第20話 しろちゃんのシン・パチンカス
シロウ「いや、違うんだって!たまたま、お腹が痛くなってトイレを借りたらなんかそのまま帰るのも悪いなぁっておもって、つい」
しろちゃんがお使いから帰ると、平謝りしてる博士と、その前で腕を組んだラオウのようなあんこさんの姿がそこにあった。
しろちゃん「どした?博士の浮気でもバレたのか?パスタ作ってくれただけで家庭的とか思ったりしたの忘れてやっちまったか?」
あんこ「約束したよね?遊技場にはもう行きませんと?しろちゃんの教育にも良くないからって。シロウが店から出てきたところにちょうど出くわしたから問い詰めてるのよ」
シロウ「だから、しろちゃんは連れて行ってないし、たまたまよ?たまたまお腹痛くなって」
あんこ「しろちゃんはどう思う?」
しろちゃん「あんこさんの言い分は当然正しいと思われます。でも甘やかすわけじゃないけどパチンカスという悲しい生き物のサガを知ってる立場としてはなんとも」
あんこさん「そのパチンカスというのをもっとわかりやすく説明してもらえると助かるかも?私、やったことないからなんでそうなるのかも全くわからないのよ」
しろちゃん「パチンカスというのは、フランスの哲学者でもあり数学者でもあるブレーズ=パチカスから来てる言葉。なかでもパチカスの原理は有名で、密閉容器中の脳汁(流体)は、その脳みそ(容器)の形に関係なく、大当たりに対する放出量は皆同じ強さであるという原理であり、のちの依存症対策(6号機)のきっかけになったとされる。負けたら負けたで二度と行かないと誓い、勝ったら勝ったでしばらくは行かないと思うもまたすぐ忘れて行ってしまう困った生き物。神様!ありがとうございます!もう二度と行きません!6号機なんて死んでも触りませんといいつつ翌日にはすっかり忘れて列に並び、でもジャグラーなら許されるだろうという神様もビックリのポジティブさと圧倒的な心の弱さを併せ持つリリン、それがパチンカス。と、シロペディアには載っております」
あんこ「しろちゃんのデータベースにはたまに胡散臭い情報も書き込まれてる気がするのよね。シロウ、あなた博士なんだからその機械みたいなの作って家で遊べばいいじゃない?」
シロウ「いや、ゲームセンターや家打ち用のがあってもそれで遊んで果たして楽しいかと言われたら、その場で打つ醍醐味というものがあってそれは【公】にはうまく言えないんだ」
しろちゃん「言っても誰も信じないしどこも【存じておりません】けど、許可を得ていない所が似たようなことを勝手にやろうとすると確実に問題になるというね」
シロウ「それな(笑)」
あんこ「二人がもうなんのことを言ってるのかさっぱりわからないんだけど?私も一度行ってみようかしら?」
しろちゃん&シロウ「!?いやいやいやいや、それはちょっと無いかなぁ(笑)」
あんこ「それどういうこと?一緒に行ったらなんか問題でも?」
というわけで、まさかのあんこさんご同伴で一同仲良く遊技場に行くことになりました。
あんこ「うわ、うるさ!こんなとこでなんでみんな平気な顔していられるの?」
シロウ「一昔前はこれにタバコの煙がセットというなかなか厳しい環境だったんだけどな」
しろちゃん「あんこさんは目押しできないからあっちのほうがいいかもね」
シロウ「それな。ただハンドル握ってればいいだけだから球のほうがいいだろ。1円ならそれなりに遊べるだろうし」
一同が【1円】と書かれたコーナーに移動すると
あんこ「あ、これ知ってる!アニメの?なんで台に顔がくっついてるの?コレはなんか意味あるの?(触りながら)」
しろちゃん「遠くから見て台がわかる以外の意味はおそらく特に無いと思います。てか恥ずかしいのであんまり大きな声ださないで。あと黙ってそこに座ってください」
あんこ「まぁ、とりあえずやり方を一通り教えてよ」
しろちゃんとシロウはかくかくしかじかおおよそのやり方を あんこさんに伝授した。その数分後。
あんこ「ボタン押せって出てるんだけど?」
シロウ「いや、それは別に押さなくても結果は変わらないから(笑)」
あんこ「じゃあなんで付いてるの?」
しろちゃん「答えづらい質問だけど、それはなんとなく付けたほうが楽しめそうだったからなんじゃないかとしか言いようが」
あんこ「ほら!やっぱり押さなかったから負けちゃったじゃないのよ!今度はレバーを引けってさ。私、手がふさがってて押せないからシロウあんた引いてよ」
シロウが赤面しながらレバーをそっと引くと、あんこさんの台の上にある大きな顔が吠えて当たりました。
あんこ「ほら!やっぱりコレ関係あるんじゃないかしら?じゃあ、しろちゃんがボタン担当でシロウがレバー担当ね」
シロウ「だからそれはあくまで演出を盛り上げるためのね、、、それにそういうの店員さんだって迷惑でしょう?ね?」
店員さん(ニッコリ笑って全然構いませんの合図)
シロウが、あんこの隣のおじいさんにも助けを求めようとしたが、おじいさんは口元に微かに笑みを浮かべ、それまで一度も押さなかったボタンを急に叩き出し、他の連中もその流れに追随するという異常な現象がシマ全体に起きたのであった。
しろちゃん「店員さん、それにじじいらも、てめえら全員裏切りやがったな」
その後付き添いの二人は、あんこさんの当たりがおわるまで介助役を延々とやらされヘトヘトになるも
あんこ「まぁ曲も聞けてそれなりに楽しかったし景品で化粧品も貰えたし、たまに来るなら良いかもね。もちろん一緒に」
しろちゃん&シロウ「すいません、もう行きませんからそれだけは勘弁してください」
あんこ「パチンカスには二言も三言もあるから信じませーん(笑)」
しろちゃん&シロウ「そりゃないよ〜」
というわけで、しろちゃんとシロウは弱い心を少しは鍛えられ遊技場にこっそり行こうとは思わなくなったのでした。めでたしめでたし♪