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第123話 全国奥様連合評議会


しろちゃん「あれ?なんでこのエレベーター、上の階へと登ってるの?駐車場は地下だったような気がするけど。押すボタンを間違えたのかな」


おちょママ「しろちゃん、ここのホテルのプリン・ア・ラ・モード美味しかったでしょう?」


しろちゃん「うん♪プリンの固さといいフルーツの量といい非の打ち所のない完璧なプリン・ア・ラ・モードだったよ」


おちょママ「そう良かった♪でね、ちょっとお願いがあるのよ。また奢るからさ、一緒についてきてもらえないかしら♪」


 こうして、しろちゃんは、おちょママに【さらわれた】のでしたワラ。


 そして、コンコン。


おちょママ「皆様遅れてすみません、しろちゃんをお迎えに行ってましたもので♪」


奥様「あら、そうなの♪其処の空いてる、お席にお座りなさい」


 ホテルの催しもの会場に設けられたその一室には見渡すりのバ◯ァの群れと、その蒸せかえるような化粧品のニオイに気圧さながらも


しろちゃん「こ、コレはいったいなんの集まり?」(ヒソヒソ)と、おちょママに尋ねると。


おちょママ「全国奥様連合評議会の年一総会よ。私もホントは来たくないんだけど、お母様クソババァが現会長だから絶対参加で、独りで来るのが嫌だったから、しろちゃんに付いてきて貰ったの。ごめんね」(ヒソヒソ)


 しろちゃんはもう逃げることを諦めたのでした。そして。


奥様「というわけでございまして、結婚前はもちろんのこと、お付き合いする前に他のお相手とのお付き合いするのも厳密に言えば浮気になりますわ」


バ◯ァA「さすがは深いわね」


バ◯ァB「現会長は歴代の中でも語彙力がズバ抜けておられますものね」


 奥様の講義を聞き必死にメモを取る者や感涙してハンカチでふく者、合いの手のように拍手を挟む者など、しろちゃんには異様な光景に映ったのでした。


バ◯ァC「僭越ながら会長、ウチの亭主は良い年をしてジム通いなんかを始めたりしまして。これは浮気でもしているのではないかと思うのですが?」


奥様「やや不倫がかった、程よくまろやかな舌触りの浮気ってところね。地下で半年ほど熟成はんせいさせるのがよろしいかと思いますわ」


ババァC「はぁ~感服いたしたます、是非そのようにさせていただきます」


しろちゃん「まるでボジョレーヌーボーの品評会みたいだね(笑)」


おちょママ「どちらかと言えば私的公開裁判よ、本人らの知らない所で決められる逆らうことの出来ない判決付きのね」


奥様「ほら、そこのお二人。隠れてゴモゴモ言ってないで、遠慮せずに貴方がたも意見を述べてごらんなさい♪」


しろちゃん「え、自分?私、奥様じゃないんだけどな(笑)」


おちょママ「ゴホン。しろちゃんがお母様、いや会長に是非お尋ねしたい事があるそうです♪」


しろちゃん「あ」


おちょママ「大丈夫、しろちゃんはお母様に気に入られてるから♪なんでもいいのよ、お願い」


しろちゃん「あの〜私、黙示録新聞記者の〜、しろちゃんと申します。え〜、したらば会長と旦那様のですね、熱愛エピソードをですね。修羅場なんかもあれば詳しく教えていただけると?」


しろちゃんは冗談半分でペン回しをしながら尋ねたのですが、他の奥様方一同は凍りついた表情で見事に固まるのでした。 


奥様「ええ良くってよ、私の拙いお話でも良ければ♪皆様よろしいでしょうか?」


 他の奥様方一同、安堵の表情と一瞬抜けかけていた魂を取り戻し慌てて拍手をする。


奥様「そうね、アレはまだ私達が婚約前のことだったかしら。彼がある日私にこう言ったの【二人で駆け落ちしないか】と」


 会場 (ザワザワ)


おちょママ「二人が駆け落ちなんて私も今、初めて聞いたわ」


奥様「いえ、別に私の両親も特に反対はしてなかったので駆け落ちでもなんでもないのよ(笑)ただ、その駆け落ちという言葉に私の中で何かが弾けたのよ。そこで、私はその駆け落ちに付き合うことにしたの」


しろちゃん「ここまではわりと良い話だよね♪」


奥様「死海をご存知かしら?其処へ二人で出かけて、海で浮かんだりしながら初めての駆け落ちに連れ戻されたりはしないかとドキドキしたわ。もちろん、そんなことは無かったけど」


しろちゃん「てかまた何でそんなところへ?(笑)」


奥様「そう、彼の企みは薄々とはわかっていたわ。でも駆け落ちという言葉とその魅力に当時の私は勝てなかったのね」


おちょママ「まさか、そこに浮気相手がいたとか?」


奥様「まぁ続きを聞いてちょうだい。ホテルで私が寝たフリをしてると案の定、彼がコソコソと部屋を出ていったの。私はあらかじめ用意しておいたナイフやロープをカバンに詰め込んで彼の後を追ったわ」


 一同 (ゴクリ)


奥様「そしたら彼ね、辺りを見渡すと誰もいないことを確認してスコップで土を掘り何かを埋めたのよ。そして私は彼が立ち去ると急いで掘り返してみたわ。それは数冊の本で、なにやら小説サイトにでも投稿するような他愛もない話がいくつか書かれていたのを覚えてます。私はとんでもない秘密や性癖でも書かれてるのかと少々期待がハズれてガッカリしながらも、おそらく彼なりに過去の黒歴史を隠そうとしたのだと理解してその場に埋め戻しておきました。ただ、そのために駆け落ちを利用しやがったことは後の一晩中行われた責め苦にも繋がるわけですが、彼はどれだけ拷問をされようとけして口を割ることはなかったわ。まぁ修羅場といってもそんなとこかしらね(笑)これでよろしくて?」


 一同盛大な拍手で総会は無事に終わるのでした。そしてその帰り道。おちょママの運転する車で、しろちゃんと奥様が後部座席で座りながら。


しろちゃん「今日は本当に良い話が聞けて楽しかった♪」


奥様「そう?実はね、あれエピソード9くらいまであるのよ(笑)」


おちょママ「私もなにぶん初めて聞くことばかりで驚きましたわ。お母様も、しろちゃんが相手だと話しやすいのかもしれませんね♪」


奥様「ええ、そうかも知れないわね♪」



 壮大な宇宙での戦いを描いた物語がある一方で、地球の片隅で起きた男女の壮大な過去たたかいを描いた今回の作品の内容はエピソード3くらいにあたるそうです。めでたしめでたし♪






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