



ゴトンゴトン、ゴトンゴトン


「違うんです、私に、私にあなた様の血をわけてさえいただければ必ず、必ずや、、、。」シロウは微かに鼻の奥底でシンナーの臭いを感じとる。


シロウ「あっぶねー!!」


 シロウの目と鼻のちょうど先にマジックの先が自分の顔にめがけられているのをギリギリのところで回避した。


あんこ「チッ」


シロウ「なんで俺が夢の中でわけのわからんパワハラ会議に参加させられ上司に吊るし上げられた上、冷や汗までかかされにゃならんのだ」


しろちゃん「かわしおったか。が、安心するのはまだ早いよ。私はショートスリーパー、あんこさんと交互に休めば我々の有利は揺るぎない」


シロウ「しろちゃん起きたのか?ん、そんな仕様は作った俺でさえ聞いたことないぞ?」


しろちゃん「博士は覚えてないんだよ、覚えてるわけがないのさ」


シロウ「どういうことだ?」


しろちゃん「博士が血液を抜かれてショック死したあと地獄から戻ってきたのは死亡宣告ギリギリの23時間後。それだけの時間があれば、新たに【こんなもの!装置】を作られせないためにもその作り方を忘れてもらい、また探すこともできなければ取り出すこともできないような場所に隠す必要があったわけさ。ついでに私の不利になるような情報も一部カットされているはず。そう今、あんたの頭の中にあるソイツのおかげだよ!」


シロウ「オー脳!!」


あんこ「私、一応止めたんだけどね。あの時やっぱり止めなくて良かったなって今回で思い知ったわこのドクズが!」


しろちゃん「これは思わぬ副作用なんだけど、装置をつけたことによって博士は酸素が欠乏しやすくなったのか、自分では気づいていないみたいだけど、前より寝落ちしやすくもなってるみたい」


シロウ「いや、それは仕様だ。記憶の最適化は夢を見ることによって起こるという俺の理論を基に作った装置だからな」


しろちゃん「へぇーそうなんだ、あとこれは強制シャットダウン(ボヘミアン・ラプソディ)のリモコン。今は自分じゃなくて装置をつけた者に使えるよう改良したけど」


ポチ♪(しろちゃん躊躇なくボタンを押す)


シロウ「それを先に、、言え、、、」


薄れていく意識の中、シロウはカルメンと踊った。アンダルシアに憧れて、カルメンと踊っていたはずがいつのまにかスカラムーシュとファンダンゴを踊っていた。


あんこ「年貢を納める時が来たようね♪宿の受付が困惑するようなありがたーい落書きをその顔と旅の思い出に刻むといいわ」



 第7話へ続く。



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