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魔導王国物語 ~誰が王にふさわしいか~  作者: 森野うぐいす
第四章 シエルクーン魔導王国
25/80

第25話 少年王の異母兄弟

 巨大ダーク・フロッグを倒したことで町中から歓声があがる。

 武器屋の親父が「さすが親分の親分ですね」とアラタを褒めた。

 次々と押し寄せてきたダーク・フロッグも、とまった。


 『王による貧民窟の掃討作戦』をなんとかくい止めることができたようである。


 良かった、良かったと思っていたら、この国、シエルクーン魔導王国・王宮からアラタ宛に出頭命令がきた。

 というか、アラタは王国兵士にそのまま連れていかれてしまった。


 アラタは「離せ!」とわめいてジタバタしたが、国王の前まで連れていかれ魔導捕縛された。

 捕縛され動くこともできない。


 王座の横にうやうやしく立っている男に「国王陛下」と呼ばれた人間、その王座に座っていた男はアラタより幼い少年であった。

 こんな子供だったんだ。

 子供?

 あれ、国王って僕の父親のはずなんだけど、とアラタは思う。



 少年は「はじめまして、お兄様」と言った。


「お兄様? どういう意味だ!」

「お兄様でしょう? 僕らは異母兄弟ですから」

「異母兄弟?」

「母親の違う兄弟という意味ですよ、お兄様」

「お前に兄様呼ばわりされる筋合いはない!」


 異母兄弟?  

 アラタの左胸にある『紋章の入墨』はシエルクーン魔導王国の王によりつけられた(しるし)だ。

 自分の子供であるという証のための(しるし)である。


「王はどうした?」

「お父様のことですか? 死にましたよ。

 あれ? ご存知なかったですか?

 今は僕がシエルクーンの王ですよ」


 少年は不思議そうな顔をする。 


「それはそうと、僕は貧民窟を綺麗にしようと思ったのですが」

「綺麗に? お前のしたことはモンスターを差し向けたことじゃないか!」

「お兄様、僕は国王ですよ。少し口のきき方を気を付けてくださいね」


 そこへ突然、女神、ブシン・ルナ・フォウセンヒメが現れる。


「おや、フォウセンヒメ殿、突然にいかがかされましたか?」

「(いかがもしていないが、お前こそいかがしたのだ?)」

「僕もいかがもしていませんよ」


 少年王は、不敵な笑みを浮かべて女神に言う。


「(あの少年、邪神に(つな)がっておるようだが)」


 女神はアラタの方を向くと、そう言った。


「邪神?」

「(異界の神だ。俺があの者を追い払ってやろうぞ)」


 女神、ブシン・ルナ・フォウセンヒメがそう言うと、空間が闇と化した。

 闇と化した空間に、アラタと女神様と少年王と醜い姿をしたモノがいた。


「あの、女神様、急に真っ暗になったのですが......それとあの触手がたくさん生えた気持ち悪いモノは何ですか?」

「(あれが邪神だ。お前は黙っておれ)」


 少年王に複数の細い糸が()()()()()()

 細い糸は邪神の触手から真っ直ぐに伸びている。


 (あ、ほんとに繋がってる。

 きっとあの細い糸でこの少年は邪神にあやつられているんだ)


 フォウセンヒメは「剣よ現れよ」と言うと、瞬時に現れたその剣で、細い糸を一気にすべて断ち切った。

 女神様は邪神に剣を向ける。


「(異界の神よ我と戦うか?)」

「(■■■■■■)」


 邪神は奇怪な声をあげ、消失した。


「いなくなっちゃった。逃げちゃったの?」

「(逃げたのかどうかは知らぬ。とりあえずここからはいなくなった)」

「逃げちゃったんだよ。女神様に恐れをなして」


 気づくと闇となっていた空間は元に戻っている。

 少年王は倒れており、近衛兵たちが駆け寄ってきた。


「お前、国王陛下に何をした?」

「な、何もしてないです! 何もしてないです!」


 やがて少年王は立ち上がり、口を開いた。


「おにいさま? ぼくのおにいさま? ぼくのおにいさまですよね?」


 少年王はまるで幼子(おさなご)のような声で言った。


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