第127話 飛天御剣流 おちょぼん全回転
しろちゃん「お内裏様とお雛様〜二人並んでスガシカオ♪今日は、おちょぼんの誕生日〜おめでとう♪」
おちょぼん「ありがとう♪」
そう、今日は楽しい雛祭り。そして、おちょぼんの誕生日というわけで、しろちゃん家に集まっていたのでした。
しろちゃん「だから本来はね【お内裏様のお雛様〜♪】が正しいのよ、えへん」
しろたん「はぇ〜勉強になる♪」
しろちゃん「ちなみに女雛の方を十二フタエノキワミの花嫁って呼ぶ地域もあるんだよ」
あんこ「物知りと言いたい所だけど、十二単よ。またドサクサにデタラメを教えようとするんだから(笑)」
おちょぼん「今日は、私の誕生会まで開いてくれてありがとうございます♪たくさん笑ったし、ちらし寿司も美味しかったです」
あんこ「いいの、いいのよ。こちらこそいつもお世話になってるんだから。なんならこのまま泊まって行けばいいじゃない♪」
おちょぼん「え!いいんですか?」
しろたん「おちょぼんさえ良ければ♪」
その時、おちょぼんのスマホが鳴る。
おちょぼん「ちょっと、すいません。もしもし、え?ううん、まだ来てないけど」
あんこ「どうかしたの?」
おちょぼん「車が出せそうにないからって、おじいちゃんが歩いて私を迎えに出たらしいんだけど。なかなか戻ってこないからって、30分も前に家を出たみたいなの」
しろちゃん「えー、ちょっとその辺みてくるわ!」
ドア、ガチャ。ヒュ〜!
しろちゃんが家のドアを開けた瞬間、目にしたのはあたり一面、雪景色の街並みなのでした。
しろちゃん「あっかーん!さっぶ!なによこれ!?」
シロウ「何を大声で宮川大輔の真似してるのかと思えば、こんな日にドアを開けたら寒いに決まってるだろ。雪で遊びたいなら明日にしな。え?会長が!?」
そして。
あんこ「会長さんなら大丈夫だって、途中の何処かで避難してるかもしれないし」
おちょぼん「だといいんだけど。電波の届かない所にいるみたいだから」
シロウ「じゃ、皆んなは家の中にいるんだぞ。俺と、しろちゃんでちょっと探しに行ってくるから」
ニク「ニャア♪」とコタツの中から返事をする。
しろちゃん「え、自分も?」
シロウ「だって俺も何かあったら困るしさ。寒さは感じても、しろちゃんは人造人間なんだから大丈夫だろう」
四葉「そのために、あんこさんのババシャツ借りたんでしょ?レギンスとお揃いでヘッドホン付けて江頭ンツスーツ100てんとか言って、はしゃいでたじゃない」
あんこ「ババ、、四葉ちゃん?」
四葉「ほら早く!私も行くから!急がないと」
そして。
四葉「ねぇ、あそこに埋もれてる毛みたいなの何かしら?」
シロウ「猫?それとも犬か?」
しろちゃん「助けなきゃ!」
そおっと拾いあげるとソレはやはり【毛】でした。
しろちゃん「この加齢臭何処かで嗅いだことある。てことは会長の、、、。つまり会長はこのカツラに吸収されてしまったのかも?」
シロウ「いや、それはないと思うが。でも大事な手がかりには違いない。ここらまで来たということだよ」
四葉「サーモが反応してるわ!あそこらへん」
シロウ「雪を掘ってみよう!」
しろちゃん「なんか出てきた。このビエネッタの切り口のようなバーコードヘアーの頭部は、、、間違いない!会長だ!」
そして。
シロウ「体の横に落ちていた亀の甲羅の理由はよくわからんが、おそらく何かが頭上に落ちてきたことによりカツラが飛ばされ放射冷却現象で低体温になったようだ。幸い息もあるみたいだし命に別状も無さそうだ。でもこの雪じゃ救急車を呼んでも来れるかわからないな。俺が会長をおぶるから、とりあえず家に運ぼう」
しろちゃん「こういう時、会長の等身を変えられる体は便利だよね」
そして。
おちょぼん「おじいちゃん」
シロウ「とりあえず身体を温めたし、あとは意識の回復を待つしか」
しろちゃん「コレ節分の豆だけどさ、仙豆の代わりになるかもよ?」
毛布にくるまり横たわる会長の口の中に豆を大量に入れる。
四葉「なんか、逆に息が詰まってるみたいじゃない?」
しろちゃん「じゃあ、あたたかいホットミルクも飲ませてみる?」
熱々のホットミルクを口へ注ぎ込む。
会長「、、、。ブハー!ゴホッ!ゲホッゲホッ!」
しろちゃん「会長、気がついたみたい!仙豆が効いたんだよ!」
会長「ハァハァ、危うく死ぬかと思いました!ここは?私は助かったんですね。頭に何か強い衝撃を受けたところまでは覚えてるんですが、しろちゃん達が助けてくれたんですね。ありがとう♪」
しろちゃん「うん」
四葉「うん」
おちょぼん「もう、みなさんのおかげで助かったのよ♪心配したんだから」
シロウ「まだ安静にしておいたほうが良いと思うので会長も、おちょぼんと一緒に今日は泊まって行かれたらいいですよ。お家の方にも連絡しときましたから」
会長「え、いいんですか?じゃあ、お言葉に甘えさせていただきましょうか♪」
こうしてあわやという事態になりながらも今回の出来事が、おちょぼんがのちに医学の道を進むことになるきっかけとなったということをこの時、誰も知る由もなかったのでした。私も知りませんでした。めでたしめでたし♪