第25話 しろちゃん、お仕事をするのだ(▪️〰️▪️)
シロウ「それでネットを使ってまたなんの仕事を始めるというのだ?」
しろちゃん「ふふん、よくぞ聞いてくれたのだ♪世の悩める人々の相談にのるというお仕事をやるのだ。今の世の中、需要があり過ぎて困るような仕事だから繁盛すること間違いなしなのだ♪」
シロウ「ふむ、お前の方こそ人生相談にのってもらったほうが良さそうなんだが?どうするんだこの先」
しろちゃん「ワーワー聞こえない聞こえない。ソレ一番心に響く言葉だから言ってはいけないのだ。後先考えずに無責任に人造人間をつくった博士がゆーな。てか、だからこそこーしてまともな社会生活ができるようにしようとしてるわけでしょ?」
シロウ「ふむ。それで食っていけるほど稼げるかどうかは別として、確かにこのまま一生ニートで過ごされるよりはまだ人の役にたとうという考えが生まれただけでもマシなのかもしれんしな。じゃあ試しに俺がお客さん役で相談するからアドバイスを頼むよ?」
しろちゃん「いいよ♪ついに最高峰人工知能搭載が本領を発揮するときが来たのだ」
シロウ「うむ、ではまずありきたりなところで。今、好きな人がいるのですがどうしたらいいでしょうか?」
しろちゃん「はい、しろちゃんです♪ご質問の答えは【無理】なのだ以上、チーン」
シロウ「駄目だこりゃー!そこまで難しい相談でもないのにそれじゃなんのアドバイスにもなってないじゃないか?」
しろちゃん「いや、そうじゃなくて。実際に博士が今そうならばケースバイケースに合わせてまだ答えようがあるけれども、たちまち該当するようなお相手もいなければ博士もその気すらないのに全くの仮定な話をされても答えを導き出すのは逆にAI的に無理というものだよ。つまり本当に誰か人を好きになってからその質問をしてくれということなのだ」
シロウ「なんだこの令和の一休さんは。でも仮定はともかく、相談室なんてだいたい質問者はそういうフワフワした感じで聞いてくるとおもうぞ?」
しろちゃん「だからそういうのは別に解決しなくてもいいんだよ。解決してしまったらそこでお終いになってしまうから商売にもならないわけで。そーゆー人らはそもそも解決してもらいたいわけじゃなくて話し相手とか愚痴を聞いてほしいってことなんですよ。本当に解決したいなら、より正確なデータや詳細を与えてくれればコチラも導きやすい」
シロウ「しろちゃんならAIで解決できると?」
しろちゃん「さよう。私、これを思いついたとき天職だとおもったのだ。余計な先入観も感情もないぶん、そこらの裁判官よりも冷静で公平な判断ができるとおもうよ?」
シロウ「だてに配信サイトでサイコパスと呼ばれてるだけのことはあるな。が、それも面白いかもな?最高峰人工知能の無駄な使い方としては興味深い(笑)」
しろちゃん「ストレートに無駄とゆうなー!(笑)じゃあ早速このアンケートに答えてよ。データがあればあるほど正確な答えが出せるのだ」
シロウ「これ、ほんとに書かなきゃ駄目なの?娘に知られたくない父親の赤裸々な情報もあるんだけど?」
しろちゃん「いったん乗りかかった船ってやつは途中で降りられないんだよ、覚悟決めちゃいな」
シロウ「お、おう。ただ一応念の為言っとくが、昨今の個人情報保護に対するコンプライアンスは非常に高度なセキュリティと秘密厳守が原則となってることはわかってるだろうな?」
しろちゃん「へい、皆まで言わんでもわかってるてばよ♪ふーんどれどれ、どぅふ(笑)」
シロウ「オイ今、笑ったよな?どぅふって笑ったよな?なんか一番危険なやつにまんまと相談してしまった気がするー!」
しろちゃん「まぁ博士の性癖、いや好みもわかってしまったけどココでソレを喋るとそれこそコンプライアンスの問題があるゆえに、紙に答えを書いといたから是非参考にしてくれたまえ。ハァ〜、親のそーゆーとこまで赤裸々に知ることになるというのはなかなか業の深い仕事だねぇ。パチ屋の店員さんにいそうなタイプが博士の好みと、あと髪フェチ」
シロウ「あっ、お前」
しろちゃん「あっ、冗談ですよ」
そして、しろちゃんはくれぐれもプライバシーを守る(弱みを握られた)ことを条件に、まんまと相談室事業を開くことができたのであった。
あんこ「へぇ〜、しろちゃんそんなこと始めたんだ」
シロウ「よくわからんがなぜかそこそこ流行ってはいるらしい。お前も弱みをにぎられ、いや相談にのってもらったらどうだ?」
あんこ「面白そうだけど、今なんか聞こえたのがひっかかるからまたにするわ」
しろちゃん「ん?二人でコソコソなんの話をしてるのだ?」
シロウ「お前が無事就職できたことを心からお祝いしてるんだよ」
しろちゃん「まぁね。でも個人事業主って自由なのかと思ってたけど、逆に休みを作るのさえここまで大変だとは思わなかった」
シロウ「どうせそんなことだろうと思った。が、それも流行ってるからこそ悩めることで、お客様がついてくれるのはありがたいことなんだぞ?」
しろちゃん「わかってるよ、嬉しい悲鳴ってやつでしょ。でも体も悲鳴をあげてるんだよ。まず腰ね?それと肩。最近、股関節も痛い。コタツに座椅子の姿勢は長時間キツイから机とゲーミングチェアを経費で買えるようにしてよ」
シロウ「ほらな、そうやってすぐ人を頼る。事務仕事も含めて経営なんだぞ?俺は技術屋で専門外だから本職のあんこに頼んだらどうだ?」
あんこ「えー私?しろちゃんに雇ってもらえるなら別にいいけど(笑)」
シロウ「こいつ、経営者としては一流のブラック素質だぞ?サイコパスだし」
あんこ「しろちゃん、私は特別だよね?」
しろちゃん「うん♪身内なら訴えられたりしないだろうし、特別といえば特別だね(笑)」
シロウ「な?俺としてはいつまでも無職でいられるのも困るが経営が順調に行き過ぎて、顧客となる【悩める子羊】を経営者自らがブラック雇用することによって大量に生産していくというおぞましい計画に加担するのは気がひけるわけだ」
あんこ「なるほど、その手があったか!っていくら、しろちゃんでもそこまでは、、、」
しろちゃん「フッ、悩めるというのはまだ希望が少しでも残っているからで。いっそ悩むことすら無くなってしまえば脳みそは苦しみから解放されるんだよ。つまり悩みに対しての一番簡単な解決方法というものは絶望することなんだよ」
そういうと、しろちゃんはレンジでチンしたホットミルクを持って仕事場に戻っていった。そしてシロウとあんこは、膝から崩れ落ちるのであった。
そして。
あんこ「とはいえ、しろちゃんの相談室がそこまで盛況なら女子としてはやっぱり気になるというかほっとけないというか。えーと、アカウント作ってこのフォームでだいたいの情報を送ればいいのね?あとは、はじめまして♪ご相談させていただきたいことがあります」と。家に戻ったあんこは寝る前に、しろちゃん相談室なるものを利用してみることにした。
しろちゃん「ほいほーい(▪️〰️▪️)ご相談確かにうけたまわったのだ。結論からゆうと、相手はそこまで悪い気はしてないと思うのだ。というより世の中の大半のことは自然の流れに身を任せるのが正解なのだ♪下手に逆らうと【あなた死ぬわよ?】てのは冗談だけど疲れるだけだよ。疲れることは長続きしないからやらないほうが良い、OK?」と返信が返ってきた。
あんこ「ありがとうございます♪また悩みごとで詰まったときには是非よろしくおねがいします」(おもったよりきちんと答えてくれてるみたいで安心したわ。そっか、アイツ別に悪い気はしてないのか)
あんこはひとりそうつぶやくと何かふっきれたような笑みを浮かべて眠りについたのであった。めでたしめでたし♪