第11話 しろちゃん、モフモフしたくなる
しろちゃん「あのさ、博士って本当に賢いよね。イケメンだし」
シロウ「なんだいきなり?しろちゃんの人工知能、どこか故障でも起こしたのか?」
しろちゃん「あのね、ウサギを飼いたいんだけど?」
シロウ「あー、そういうことね(笑)わかりやすいけど。なら答えはノーだ」
しろちゃん「もういいよ!いじわる!クソ親父!」
しろちゃんはそう言うとドアをバタンとしめて博士の部屋から出ていった。
シロウ「情操教育にペットを飼うのも一理はあるけど、またよりによってこのタイミングでウサギとはな」
シロウはそういうと先ほどまで読んでいた書類を机に起き、椅子の背にもたれかかった。
そして。
あんこ「というわけで、しろちゃんが私の家に家出をしてきたことについて第一回家族会議を開きたいと思います」
しろちゃん「私、あんこさんの養女になりますから」
シロウ「どうぞどうぞ、ワガママ娘は今日からよその子になってどうぞ」
あんこ「被告人シロウは最後に申すことはございませんか?」
シロウ「なんでいきなり家族会議が法廷になってるの?しかもすでに有罪を判決する直前な気がするんだが?(笑)」
しろちゃん「我々、検察は被告人シロウをクソ親父独身禁止法違反で死刑が相当かとおもわれます」
シロウ「裁判長、異議あり!」
あんこ「どうぞ」
シロウ「我々、被告側弁護人てか本人はココに証拠甲を提示するとともに、本件での反論答弁を行いたいと思います」
あんこは渋い顔をしながらもそれを許可した。
シロウ「まず我々が調べた所、しろちゃんがいきなりペットを飼いたいと言い出したのは証拠甲にあるユー○ューブのウサギ飼育動画が原因だと判明しております」
しろちゃん「ぶっ!!なぜそれを?」
シロウ「しろちゃんはこれまで犬猫はもちろん、カブトムシの飼育経験すら一度もないまま、飼い方もろくにしらないウサギを飼いたいというのは、生き物を飼うことの大変さを知らずにただモフモフして可愛がりたいという不純な動機であることは明白で、それを私に却下されたのを憤っただけであり被告人に非は一つもございません。裁判長どの」
あんこ「うーん、しろちゃんそれは本当ですか?」
しろちゃん「はい」
あんこ「正直でよろしい。しかしながら被告人、一度も経験がないからというのは誰でもはじめはそうであるゆえに、原告に機会を与えるという考え方もあると思われるのだが?」
シロウ「それについて証拠乙を提示いたします。あとは原告人しろちゃんに判断していただいてかまいません、以上」
あんこ「原告人しろちゃんはそれでよろしいかな?」
しろちゃん「うん、いいよ」
あんこ「では本日の法廷はここまで、原告被告の両人は次回期日までに反論などの意見があればまとめておくように、以上」
そして。
あんこ「今回けっこう意地張ってたのにあれからあっさり、しろちゃんが訴えを取り下げたけど。アンタ何をしたの?」
シロウ「まぁ大人げないとは思ったんだけど、ちょうど知人が飼っていたウサギが死んじゃったんだよ。本当はウサギの飼い方を尋ねようとしたところだったんだけど。それで知人のほうから彼女に生き物を飼うことの幸せさもだけれど飼い主としての覚悟というものも伝えてもらったのさ」
あんこ「生き物を飼うなかでそれは避けては通れないところだからね。てか、しろちゃんのためにウサギの飼い方聞いてたんだ?」
シロウ「まぁね。だから、あいつがいつかそれも含めて飼い主として受け入れられる日が来たら、その時は協力してやろうとは思ってる。ただ、今回こういうことを考える機会になってよかったとは思うよ」
あんこ「じゃあ、しろちゃんの再引っ越しの手伝いに家に戻るわね」
シロウ「あー、またいつ迷惑かけるかもだけど(笑)おばさんにもよろしくな」
あんこが部屋から出ていくとシロウはどこかへ電話をかけた。
「ええ、わかってます。あなたからご支援をいただかなければ彼女を生み出すこともできなかったわけですから。はい、できるだけの協力はいたします。ですが私は命にかえても彼女を守るという気に変わりはありません。たとえ貴方と敵対することになっても。もちろん無いと信じていますよ(笑)お互い【新世界の創造】のために」