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第17話 しろちゃんのお正月

しろちゃん「博士〜!見て見て♪着物姿どうよ?髪もあげてもらったぞ」


博士「ん、なかなか似合ってるじゃないか。あんこも早朝からお疲れさん。これ少ないけど、二人にお年玉な」


あんこ「ありがと♪私が髪とメイクで、あとはお母さんがほとんど着付けたようなもんだけどね」


博士「おせちとお雑煮も我が家の妖怪【つまみ食い】がいない間に用意しておいたから良かったら一緒に食べないか?お屠蘇も良ければ」


あんこ「へぇ気がきくじゃん。じゃ、お節とお雑煮はいただくとして、お屠蘇は苦手だからいいわ。どうせこのあと初詣にも行くんでしょ?なら運転もするだろうし」


しろちゃん「ねぇコレ、お皿で飲むお酒。お屠蘇って言うの?花の慶次がよく飲んでるやつだよね?前から一度飲んでみたかったんだよね〜♪」


博士「じゃあ、しろちゃんは作法通り先にお屠蘇を飲んでからお節を食べるようにな。あと今年は東を向いて飲むんだぞ(方角は冗談です)」


しろちゃん「ハイハイお屠蘇を先に飲むんだね。どれどれ、ズズー。ブーッ!まっず!なにこれ?慶次、こんなものをガブ飲みしてるの?」


博士「あ〜それは屠蘇散っていう生薬が入ってるからじゃないかな。というか前田慶次郎利益が飲んでたのが日本酒か焼酎かはわからんが、おそらく日本酒だとしてその元とされる古酒ってのはミリンに近い風味でな。水で薄めないとまず飲めないような代物だ。どれくらい薄めれば美味しいかが酒屋の技量とも言われていたそうだ」


しろちゃん「カルピスが家庭ごとで濃さが違うのと同じだね。それにしても想像を超えたまずさにびっくりだわ」


博士「まぁ半分お薬みたいなもんだからな。【邪気を払い、生気を蘇生するところから屠蘇と言われている】そうだ。じゃあ、お節を食べたら混みだす前に初詣に行くとするか」


しろちゃん「説明がまるでダークソウルのアイテムみたいだね(笑)じゃ、早くお節食べたいから我慢して飲むよ。まっず(笑)」


 というわけで三人は初詣にお寺へお参りに出かけたのでした。しろちゃんははじめこそ所々に並んだ出店を見て、はしゃいでいたりしたものの階段を登りだしてからしばらくすると


しろちゃん「ぜぇぜぇ、あの一つ聞いていい?」


博士「どうした?」


しろちゃん「この階段いったいどこまで登るつもりですかね?なんかのバグで無限ループに入ってるか設定ミスでやたら長いような?

まだ手水舎の影すら見えてこないんですが」


博士「そりゃ、だいたい山の上に神社やお寺はあるんだから仕方ないだろ。お前、原神を山登りでリタイアしたクチだしな(笑)頑張れ頑張れ」


しろちゃん「いや着物ってなにげに重いというか、下駄も動きづらいし。てかこの格好でこんな急な石段登るの普通にヤバくない?お屠蘇で養った生気が速攻で奪われたよ」


博士「確かにな。まぁ日頃の運動不足は自己責任として、どこかからの指示で一応正月には着物を着せてお詣りさせといてねって頼まれたから仕方ないんだよ」


あんこ「ほらほら背中押してあげるから、シロウも手をひいてあげて♪」


博士「しゃあねーなぁ」



 ともあれなんとかかんとかお寺に辿り着き、なかばチアノーゼ気味のしろちゃんは息も絶え絶えになりつつも無事に参拝を終え、その後おみくじを引くことに


しろちゃん「凶!言われんでもわかっとるわ!今この状態がまさに凶だよ!」


あんこ「私、中吉。しろちゃん引き直したら?」


しろちゃん「えっ?引き直してもいいの?」


博士「あぁ、別にかまわんと聞いたことがある。俺なんて5回連続で凶引いたことあるからな。最後、吉で妥協したけど」


あんこ「自慢げに語ることじゃないとおもうけど。あんたその時良くないこととか起きなかったの?」


博士「よく覚えてないが何してもうまくいかない最悪の一年だった気はする」


しろちゃん「えぇぇ。とりあえずもっぺん引いとく。神様、凶以外でお願いします、凶以外なら全然アリなんで、、、やった中吉!」


博士「まぁそんなもんだろ、俺は今年大吉を引いたがな」


しろちゃん「へぇ、見せて見せて♪こーゆーのは書いてる中身も大事なんだよ。ふむふむ、あっ!風で飛ばされてしまったー」


 しろちゃんはそう言うとシロウのおみくじをイチローのレイザービームがごとく全力で遠くに放り投げた。


博士「やると思ったよ。だが残念ながらそっちは凶だ」


あんこ「お前も引き直しとんのかい!」


博士「ところで、ここ確か裏手に車道があったのを思い出してな。あんこに車でそこまで迎えに来てもらえたら帰りは階段降りなくてすむぞ?」


しろちゃん「助かるよ、、、いや、というか最初から知ってたなら行きもわざわざ必死こいて階段を登る必要なかったんでは?」


あんこ「私、先に車取りに行ってくるね〜」


博士「おう、悪いな。じゃあ裏手で待ってるよ。まぁ、しろちゃんも一年の始まりだし初詣に来たという雰囲気は大事だからさ。あえて登ってもらったんだけどね」


しろちゃん「そうだね、雰囲気は大事だよね。雰囲気はね、、、って雰囲気で新年早々殴り合う気ある?」


 その年の元旦は、なぜか109回目以降の除夜の鐘がかなり遅れて鳴らされたという噂があり、その音色は町全体に綺麗に鳴り響いたとさ。めでたしめでたし




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