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魔導王国物語 ~誰が王にふさわしいか~  作者: 森野うぐいす
第一部 アラタ・アル・シエルナの物語 / 第一章 冒険者の泉
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第7話 蒼き死の病と僧侶

 コマンド魔法〔ステータス〕を唱えると、何も無い空間に青いウィンドウが開き、目の前の先輩冒険者のランクが表示された。


〔 名前:マルコ・デル・デソート 冒険者ランク:C 特殊スキル:黒魔導 A 〕


 アラタはこの最先端の魔法技術に驚き、青く光るウィンドウに目を輝かせた。


「すごい。最先端魔法だ!」

「今どき、コマンド魔法くらいで驚くやついないぞ」


 マルコ・デル・デソートはあきれた顔をした。


「先輩、マルコさんてお名前なんですね。

 僕とたいして歳が違わないのに、冒険者ランクCなんてすごいです!

 しかも黒魔導スキルはAですよ」

「お前より4つも年上なんだが!」

「あ、でも僕なんか冒険者にすらなれなくて......」


 アラタが女神様から『恩寵』を貰えなかったことを説明すると、マルコは「ケケケケ」と笑った。


「日頃の行いが悪いからそうなるのだ。

 いったいどうすれば『恩寵』が貰えないなんてことになるんだ?」

「思い当たることといえば、女神様の胸をつかんだくらいなんですけど......」

「? む・ね・を・つ・か・ん・だ?」


 あ、やっぱりこのことは言わない方が良かったかなとアラタは思った。


 マルコから禍々しいオーラが発せられ始めた。

 なにかすごい黒魔導を発動しそうな雰囲気になっている。


 マルコはアラタの胸ぐらをつかんで、


「胸をつかんだってどういう意味だ?

 お、お、俺なんか16年生きてきて女の子の手すら握ったことがないのだぞ!

 アラタ君、胸をつかんだってどういう意味なのかな?」


 マルコが発しているオーラがバチバチと火花を散らしている。


「きさま、親分に何してるんでやすか? 今すぐ親分を離すでやんす!」


 用事ができたと言ってどこかへ行ってしまっていたベアー・サンジ・ドルザがちょうど良く戻ってきて、マルコをアラタから引き離してくれた。


「親分? 親分とか意味が分からないが、こいつ女神様の胸をつかんだとか言ってるんです」

「親分のことをこいつ呼ばわりするのはあっしが許さねぇでやんすよ!

 女神様の胸をつかんだから親分の胸ぐらをつかんでいたでやすか?

 女神様というのは後ろにいる方でやすね? 確か今朝も親分の後ろにいたでやす」


 (なんだ。ベアーさんも女神様が見えていたのか)


「ベアーさん、ベアーさんを黒焦げにしたのはこの女神様なんです」

「親分、あっしに嘘はつかねえでくだせぇ。

 しかし、美人の女神様でやんすねぇ。

 親分が胸をさわりたくなる気持ちはあっしはよくわかるでやんす。

 いや、あっしもね若い頃には随分とやんちゃをしたものでやんす」

「嘘じゃないですし、やんちゃのつもりもないです!」


 その後もベアーさんは、あっしの若い頃は~とか、しかし女の子には優しくしなきゃダメでやんすとか、いきなり胸をさわるのはチカンでやんすとかアラタに言った。


 (僕はチカンのつもりでやったんじゃないんです。わざとじゃないんです)


「わざとじゃないんです。チカンじゃないんです」

「親分、残念ながらそれはチカンでやんすね」


 ベアー・サンジ・ドルザは「それはそうと」と言って話題を変えた。


「女神様の胸をさわるのもヤバイでやんすが、

 となりの町で『蒼き死の病』が出たでやんす」

「『蒼き死の病』?」

「そうでやんす。

 この病に罹れば、皮膚は蒼くなりやがてドロドロに溶けてしまうでやんす。

 致死率は低いでやんすが、溶けた皮膚は一生治らないでやんす。

 悲惨な病気でやんすよ」


 ゾンダーク教の僧侶達が修道院病院へ『蒼き死の病』の患者を収容しているという。

 ゾンダーク教とは、この国で急速に信者を増やしている新興の宗教である。

 しかし、ゾンダーク教の僧侶はいけ好かない連中だとアラタ達は感じている。


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