第12話 不思議の国のしろちゃん
しろちゃん「まぁでも立場的に今はここまでしか言えないけどね、、、」
シロウ「しろちゃん、そろそろ出て来ないとお前だけおいて出かけるぞ?」
しろちゃん「ん!?わかったから、ちょっと先に行って待ってて!」
しろちゃんはそう返事すると同時にスマホのチャット相手に「じゃあ、あとでね♪ばいにー」と文字を打ち、急いで外に出た。
シロウ「遅いぞー。今日はお前が前から行きたいと言ってた動物園に行くって、あれだけ言っておいたのに主役が遅れてどうすんだ。さ、早く車の後に乗った」
しろちゃん「わーい!嬉しいな!博士ありがとう〜♪」
あんこ「しろちゃん、お弁当作ってきたよ♪あとコレ頼まれてた本【不思議の国のアリス】と【因幡の白兎】を図書館で借りておいたから、返すのはお願いね?」
しろちゃん「うんわかった、ありがとう♪」
助手席のあんこが振り返って後部座席のしろちゃんに本の入った手提げを渡した。
シロウ「また渋いチョイスだな(笑)今はわざわざ本じゃなくてもネットとかで読んだりとかできるんじゃないのか?」
しろちゃん「わかってないなぁ、博士は。本でしか味わえない雰囲気ってのがあるんだよ?」
あんこ「わかる。これだからサイエンス馬鹿はねぇ」
シロウ「馬鹿とはなんだ!馬鹿とは!(笑)」
そんなこんなで無事に動物園に到着。
あんこ「てか、動物園って私も久しぶり」
シロウ「俺もだ。ついでに水族館の料金も調べたんだけど昔と比べてかなり値上がりしていて驚いたよ。動物園はそんな変わらないのにさ」
あんこ「あんたのそーゆー細かくてケチくさいとこ、変わらないね(笑)」
シロウ「いや3人ぶんだぞ?けっこうバカにならないだろ!」
あんこ「もう、そんなくだらないこと言ってるから、しろちゃん見失ったじゃない」
シロウ「いきなり迷子か、、、。でも大丈夫だ、そんなこともあろうと思って」
シロウはそういうとスマホを取り出し、しろちゃんの位置情報を調べ後を追った。
あんこ「あ、あそこあそこ!兎のコーナーで戯れてた(笑)」
しろちゃん「あ!お父さんたちだ。良かった、見つけてくれたみたい♪じゃあね、お兄さんばいにー♪」
シロウ「ん?さっきの男、どこかで見たような、、、」
しろちゃん「なんか話し相手になってくれてた(笑)」
あんこ「知らない人についていったらダメよ?」
しろちゃん「大丈夫♪てか向こうは自分のことなんでか知ってるみたいだったんだけど?だから博士の知り合いなのかなって♪」
シロウ「今の世の中、ほんと気をつけなきゃいかんぞ?」
しろちゃん「はーい!やっぱね、兎めちゃ可愛いけど飼うのはやめて正解だった♪世話するの大変そうだもん」
あんこ「うん、生き物飼うのは大変だからねぇ。そうそう、しろちゃんゾウとかは見たくない?」
しろちゃん「あ、まだ見てなかった!あんこさん、行こう行こう♪」
シロウは二人がゾウを見に行くのを見送ると先ほど、しろちゃんと一緒にいた青年のあとを急いで追った。
シロウ「いた!ちょっとよろしいですか?」
青年「あぁ、しろちゃんのお父さん♪」
シロウ「貴方どこかで見た記憶があるんですが、俺のことをご存知で?」
青年「もちろんですよ。でも貴方に私の記憶はたぶんないと思います。今日は生き別れの妹に会いにここへ来ました。はじめて会いましたが元気そうで良かった♪」
シロウ「なぜ記憶に無いのかはさておき。君は今、俺にさっぱり理解不能なことを言ってるとは思うんだが?」
青年「ご心配無く、今日のことも貴方はすぐ忘れるようになると思います。ですから私が今ここでお話したこともきっと忘れると思います。私の望みは妹に会うことだけなのでご安心ください。では私、急ぎますのでここでお別れしましょう♪」
シロウは気づくとベンチに腰掛け眠っていた。
シロウ「あれ?先ほどの青年は、、、いや青年なんていたっけ?俺、誰かと話してたような」
しろちゃん「あ!博士、あそこにいた!」
あんこ「あんたが迷子になってどーすんのよ?(笑)」
シロウ「しろちゃん、さっき兎のとこで誰かと話して無かったか?」
しろちゃん「さぁ?記憶にないけど」
あんこ「寝ぼけてるんじゃない?私とずっと一緒だったよね?」
しろちゃん「うん♪それよりも動物園、超たのしい!ゾウはでかいし、虎は強そうだったし♪来年は優勝できるように祈ってきたよ♪でもワニはヤバいな、アレだけは生理的に無理だ」
あんこ「しろちゃん硬直して動けなくなってたもんね(笑)」
しろちゃん「なぜか遺伝子レベルで恐怖を感じた」
シロウ「俺の遺伝子にそんなもん入ってないはずだが?先祖代々日本人だし、ここ日本だし」
あんこ「じゃあそろそろ、お昼にしよっか?それであとコアラも見たいんだっけ」
しろちゃん「うん!お腹すいたし、お弁当食べたらコアラ見にいこ♪」
3人は食事の後、しろちゃんを間に挟んで手をつなぎながら仲良くコアラを見に行きました。あんこさんとシロウは、しゃあねーなーと照れながらもそれは微笑ましい光景なのでした。めでたしめでたし♪