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第130話 キングダメ


 しろちゃんは、おちょぼんのママに連れられて市民会館で開かれているお料理教室に出かけてたのでした。


しろちゃん「勢いでなんとなく付いてきてしまったけど良かったのかな?」


おちょママ「ええ、今日いらしてるのはタカオ大沢先生という人気の講師なのよ♪でもひとりじゃ心細いじゃない?しろちゃんが一緒だと心強いわ♪」


大沢「こんにちは、本日はお越しいただき嬉しく思います♪料理の道は犠牲の道です、それを乗り越えるたびに美味しくなるのです。そうならねばなりません」


 生徒の皆さんが拍手をするのを見て、先生は口元に手を当てて笑みを浮かべる。


しろちゃん「なんか腕ムキムキだね?(笑)」


おちょママ「先生はお料理のために20キロも増量されたらしいわよ」


しろちゃん「それって意味あるの?」


おちょママ「まぁ、見ててごらんなさい♪」


大沢「今日はこれからの季節おなじみの冷やし中華を共に目指しましょう」


 先生はそういうと水が波々入った寸胴を軽々とコンロの上にのせたのでした。


おちょママ「ね、凄いでしょ?」


しろちゃん「なるほどそういうこと(笑)」


 生徒らが寸胴の前に立つと


大沢「そこの童、叩いてごらんなさい」


しろちゃん「え、自分?」


 しろちゃんは寸胴を叩きました。ドン♪


大沢「童、名は?」


しろちゃん「しろちゃんです」


大沢「じゃあ、しろちゃんには私のお手伝いをお願いします。では皆さんも同じように叩いて」


 ドドンドドンドンドン♪


大沢「全料理人イチ、冷やし中華を作るのが上手なタカオ大沢のお手伝いをしてくれる生徒は誰だ!」


 ドドンドドンドンドン♪


生徒「しろちゃ〜ん!」


しろちゃん「なんだよこれ(笑)」


おちょママ「光栄なことよ♪」


 そしてそれぞれキュウリやハムを切る係、卵を焼く係とわかれるなか、しろちゃんは大将軍の横でアシスタントをするのでした。


大沢「お湯が湧き上がってきたら、この袋麺の袋を力ずくでこじ開けます。湯湧き麺踊る世界、これだから料理は面白い」


 4メートル30キロの巨大な混ぜ棒でかき回す先生。


しろちゃん「んーそろそろ、いんじゃないの?」


大沢「どう、水切りしてみる?」


しろちゃん「こんな量やったことないよ(笑)」


 大沢はこれまた巨大なザルを用意しソコに寸胴を抱え麺を流し込み、冷水で洗い終えると。


大沢「大丈夫、皆さんの背中には常にこの私がついてます♪」


 しろちゃんは嫌々促されるまま、チャッとザルを振ってみました。


大沢「ンー意外と軽いんですね。まだ、だいぶ滴ってますよ。どれ」


 大沢がザルを受け取ると生徒は手を止めその様子を見守るのでした。大沢は目をつむり、全神経を集中させまるで深い考え事をしているかのように息を整えると


大沢「まだ、まだ。よし今です、ンフォフゥ」とザルを豪快に振り回したのでした。


 水しぶきが舞う中、生徒らは拍手し喝采しました。


おちょママ「出たわ、タカオ大沢名物。天下の大将軍の水切り」


大沢「しろちゃん、麺の水切りとはけして力ではないのです。こうして麺を油断させ安心しきらせておくことこそが大事なのです」と満足げな笑みを向けました。


 しろちゃんは大将軍の謎理論に呆気に取られながらも、いやアンタは思いきり力だろと心の中で思うのでした。


生徒「先生、こちらも具材の用意が出来ました!」


大沢「ああ、そこらへんはテキトーで構いませんから。ココココ♪」


こうして、タカオ大沢先生の料理教室は盛況のうちに終わるのでした。そして教室の床は言うまでもなく辺り一面ビチャビチャに濡れ散らかしていたのでした。めでたしめでたし♪



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