第43話 しろちゃんは自由な女神
シロウ「というわけで。俺とあんこ、それに四葉ちゃんを加えた連合チームVSしろちゃんとの戦略シミュレーションゲーム対決を開始する。そちらの準備はいいか?しろちゃん」
しろちゃん「待たせたな♪でもこっち一人だけだとなんか悪者みたいでやだぁ」
シロウ「それぐらいのハンデをこちらがもらわなきゃハナから勝負にすらならんだろ?」
シロウ博士は前回のドタバタ騒ぎのお詫びにリョーコさんから新作ゲームソフトのテストプレイを頼まれていたのであった。このゲームはシロウとリョーコらが学生時代に立ち上げたゲームサークル活動の中で同人的に某ゲームをシミュレーションゲーム化したオマージュ作品であり、現在までにサークルの後輩らが受け継ぐ形で何度もバージョンを重ねているアングラ界隈ではそこそこの知名度と人気もある作品なのである。
シロウ「今回勝負するにあたって、しろちゃん側に
【短期戦モードで2戦中1勝でもすればシロウ連合軍側の勝ち】
【しろちゃん側は広範囲索敵、核搭載二足歩行型戦車の開発並びに使用の禁止】
という条件を事前にのませることに成功したのだがコレがデカい。勝負というのは始める前から始まってるとよくいったものだ」
あんこ「でも四葉ちゃんはともかく、私はかえって足手まといにならないかしら?」
シロウ「今度の新作は今までのような軍事面だけではなく、よりリアリティを増すために経済や社会面といった政治的な介入が可能となった反面、そちらが疎かにならないようにも手を打たねばならんのでな。本来オンラインで大人数が参加するゲームなだけに少しでも手が回せるようできるだけオペレーターの人数が多いほうが有利になっているんだ」
あんこ「農園育てるやつならやったことあるけど(笑)」
シロウ「まぁそんな感じでいい。あんこはボチボチ畑耕しやインフラ整備などをやってくれてりゃ助かる。四葉ちゃんは俺の戦略サポートを頼むよ」
四葉「承知」
ゲームスタートから10分、しろちゃん側に動きが現れた。
四葉「工作員を当該地域に派遣しますか?」
シロウ「いや、それはおそらく悪手だ。急に姿を現したのも奴の誘導だろう。しろちゃんは索敵禁止にされてるから、こちらの情報を工作員から手に入れるためと見たほうが賢明だ」
あんこ「なんかこう思ったよりすごく地味なゲームね?」
シロウ「リアルを追求すればわりとそうなる。しろちゃん相手ならなおさらだ。奴の得意とする戦術は基本ステルスだからな」
四葉「しろちゃんは姿の見えない蚊のような、しつこくねちっこい戦い方が好きだもんね(笑)」
しろちゃん「博士はともかく四葉ちゃんまでそりゃないよ〜」
シロウ「かかったな、そこだ!四葉ちゃん今のしろちゃんから来た通信位置にミサイルをありったけぶち込め」
四葉「承知」
ドコドコドコドン!
シロウ「やったか?」
四葉「反応無し」
【緊急事態発生、シロウ軍本部が強襲されています】
シロウ「どういうことだ?」
【司令部陥落ゲームオーバー 初戦しろちゃん側の勝利】
しろちゃん「とりま1勝(笑)まさか博士の領土から通信していたとはおもまい」
シロウ「やられた。開始早々、奴はこちらに潜入していたのか」
しろちゃん「全てそちらで現地調達。まさか蛇を食料にするとは思わなかったけどね(笑)」
シロウ「まぁお手並みは見事なものだったが次はそういかないからな?」
四葉「博士、弱すぎ(笑)」
あんこ「私はこのまま農園でほっこりしてたらいいのかしら?玉ねぎの収穫してるんだけど」
【第二戦開始】
シロウ「四葉ちゃん、オペレーションA。防御を固めつつ、侵入経路を封鎖。一回戦目でこちらが増強していたアドバンテージを活かして一気に制圧する」
四葉「承知」
しろちゃん「強くてニューゲームなんて卑怯だぞ」
シロウ「そのための勝利条件だ。一戦目は捨て試合にし二戦目で骨をたつのが目的だからな」
四葉「しろちゃん領の南部、東部制圧完了。北部も侵攻中」
あんこ「トマトが高値で売れたわよ」
シロウ「首都陥落も時間の問題だな、しろちゃん降伏するか?」
しろちゃん「最後の一人になっても戦うよ」
【ゲーム終了まで残り10分】
しろちゃん「これって時間内に降伏させられなきゃ引き分けとかあったっけ?」
シロウ「その場合は領土の広いほうが勝ちだ。残り10分からの巻き返しはきついぞ?」
しろちゃん「オッケー、余裕余裕」
【ゲーム終了まで残り3分】
四葉「しろちゃん側首都陥落を確認。全領土制圧」
シロウ「よーし!伝説の英雄に勝った気分だぞ♪」
あんこ「大人気ないね」
【ゲーム終了まで残り1分】
シロウ「ん?なぜ制圧完了したのにゲームオーバーにならないんだ?まさか」
四葉「博士、臨時ニュース」(指でモニターを指す)
リポーター「本日、我が国の大統領に新しく当選された【シロチャソ】の宣言をお聞きください」
シロチャソ「我が国は本日同時刻を持って現軍部を解体し防衛部をあらたに開設。同時にシロウ司令を更迭し戦争を終結するものとする」
【シロウ司令部ゲームオーバー しろちゃん側の勝利】
シロウ「亡命を装い選挙権を獲得後、こちら側の大統領に就任だと?」
しろちゃん「すごいね、このゲーム。細かいとこまでよく出来てる(笑)」
シロウ「いや、そんなことどうやって?」
四葉「博士、ここ(しろちゃんの横を指で指す)」
シロウ「なんで四葉ちゃんが?」
四葉「私、大統領夫人。フッ(笑)」
しろちゃん「四葉ちゃんと縁組することで国籍と戸籍を得たというわけ。あと、あんこさんにも感謝しなきゃね」
あんこ「私?」
しろちゃん「あんこさんの耕した畑を戦地にするわけにはいかないから。平和な世の中で戦争なんて誰も望んじゃいない、あんこさんがコツコツと築き上げてくれたその土台があったから大統領選挙での勝利にも繋がったんだよ」
シロウ「ほんとよくできたゲームだこと」
しろちゃん「そうだね♪争いを回避することもできるゲームなんて。博士の後輩たちやるじゃん(笑)」
シロウ「ほんとよくできた後輩たちだこと♪」
こうして、自由な女神と後輩たちによって生み出されたゲームの最新作は後に平和への様々な影響を世に与えることになるのでした。めでたしめでたし♪




