第19話 博士と地下の愉快な仲間たち
しろちゃん「ねぇねぇ博士、私が高性能人工知能搭載人造人間なのはわかってるよね?」
博士「なんだ、藪からスティックに?」
しろちゃん「私が昨夜遅くまで65536通りのシミュレーションをした結果、今のままでは我が家は全滅すると判明致しましたのでここに報告いたします」
博士「新年早々、我が家全滅するのー!?」
しろちゃん「はい、残念ながら。なお博士は即死の模様です」
博士「俺、即死するのー!?なんでそうなるのよ?」
しろちゃん「例えば博士が朝起きて新聞を取りに行くパターンですと、ウーウー唸ってるオッサンに抱きつかれ必死にもみ合うもあえなく噛まれます→滞りなくゾンビになります→しろちゃんが真っ二つにする→博士死亡。65536のケース中65536通りが博士が真っ二つにされて死亡するという結果が出ております」
博士「なんとなく今回、しろちゃんが何の影響を受けたか察したけどさ?それゾンビになって死ぬというよりは、しろちゃんが俺を真っ二つにしてるから死んでるんじゃなくて?。その結果、しろちゃんのメンテナンスができなくなって我が家は全滅ってパターンなわけだから、要は俺がゾンビにさえならなきゃ良いわけでしょ?」
しろちゃん「博士甘いよ、成人式で社長になるとか政治家になるとか言ってるそこらのイキったガキどもより考えが甘すぎるよ。ゾンビ先進国のアメリカではね?実際にゾンビに対抗するための住宅の要塞化や車なんかが飛ぶように売れてるんだよ?」
博士「飛ぶように売れてるかどうかは知らんけども、メガネで目を大きくさせるギャグをやってたアメリカの一般事情を誤解させるユタ州の人を思い出したわ。てか、要塞化という面ではうちもわりとそうだけど?」
しろちゃん「ん?そんなの聞いてないけど?生まれて一度も聞いたことないよ」
博士「そりゃ、しろちゃんは生まれてまだ1年もたってないんだから知らないのも仕方がないけどさ、自他ともに認めるゾンビ好きとしてゾンビ対策をしてるのは当然と言えよう(笑)」
しろちゃん「でもこの家どこからでもゾンビが侵入して来れそうだし、最近は走るやつとか壁破壊して来るやつとか銃使えるくらいの知能持ってるようなのとか当たり前になってるけどそのへんも大丈夫なの?」
博士「というか、そんなもんにまで対抗できるような家なんて逆にほとんどないだろうけどな(笑)が、我が家はそれらすら対策してる数少ない家だと自信を持って言える」
あんこ「へー、私も初めて聞いたわー。てかこの家、前から思ってたんだけどセキュリティ甘すぎじゃない?今だって私が勝手に入って来たことすら誰も気づいてないわけだし」
博士「っと、いきなり話に入ってきたというか、いつも勝手に家にズカズカあがりこんでる人がきたー!いや、あんこは我が家のセキュリティライセンス認証に登録されてるから入れるんだよ。知らない人が勝手に入ってきたらあっという間にホームアローンさ」
あんこ「その映画名知らない人が英訳したら意味が通じないこと言わないの」
しろちゃん「じゃあこうしよう、私がゾンビ役やるので無事ホームアローンされずに博士まで辿り着いたら、このゾンビ対策された装甲トラックを購入するということで」
博士「へぇ、いくらするの?」
しろちゃん「だいたい3000万円から6億5千万円くらいだね」
博士「幅広すぎというか3000万のが結構お手頃価格だねって思うくらい6億5千万円の車をさも当前な顔して買えといってくる娘のほうがゾンビより怖えよ」
あんこ「確かに(笑)それに、しろちゃんそういうのって居住性とかも大事だからこっちのキャンピングカーを改造したやつのほうが良くない?シャワーやトイレも付いてるしベッドもキングサイズだし」
しろちゃん「そうだね、なにげに空調システムとか飲料水蒸留冷却装置なんかも必要だと思う。あとゲームとかネットとかマッサージ機とかマンガも」
博士「おいおい、それってもうネットカフェをアウトドアって言っちゃう感じなんじゃないかな?そもそもキャンプに行くんじゃないんだから。それにそのキャンピングカーってもはやバスだし、自家用ジェット機持ってるようなトップクラスのアスリートがホテル間を優雅に移動するためのもんでしょ、ソレ?」
しろちゃん「優雅にゾンビ世界を生き残りたい」
あんこ「ゾンビ世界は優雅でも嫌(笑)そうそう、さっきのセキュリティの話だけどもし認証通ってないと具体的にはどうなるのよ?」
博士「こんなところで大っぴらに公開しちゃうとセキュリティの意味は?って話なんだが、基本的にゾンビが動けるのは死してなお筋肉を動かすための神経が生きているからで。それは電気信号で動いてるわけだから電気ショックを与える装置が最も効果的というデータがあり、それをいたるところに設置している。あとまぁ最悪、首スパーンすればってところかな。」
しろちゃん「私、ゾンビ役やらなくて良かったー!。てか人造人間だからってどこまで耐えられるか知らないし」
博士「まぁそこらへんは今の所試したこと無いからなんとも言えんが、架空の存在である時点でほぼ不老不死みたいなもんなんじゃないか?(笑)」
しろちゃん「しかも主人公だしな(笑)」
シロウ「だから安心して暮らすがいいぞ。ゾンビ対策は男のロマンだからな」
あんこ「あんたがそのくだらないロマンとやらにこれまでどれだけ莫大なお金をアホみたいにつぎ込んでるのかはよくわかったわ。ところでコレ、さっきトイレットペーパー探してて棚にあったんだけどなんに使うの?」
しろちゃん「クランクだよねソレ。でもなんでそんなものがウチにあるの?」
博士「そりゃ、地下の施設に行くのも戻ってくるのもそいつが無いといけない仕掛けだからな。例の洋館もなんだが、大半のプレイヤーが勘違いしているけど、あれは外部からの侵入を防ぐための仕掛けなんじゃなくて、本当は研究員や生物兵器を【逃さないため】のものだからな?それに言ってなかったっけ?俺はワクチン打ってるからゾンビにはならない。だから入られないようにするよりここから出られないようにすることが大事だから、万が一バイオハザードみたいな事が起きたときのために電気ショックや首スパーン装置があるんだよと、、、」
あんこ「ちょっと待って、なんか色々ひっかかるとこあるんだけど?なんであんたがそんなワクチンを持ってるのよ?」
博士「そりゃ研究中に噛まれたりしてゾンビになったらいけないだろう?何いってんだ?」
しろちゃん「それって【地下のやつら】のことか?」
博士「そうだよ。ん?なんで、しろちゃんがそれを知ってるんだ?誰にも言ってないのに」
しろちゃん「カマかけたんだけど、マヂか」
あんこ「えと、それって、、、つまりもしこの世界にバイオハザードが起きたとしたら、お前がその諸悪の根源のマッドサイエンティストってことじゃねぇか!」
というわけで、博士は【地下のやつら】を施設ごと綺麗サッパリと、お片付けさせられたそうです。めでたしめでたし♪